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0014 - 第 1 巻 - 第 2 章 - 8


 昼食を終えると、三人は少女の家兼アトリエに戻った。


 この世界について、特に<例の魔法陣>についてより詳しく知るために、アトリエに戻った後、二人は少女に教えを請うことにした。


 少女も自分が知っているこの世界のことを彼らに教えると快く引き受けた。二人は心から感謝した。


 少女が話し、二人が聞き、分からないところがあれば質問する。こうして悠樹と萌花はこの世界のいろいろなことを知った。


 まず、地球とは異なり、この世界には名前がないようだ。


 『猛獣』と地理的な理由で、人類の探索と交流は極めて制限されており、世界のほとんどは未知の地域。都市間の交流は定期的な猛獣掃討活動によって維持されている。


 人類と猛獣の絶対数の比率は人類にとって圧倒的に不利である。歴史上、囲いの中に閉じこもりたくない人々は『猛獣殲滅戦』と呼ばれる運動を何度か起こし、大規模に猛獣を殲滅して人類の生存圏と勢力を拡大しようとした。


 しかし、『運動』はすべて多数の死傷者を出して失敗する結末で幕を下ろした。そこから教訓を得た人々は、猛獣の少ない比較的安全なルートを通り、都市間の交流を行うようになった。


 この世界では、一定の規模を持つ都市は<国>と呼ばれる。つまり、一つの都市が一つの国家である<都市国家>なのだ。<国>は単なる呼称であり、基本的には都市の規模を識別するために使われるが、都市が国と呼ばれる基準は地域によって異なり、その境界は非常に曖昧であるため、ほとんどは大規模な都市に敬意を表すために使われる。


 魔法に関しては、伝説によれば、各元素には一柱の創造神がいるという。地の元素の創造神『アーリス』、水の元素の創造神『アクア』、風の元素の創造神『アニロス』、火の元素の創造神『イギ』。


 人々は元素の創造神を信仰し、多くの宗教を築き、信仰を自己暗示に取り組んで魔法を発動する。長年の発展を経て、各宗教は統合され、現在の『魔法教会』となった。


 女性が優位な時代が続く中で、人々は『魔法抵抗材料』を発見した。この材料で作られた物品は魔法の威力を効果的に軽減できる。


 一方で魔法抵抗材料は、魔法を使う猛獣に対する人類の死傷率を減少させ、人類が猛獣に対抗する自信を高め、より良い発展をもたらした。他方で、魔法使いの社会的地位を低下させた。国や都市の政策、及びその地域の魔法抵抗材料の保有量によって、女性の地位は異なる。カールズ城は女性の地位が比較的高い。


 魔法使いの能力は五つの等級に分けられる。日常生活で魔法で他人に一定の貢献ができる『下級魔法使い』;スカベンジャーと共に猛獣の群れを狩ることができるか、中等の回復能力を持つ『中級魔法使い』;単独で猛獣の群れを狩る魔法能力を持つか、強力な回復魔法で多くの貢献をする『上級魔法使い』;圧倒的な魔法の実力と魔法に独自の見解を持ち、魔法研究に貢献する『魔導師』;自然と対抗する能力を持ち、魔法領域全体の発展を促進する『賢者』。


 杖、ペンダント、指輪などの「魔法道具」は、大量の魔素を含む特殊な鉱石や樹木などの天然素材から作られ、魔法使いが魔法を使う時に精神を集中させ、その威力をある程度高めることができる。しかし、威力向上には限界があり、複数装備しても効果は重複しない。加えて価値が高いため、魔法使いにとって必需品ではない。


 少女令狐詩織は水の元素の魔法使いで、魔法回路は右腕にあり、等級は下級である。彼女が常に持ち歩く杖は、祖母からの成人祝いの贈り物で、その性能は一般の魔法道具店で売られているものより少し優れているようだ。


 魔法道具店は魔法に関するすべての商品を販売し、魔法薬のアトリエは魔法薬の製造および販売を専門とする。


 各元素の魔法薬の効果はそれぞれ異なり、代表的な効果は:地属性が植物の成長を促進し、水属性が傷を癒し、風属性が目を覚まし、火属性が体質を向上させることである。


 魔法道具店は魔法のアトリエに注文を出し、小売売上高も加えて、収入は多くはないが、比較的安定した経営となっている。


 悠樹と萌花は学校の授業の時よりも真剣に聞いていた。


 現在、これらの情報の中で二人にとって有用なのは<このアトリエの経営が安定している>という点だ。少女が長期的に彼らを雇用するなら、彼らはここで手がかりを探す活動を展開することができる。


 「もう話すことはほとんどありませんね。では最後に特殊な魔素について」


 「特殊な魔素?」


 「はい。数十年前に、四大元素とは異なる新しい魔素が発見されました。この魔素の存在量は極めて少なく、この魔素で発動される魔法の特性は四大属性の中で共通点が見つけにくいです。また、その魔法陣が発する光も四大属性とは異なる銀色の光を放ちます。魔法教会はまだ議論中で、この魔素の創造神がいるかどうかも分かりませんが、教会の反応を見る限り、この魔素が『第五の属性』となる可能性が高いです。この属性の魔法回路は双魔法回路よりも稀少かもしれません」


 「そんな魔素もあるんだー」


 二人はあまり実感が湧かなかった。


 「<元素の種類が五つある>という先入観をお持ちになってしまうかもしれませんので、最後にお話ししました。見つけられるこの元素に関する最古の資料は230年ほど前のものだと言われていますが、現在に至るまで詳しい記載はなく、神秘に満ちた実在の魔素です。ですが歴史資料によると、この新元素で発動された魔法が最初に発見された時、それは悪魔の力と見なされ、その魔法を使う魔法使いたちは悪魔と見なされて狩られていました」


 それは『魔女狩り』ではなく『悪魔狩り』だった。原因は基本同じく、宗教的思想にそぐわない新しい物事への抵抗と恐怖。


 伝説では、四柱の元素創造神しかいないことになっている。故に、創造神が存在するか否かですら不明な第五の元素は、元素宗教に受け入れられるはずがなかった。人々は信じようとせず、考えようともしなかったため、盲目的に迫害を続けていたのである。




 読んでくれてありがとうございます。

 もしよかったら、文章のおかしなところを教えてください。すぐに直して、次に生かしたいと思います。(´・ω・`)

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