0116 - 第 2 巻 - 第 4 章 - 4
【千里&進&紗奈】
千里の言う通り、三人の進行速度は集団移動より遥かに速く、一日の移動時間もより長い。食糧を持参したため、最初の2日間は狩りの時間も節約できた。
2日後、彼らは渓流に沿って無事に川を見つけた。
川幅は10メートルほどで、流れは比較的穏やかで、水深も浅く、対岸へ渡ることができる。視界もいくぶん開けてきた。
3日目、彼らはこの世界に来て初めて山を見た。山の木々は樹海のものほど高くはなく、種類も少し違うようだが、同様に非常に背が高かった。
彼らは山を越えることを選ばず、川に沿って山地を迂回し進み続けた。移動距離は長くなるが、より安全になる。
2つの山を回り込むと、再び樹海が続いていた。
4日目の夕暮れ、彼らは川原でこれまでで最も驚くべき物を発見した――何かの木製工具の残骸のように見えるものだ。
その残骸は十字形で、2本の細い枝を重ねて蔓で縛ってあった。風化がひどく、完全に灰白色に変色し、非常に脆くなっている。蔓の部分は触れただけで崩れ落ちた。
これが何の工具の残骸で、いつ頃のものかは不明だが、この世界に人類がいることは確かだった。
なぜなら、道具を作り使用するのは人類だけだからだ。
これは三人の自信と前進の動力を大いに高めた。
彼らは再び樹海に入り、工具の残骸を発見した付近を探索した。
まもなく、放棄された集落を発見した。
集落の家屋は枝、石、粘土などで造られており、構造から見て蔓、葉、芋の葉などの植物性材料も使われていたはずだが、すでに土壌化していた。
屋根は傾斜の緩い切妻造りで、屋内の空間は広くなく、寝起きするのが精一杯で、家具と呼べるような物もほとんどない。
集落全体が非常に荒廃しており、少なくとも15年以上は放置されていた。多くの家屋はすでに崩壊し、使用できない。
日も暮れたため、彼らは集落内の一つ巨樹の根元で火を起こし休息した。
翌日、三人は集落を調査し、最も大きい家屋の中で、形と大きさが手のひらほどの石を2つ見つけた。
一つは3分の1が灰白色、3分の2が黒色で、左右がはっきり分かれている。千里はこれを燧石(火打ち石)と判断した。灰白色の部分は炭酸カルシウムなどで、叩き落せば中が黒い燧石。
もう一つは青黒色で、黄褐色の縞があり、燧石で叩くと黄色と青の火花が散る。
火打ち石であることを確認した千里は石をリュックに収めた。
その後、三人は集落の付近を探索し、すぐ傍に広いA芋畑があるのを発見。明らかに人為的に耕作されたものだ。
彼らは集落に1日2晩逗留して、十分な食料を補給し、充分な休息も取った。
6日目、彼らは再び出発した。
川に沿って進み続け、山麓や河谷を通り過ぎ、羊や小さな湖を見かけた。疲れたら靴を脱いで足を水に浸し、腹が減ったら焼き肉やベリーを食べる。
数日後、彼らはまたしても放棄された集落を見つけた。この集落は前のより少し大きいが、状況はほとんど同じである。
前回同様、調査後に食料を補給し、1日休息した。
こうして、三人が集団を離れて19日目、実質17日間の行進を経て、3つ目の集落を発見した。
調査中に雨が降り出したため、彼らは状態の良い家屋を見つけ、中で火を起こして休んだ。
千里:「ここも同じだな。金属製の器具は一つも見つからない」
紗奈:「でもかなり大きかったね、ここ」
進:「オレたちの脚力で言うと、平均5、6日で一つの集落を見つけられる計算になる。だけど不気味なのは、今まで一人も人間を発見していないこと……それにパニックが起こったような痕跡もない」
紗奈:「ええ、ちょっと怖いかも……原住民はどこに行っちゃったのかな…………」
千里:「原因不明の集団移住か、骨さえ残さない未知の災害か、それとも俺たちのような広範囲転移か……痕跡が古すぎて、何が起きたかまったく想像もつかない」
進:「…………」
紗奈:「………………」
雨音だけが、しんと沈黙する廃屋に響く。
千里:「あー、やめやめ。ただでさえ雨の日は気分が沈みがちなのに、こんな話するのは暗すぎる。俺は好きじゃない」
紗奈:「くすっ。あ、雨の日と言えば、みんなはどうしてるんでしょうね。あの最初の集落に辿り着いてたらいいんだけど。ちょっと家を直して使えば野宿よりずっといいからね」
進:「斗哉たちなら大丈夫だよ」
紗奈:「うん……進、まだちょっと元気がないみたいだね。私が燃える歌1曲歌ってあげよっか?」
千里:「おおっ! それいい!」
進:「別に元気ないわけじゃないよ。でも、歌ってくれるならもちろん聞きたいよ。そういえば、紗奈が声優志望って聞いてから、歌を聞いてみたいなって思ってたんだ。ずっと機会がなくて」
紗奈:「ええ~そう言われると急にプレッシャーだよ……」
千里:「みんな同志なんだから、緊張しなくていいよ。ひとつお願いっ!」
進:「お願い!」
紗奈:「もう……じゃあ──」
40日近く共に過ごして、三人の間柄はすっかり打ち解けていた。
同刻、今話題にした集団は依然としてあの池の拠点におり、まだ移動を開始していなかった。一定数の者がシェルターの試作品の下で雨宿りをしている。
突然、麻里香が口を押さえながらシェルターから飛び出し、前方の巨大な根元へ駆け寄った。
大翔が心配して後を追う。
麻里香は両手で強く口を押さえ、身を深く折り曲げ、顔面は青ざめている。
大翔が体調不良かと尋ねようとした時、麻里香は激しく嘔吐反射を起こした。
その後、麻里香は再び強く口を押さえ、全身に冷や汗を浮かべる。その様子から感じ取れるのは体調不良よりも、慌てと恐れだった。彼女は震え、目尻に涙が滲み出る。
シェルターの中の楓はそんな麻里香を見て、思わず眉をひそめ、呟いた。
楓:「………………やっぱり」
最近数日、楓は集団内の数名の女性が少し体調不良気味であることに気づいていた。麻里香のこの状況は、楓の推測を裏付けるようなものになったのである。
楓:「…………斗哉」
普段、楓はほとんど斗哉の名前を呼ばない。斗哉はすぐにその続きが良い知らせではないと直感した。
斗哉:「……ど…どうした?」
楓:「……私、今月の生理が来ないわ」
斗哉:「…………………………………………は?」
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