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0022 - 第 1 巻 - 第 2 章 - 16


 朝食の後、ついにこの都市を探索する時がやってきた。


 詩織は悠樹と萌花に付き添うために、今日も一日店を休みにして、カールズ城のガイドをすることにした。二人はその好意にとても感謝した。


 三人は情報収集の進め方について話し合った。


 悠樹と萌花の目的は、<新元素の賢者レベルの魔法使い>と<召喚された地球人>を探すこと。


 魔法と魔法使いについては、一番情報が多いのは魔法教会である。最近、教会にはよくない噂があるため、悠樹と萌花は一段と注意しなければならない。特に召喚魔法の話は控える必要がある。『例の魔法使い』に関する情報は、目的を気付かれないように遠回しに聞いて収集するしかない。


 危険や混乱を招かないため、三人は外出時に悠樹と萌花が<詩織の遠縁の親戚>という偽の身分を名乗ることにした。嘘をつくのは心苦しかったが、彼らには仕方がない。


 魔法教会以外にも、図書館には様々な情報があり、その中には魔法に関するものも含まれていた。カールズ城や近郊の都市でこれまでにあった出来事、どんな産業や技術があるのかなども、ここで知ることができる。二人がこの世界で生きていくためには、この世界についてもっと知る必要があった。そして図書館はそれを効率よくできるうってつけの場所。


 他に召喚された人がいるかどうかは、行政センターやスカーベンジャーギルドで確認するのも手段の一つ。これらは頼りやすい場所で、特にスカーベンジャーギルドは人が混雑しているため、もし召喚された人が見つかった場合、ギルド内に必ずそういった情報があるはずだ。


 行くところを確認したあと、三人は外出して情報収集を始めた。出発前に三人はもう一度地下室に下りてあの魔法陣を確認したが、それは依然としてなんの変化もなく、壊れたままだった。


 距離的に、魔法教会の教会堂は詩織の家から一番遠いため、三人はそこを午前のスケジュールの最後にした。


 まずは図書館へ。図書館に着くと、悠樹と萌花はこの世界では書物がとても貴重なものであることを知った。図書館は毎日無料で開放されているが、書籍の貸し出しはできない。


 多くの資料の中から求める情報を見つけるには大量の時間が必要であり、これは一日や二日で終わるものではないことを二人は理解した。つまり、彼らにはまずこの世界の文字を学んでから、頻繁にここに通って資料を調べなければいけない。


 今はここでできることがなかったため、三人は図書館を離れ、他の場所へ向かった。


 次は行政センター。ここは都市中で最も大きく高く、最も人が往来する場所。就職や納税、都市の拡張など、個人から団体まで様々な事務がここで行われる。数千平方メートルの回廊には多くの窓口があり、たくさんの人が列を作っている。2階や3階の各事務所も業務が繁忙だ。


 このような人が多くて空気が淀んでいる場所は、三人は少し息苦しさを感じた。


 彼らはホール内をゆっくりと歩きながら、しばらく観察していた。皮の鎧を着て腰に武器を佩びて資料を記入している人、片手を腰に当てながら帳簿を持って職員と口論している人、酔っ払って他人に迷惑をかけて連れ去られた人……様々な声が飛び交っていたが、地球人らしき者は見当たらなかった。


 三人は行政センターを後にし、次はスカーベンジャーギルドへ向かった。


 途中、彼らは服装店や百貨店などの店に立ち寄った。悠樹が、売られているものの種類や価格を把握することで、この都市をよりよく知ることができると考えていたので。


 スカーベンジャーギルドに到着。行政センターほどではないが、ここもすごく大きな建物だった。1階のロビーには多くの人が集まり、ほとんどが武器や魔法の杖を持っている。ここは戦闘員たちが集まり、待機する場所だ。ロビーの両側には椅子とテーブルがあって、誰でも座って休めるスペースだ。スカーベンジャーたちはあちこちで雑談している。


 ロビーの奥にはスカーベンジャー専用の休憩場と訓練場があった。時折、木材同士がぶつかる音や男性の叫び声が聞こえてくる。それはスカーベンジャーたちが木製の武器で訓練している音と声だ。


 悠樹と萌花は周囲を観察しながら、スカーベンジャーたちが召喚者について話をしていないか耳を澄ませた。


 ロビーの両側の壁には掲示板があり、そこには羊皮紙に書かれたスカーベンジャーを募集する依頼が貼られている。内容の多くは人員が他の都市へ移動する際の護衛、または『猛獣討伐』など、その他は雑用や人捜しのものもあった。これは完全に悠樹と萌花がよく知っているロールプレイングゲームの形式だったため、二人は少しウキウキした。


 しかし、三人はしばらくいたものの、行政センターの時と同様に、なんの手がかりも見つからなかった。


 今回、悠樹が勇気を出して受付係に「最近、なにか変わったこととか、変わった人がいませんでしたか」と尋ねたが、返事は「特にない」とのことだった。


 どうしようもない三人はスカーベンジャーギルドを後にするしかなかった。


 最後に魔法教会の教会堂に着いた。


 教会堂は魔法教会の支部だ。魔法に最も詳しい場所であり、また、『例の魔法使い』に関する情報がある可能性が最も高い場所でもある。




 読んでくれてありがとうございます。

 もしよかったら、文章のおかしなところを教えてください。すぐに直して、次に生かしたいと思います。(´・ω・`)

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