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第2章 新しい知識はすぐに誰かと共有しなさい!

社長が社長室で誰かと電話で話している。声がでかい上にドアを開けっぱなしなので丸聞こえである。経営層と社員の風通しが良いとか隔てるものがないとかで、いいことなのかもしれない。

「あっそうだ、お前さ!ユーチューバーって知ってっか?ユーチューバー!いま流行ってんだよ!見たことねぇだろ?ダメだよ!トレンド!経営者はトレンドを常に追わないと!ユーチューバーって演歌歌手なんだよ!んだよな、ユーチューバー、ユーチューバーってさ、演歌歌手のことかよ!みんな大袈裟に騒ぎすぎだよ!100年前から知ってるよ!あっ?そう?はいはい、じゃあまた!」


社長は今もYouTuberを演歌歌手だと思っているようだ。これに関しては各所から陳情があり対処の必要がある。社長室へ。


「社長、すみません。いまお時間よろしいでしょうか?」


「いいよ、何?」


「あの…YouTuberについてなんですが...」


「ユーチューバー?あぁユーチューバーね、今もちょうどあいつに教えてやったんだよ」


「あいつ…といいますと?」


「あれだよ、笹本だよ!」


「あぁ笹本工業の笹本さんですか」


笹本工業の笹本さんとは弊社の取引先の一つの社長で、弊社の社長とは幼馴染である。


「笹本がさ、あいつなんもしらねぇんだよな。金属ばっか削ってっからさ、経営者仲間として、経営者として今知っておくべきことを教えてやってんだよ」


「それでYouTuberのお話を…」


「そうだよ!で、ユーチューバーがどうしたの?」


「それがあのYouTuberは演歌歌手ではないんですよ」


「はっ?」


「まぁYouTuberをやってる演歌歌手もいるとは思いますが、YouTuberイコール演歌歌手というのは違います」


「えっ?そうなの?」


「はい」


「でも間違いではないんでしょ?」


「うーん…間違いか、間違いではないかで言うと…間違いですね」


「それってどれぐらい間違いなの?」


「そうですね…フライドポテトをマクドナルドだっていうぐらい間違いです」


「どういう意味?フライドポテトがマクドナルド?意味わかんない」


「そういことです」


「えっなに?俺はそんな意味わかんないことを言ってたってこと?」


「…そうです」


「ふざけんなよ!どうすんだよ」


「社長、結構いろんな方にYouTuberのお話をされましたよね?」


「したよ」


「みなさんどうでした?」


「みんな関心してたよ?そうなんですかー、お詳しいですねーって」


「みなさん本当にいい人たちで、社長の行きつけのスナックのママから、会社の近くの定食屋でよく居合わせる近所の工務店の人たちまで、社長に恥をかかせないようにこっそり教えてあげてくださいって、私のところに連絡が…」


「はっ?なんだよ!みなさんって、みんな?」


「ほぼみみんなですね」


「おい、なんでだよ」


「むしろこちらがお聞きしたいですよ、なんで街中の人にYouTuberの話をされているんですか?幼稚園からも連絡ありましたよ?」


「しらねぇよ!なんで幼稚園から連絡あんだよ!」


この街の人は優しい。社長、そして弊社は地域の人から愛されているのかもしれない。地域との関係は中小企業においてとても重要なことだ。これは我が社にとって大きな資産です…などテキトーに社長に申し上げて、話を切り上げた。


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