0110 - 第 2 巻 - 第 3 章 - 18
2時間後、地面を照らす陽光は次第に黄色みを帯び、戦いの後処理はほぼ完了していた。
高木団体の9名の戦闘員からは刃物などの危険物が全て取り上げられ、手足を縛られた彼らは移動することすらできず、集団に脅威を与えることは不可能になった。
進:「見つけたよ」
近くをパトロールしていた進は、ルナ、亜衣美、風俗嬢の3人を見つけ、拠点へ連れ戻した。
ルナ:「わあ……イケメン君の言う通りだね、本当に倒しちゃったんだ。すごーい……って言うかここ、前の湖よりずっと良さそうじゃない?」
亜衣美:「…………」
風俗嬢:「……」
集団の者たちはこの3名の女性が近くにいるのではないかと推測していたが、高木団体の者に聞いても誰も答えなかったため、進が自発的に高木団体が来た方向へ向かって彼女たちを探しに行っていた。
彼女たちは高木からある場所で待機するよう命令され、戦いが終わったら迎えに来ると言われていたが、来たのは進だった。
ルナ:「あなたがここのリーダーだよね? あら~近くで見ればガッチリしてるね!」
ルナは千里の腕を掴もうとしたが、千里は一歩後ろに跳んで避けた。
千里:「あなたたち3名をどうするかについては、後でみんなで相談して決める。その前に、俺たちの質問にいくつか答えてくれ」
要求に応じて、3名の女性は皆が知りたいいくつかの質問に答え、<高木団体にまだ潜伏している者がいるのではないか>という懸念を払拭した。双方とも別れてから新しい人員に出会っていない。
最後に、ルナは高木の計画についても語った。
千里:「……つまり、あなたはヤツらが俺たちを傷つけようとしていることを知っていながら、それでもヤツらを助けることを選んだ。そういうことだな?」
ルナ:「わ…私にも仕方なかったのよ。それに、あんなことになるなんて知らなかったし。あんたたちがこんなに強いって知ってたらあの人たちにつかなかったわ」
周囲の者はルナの厚かましさに呆れ顔を見せた。
千里:「…………三人は何か食べてて。俺たちはヤツらをどう処置するかを話し合う」
ルナ:「ありがと~! わあ~焼き肉だ! あっ、なにぃこれ~?」
風俗嬢:「本当にいいの? いただいちゃうわよ?」
亜衣美:「……」
彼女たちは昼食を取っていなかったため、食べ物を提供されると表情がそれぞれ明るくなった。
千里:「みんな、集まってくれ」
現在肉を焼いているのは亮太で、慧子はちょうど交代で休憩中だったため、議論に参加するためにやってきた。
千里:「慧子さん、あの時、高木が連続殺人犯だって言ったが、何か根拠が?」
慧子:「あの男の顔は私、毎日通勤で見てたからね、手配書で。縮れ毛、死んだような魚の目、それにそのクマと何粒かのあばた。間違いないよ。あと、そいつの名前は高木じゃない。本名は大牙深聡だ。ほら見て」
慧子は語りながらスマホのアルバムから手配書の写真を探し出し、皆に見せた。周りの人々は踵を上げてでも見ようと群がる。
女性の声:「本当だ!」
男性の声:「大牙深聡、31歳、連続住居侵入強盗殺人犯……」
男性の声:「この名前、聞き覚えがある! そいつに殺されたと確認できたのも少なくとも3人! まだ確定してないのもっと多いらしいぞ!」
女性の声:「危なかった!」
女性の声:「そうね……もしあの人たちが勝ってたら…………」
男性の声:「考えただけで恐ろしい!」
……
人だかりは口々に話し合っている。高木団体……改め大牙深団体の者たちでさえ、顔を見合わせた。
比口:「…………マジかよ? オレたちにも見せてくれよ!」
慧子:「ほれ」
慧子はスマホを大牙深団体の方に向けて見せた。
黒水:「………………」
斜め前髪の長い男:「…………」
17歳の男子高校生:「お…俺は最初から、コイツの計画がいくらなんでもヤバすぎるって思ったぜ! そんなにも危ない奴だったのか!」
比口:「最初っていつだよ」
ハチマキをした男:「ガチなやつだったのか……」
四谷:「……そ…それがどうした? 今更こなこと言ってなんになる?」
張三:「……こんなことならお前らについてくるんじゃなかった……」
大牙深団体の者たちは少し騒然とし、数人はお尻で横へずり、大牙深から離れたいかのように動いた。
千里:「さて、ヤツらをどうするか……」
――女性の声:「殺しちゃえばいい……」
麻里香は大翔に支えられ、殴られた頭を押さえながら人々の方へ歩いてくる。彼女は目を覚ましたばかりだった。
彼女のさっきの行動と現在の発言があまりにも攻撃的だったため、人々は少し恐れをなし、彼女のために道を空けた。
麻里香:「……こんな人間のクズども、殺したって誰にも迷惑かけないでしょ?」
彼女の表情と口調は大牙深団体への憎悪に満ちていた。
この過激な提案に対して、皆は安易に意見を述べることをためらい、小声で話し合うのみだった。
女性の声:「……あの子は…………その気持ち、分からなくはないかな……」
男性の声:「だが殺すとか、流石に……」
女性の声:「こんなこと、私たちが決めていいんでしょうか……?」
女性の声:「警察署に引き渡せればいいんだけど……」
男性の声:「何言ってるんだ。警察署があるなら、最初からこんなことになってないだろ」
女性の声:「殺すのはちょっとあれだけど……でもそうしないとしたら、ずっと縛ったまま?」
女性の声:「わたしたちの拠点の中で? あんなのと同じ場所にいるのは嫌だわ……」
女性の声:「この事件、どうなるんだろう……」
……
皆の声が次第に騒がしくなるにつれ、元々発言していなかった者も議論に加わった。
斗哉:「オレは殺してもいいと思うぜ。あの大牙深って奴、ただでさえ人殺しだったし、それにあいつら殺すつもりで来たんだろ。下手すりゃ、オレらが殺されてたんじゃねえのか?」
駿:「そうは言っても……実際にコイツらに手を下せる人いる?」
斗哉:「んっ……」
宏人:「逃がしたら、奴らが回復したらまた襲って来ないか?」
進:「確かに…………千里はどう思う?」
皆が次々と視線を千里に向ける。千里は考え込みを終えた。
千里:「……相応の罰を与えるのは絶対だ。だがこれは非常に重い大事。焦るべきじゃないと思う。一つ一つの点と主張を検討して、みんなが納得できる結論を出す必要がある。だからみんな、まずは食事を取ってくれ。食べ終わってから、腰を落ち着けてゆっくり話し合おう」
皆は千里の言う通りだと考え、その指示に従って動いた。
張三:「……おい、どうすんだ? まさか本当に殺されちまうんじゃ?」
比口:「ここまで縛られちゃどうしようもないだろ、どうやってお情けにすがって勘弁してもらえるか考えた方がいいぜ……」
17歳の男子高校生:「クソ、クソ、クソ………………」
ハチマキをした男:「最初からお前らのデタラメに乗るんじゃなかったぜ! クソが!」
倉岡:「…………最初から全員でかかってぶちのめしたら、こうはならんかったんだ……っ……痛えぇ……まだ回復してねえ……腹減った……」
斜め前髪の長い男:「あいつらがあんなにやれるって分かるかよ? オレは十分やってた。お前らが弱すぎたせいだ!」
四谷:「それを言うなら親ぶっ……いや、大牙深のせいだ!」
張三:「そ…そうだ! その通りだ! 全部この人殺しのせいだ! 俺は悪くない!」
黒水:「…………………………」
大牙深団体の者たちは程度の差こそあれ不安と後悔に駆られ、顔色を青ざめさせた。
一方、集団の者たちは焼き肉や焼き魚、A芋を頬張りながら歓談していた。顔に襲われる心配がなくなり、時折笑い声も上がる。両者の対照は鮮明だった。
千里:「慧子さん、大牙深の状態はどうだ?」
慧子:「血はたくさん流したし、全身傷だらけよ。このまま栄養補給もさせずにちゃんと横にでもさせないと、明後日まで持つかどうかって感じね」
大牙深の顔は青白く、唇は干からびている。応急処置で刺された傷はだいぶ塞がれたものの、一度も目を覚ますことなく、脈も弱かった。
千里:「そうか」
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