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*** 9 核兵器存在せず ***



この物語はフィクションです。

登場人物、国家、団体、制度などが実在のものと似ていたとしても、それは偶然です。

また物語内の記述が事実と違っていたとしても、それはフィクションだからです。




 


「おー、ここが紀元前3万年の地球かぁ」


「確かこのころの氷期って、紀元前11万年に始まって紀元前1万5000年に終わったんだよな。

 その割にゃああんまり氷で覆われてねぇな」


「あー、氷期って言っても21世紀の地球に比べて平均気温が3度低いだけだ。

 それでもツンドラや氷河は30%も多いが」


「たったそれだけの気温の違いで氷圏がそんなに違うのか……」


「地球全域に飢饉を齎した15世紀から19世紀の小氷期も、21世紀に比べて平均で1.5度低かっただけだからな」


「なあ、なんでそんなに氷期が頻繁に訪れるんだ?」


「銀河連盟大学の講義でやっただろうに。

 地球のある太陽系の太陽は理想恒星より少し質量が足りなくって表面温度が低いんだよ。

 でもって表面温度が低いほど温度が安定しないんだ」


「それでも地球は太陽に近いところを回ってるから生命が発生出来たわけだが、その分宇宙の標準的な生命惑星と比べて気候が安定してないんだな」


「あー、だから銀河標準年が9600時間なのに対して地球の1年が8772時間だったのか」


「ヒューマノイドは気候が安定してて食物の多い時にはすぐに人口を増やすけど、氷期が来て喰い物が減るとあっという間に人口も減るからなぁ」


「その時に『腹が減ったら他人を殺して食べ物を奪え』っていうことを覚えた奴ほど生き延びたわけだ。

 そうした傾向が選択強化されて子孫に伝わっていったんだろう……」


「だから気候変動が大きな地球ではヒューマノイドがあんなに好戦的になってるのかもしれん」


「そしたらさ、さらに過去に飛んで太陽に質量をブチ込んで核融合反応を亢進させて、その分地球の軌道を太陽から離したらどうだ?」


「それは最終手段だな。

 俺たちがいくら頑張っても地球ヒューマノイドの暴虐が止まらなかったら、階梯宇宙中央神殿にその作戦を提言しよう」


「そうするか」


「それけっこうアブナイ手段なんだけどな。

 恒星の寿命はその質量の3乗に反比例するから、太陽の質量を10倍にすると寿命はわずか1000万年になっちまうし」


「しかもそれって太陽質量が8倍以上になるから最後は超新星爆発だな」


「それじゃあ生命が発生する間もなく地球滅亡かよ!」


「質量を倍にしただけでも太陽寿命は8分の1になるから太陽寿命はたった18億年か……」


「地球の生命発生以前に太陽は白色矮星化だな……」


「なあなあ、太陽と地球の中間地点ぐらいに俺たちが人工太陽を設置してやるってどうかな。

 太陽の黒点増加で表面温度が下がったら、その分地球に赤外線を照射してやるとか」


「3次元空間に人工太陽を置くと公転周期の違いから位置がズレちまうけど、人工太陽本体は重層次元空間に置けば可能だな。

 赤外線照射プローブだけ3次元空間に出して」


「位置がズレないように人工太陽を自走式にしてもいいな」


「まあその方法でも19世紀ぐらいまでは誰も気づかないかもだ」


「でもよ、20世紀後半とかになると、『あの赤外線源はなんだ?』『あれを我が物とすれば地球を支配出来るぞ!』ってヤタラに近づいて来る奴が増えるんじゃね?」


「まあ、そういう連中にはラジオ体操やらせるとしてもだ。

 その対策だと俺たちが何億年も地球の面倒を見なきゃなんなくなるぞ」


「それじゃあどうしたらいいかねぇ」


「地球を含む太陽系の太陽は、その誕生時にダークマターを取り込み過ぎたんだよ」


「ダークマターって重力相互作用以外では常物質バリオンと相互作用起こさねぇんだろ」


「あーだから太陽中心核の核融合反応を、多すぎたダークマターが邪魔しているんか」


「まるで原子炉の制御棒みたいなもんだな」


「だったら太陽が出来た50億年前より前に飛んで、その宙域の星間物質を転移装置で転移させる一方で、純粋水素資源を補給してやればいいのか」


「俺たちは純粋水素を山ほど持ってるからいいけど、それでも大掛かりな作戦だよなぁ」


「まあこれも検討課題だな。

 もう少し地球の状況を改善させて余裕が出来たら検討しよう」


「そうするか……」



「それにしてもよ、なんでヒューマノイドは豊作だとすぐに人口を増やすんだ?

 そんなもんちょっとでも不作になり始めたら、すぐみんな飢え始めるのはわかりきってるのによ」


「全体ではそうなることがわかってても、個人レベルでは実感出来ねぇからじゃねぇかな」


「でも日本なんかいくら喰い物が豊富でも少子化に悩むようになってたぞ」


「G7なんかの先進各国も、人口増加はさほどじゃなかったし」


「その一方で中国とインドはヤタラに人口を増やしたけどな。

 2020年には地球人の3人に1人はインド人か中国人だったぞ」


「うーん、先進国とインドや中国との違いはなんだったんだろう?」


「教育の違いか?」


「インドにも中国にも義務教育制度はあったぞ」


「インドの場合は家が貧しくって農業の手伝いとかで学習時間が少ないとか。

 中国は小学生に反日教育とか共産党や国家主席を称える思想教育ばっかりやってるせいで、一般教育の時間が半分も無いとかかな?」


「あーそれさー、1950年ごろの中国とインドの男性平均寿命って、どっちも40歳行ってなかったんだ」


「「「 えっ! 」」」


「『人生50年』どころか40年かよ……」


「それって日中戦争の戦死者のせいか?」


「いや、あの戦争は中国国内の民間人犠牲者はさほどでもなかったからな。

 ほとんどは毛沢東の『大躍進政策』の失政によるもんだ」


「あーあの農業なんかほとんどしたことなかったのに、『国家主席閣下は無謬の英雄である!』って思想教育のせいで、無茶苦茶な命令でも誰も疑問に思わなくって6000万人も飢餓死出して『大飢饉政策』になっちまったやつか……」


「あの人類史史上最悪の犠牲者を出した失政か」


「まあインドも藩王とかいう威張ることしか能の無ぇジジイ統治者のせいで、1970年でも平均寿命は51歳だし中国は62歳な。

 だから親が早く死ぬから早く子供作んなきゃって、国全体の人口は急増してたんだろう。

 でも2020年にはインドが70歳で中国が74歳になって来てるから、これからは生物としての全体本能で人口の伸びも抑制されるって言われてたそうだな。

 まあみんな核の冬で滅んじゃったけど……」


「そうか、平均寿命が短いと早く子を生みたくなるのか。

 その上、大量に生んだ子供たちが成長して大人になるにつれて、普通の国並みに寿命を延ばして来てるからあんなに人口が増えたのか……

 喰い物の量だけが要因じゃなかったんだな」 


「でも『喰い物があればあるだけ子を増やす』っていう傾向さえ減らせたら、過去の地球の紛争も減らせてたかも」


「その傾向ってどうやって抑制するんだ?」


「そのことについてもこれからも考えていこうか」



「それじゃあ武三郎(物資調達担当)、この惑星に監視体制を築いてくれ。

 本体は近傍重層次元にあって、プローブだけがこの次元にある監視衛星を36基配備してもらいたい。

 そうだな、紀元前5000年ぐらいから21世紀までの観察データが欲しいが、7000年も時間かけてるわけにはいかねえから、20年ごとぐらいの刻みで配備を頼む。

 それから、まだ監視網は粗くていいが、地表観察用のミリマシン散布も同様にな。

 特に紀元前5000年から7世紀ぐらいまでの日本と、小氷期の始まった15世紀から21世紀までの世界は厚めの観測体制にしてくれ」


「他に特に観測したい時期と場所はあるか」


「そうだな、やっぱり15世紀に氷期に入ってからの北海道も重点観測してくれるか」


「そういえば兄貴は北海道出身だったか」


「確か親父さんが熊人族でお袋さんがヒト族だったよな」


「ああ、他種族同士の夫婦でも子は必ず母方の種族になるから兄弟と姉はみんなヒト族だったがな」


「でもその兄貴の体格とパワーは熊人の親父さん譲りだったわけだ」


「たぶんそうなんだろうな。

 それじゃあ武三郎、よろしく頼むわ」


「おう!」


「それから武六郎(実行部隊第1師団長)、お前は配下のアバターたち2万体とこの時代に残って、21世紀に知られてるウラニウムの埋蔵量の多い地域をチェックして採掘を始めてくれ。

 カザフスタン、カナダ、オーストラリア、ニジェール、ナミビア、ロシア、ウズベキスタン、アメリカ合衆国、中国、マラウイだな。

 21世紀にはウラニウム鉱の生産量はこの10か国で100%と言われてるし」


「ウス!」


「ただ、21世紀には北朝鮮地域にもウラニウム鉱はあって、しかも世界最大の埋蔵量を持つオーストラリアよりも多いんじゃねぇかっていう調査報告もあるんだ。

 どうやら鉱脈が深すぎてあの国の技術力じゃあ発見出来ないらしいんだけど。

 だから念のため探査して、あのアブナイ国のウラニウムを完全に枯渇させておいてくれ」


了解ラジャ!」


「俺と残りの9人は、2020年に飛んで、あのプーチンチンとプーさん主席を失脚させてくるわ。

 俺たちは転移神術で時空間を移動出来るが、残念ながら時空を超えた通信神術はまだ無いから、これからしばらくは主観時間で30日に一度この本部に集まって報告会をしよう」


「「「 おう! 」」」




 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




「さて、この2020年に核兵器は存在してるか?」


「いや熱核兵器は全く無ぇな。もちろん原発も無いし」


「だがその代わりBC兵器を含む通常兵器はヤタラに多いぞ」


「それじゃあまずBC兵器は密かに探知して潰していくか。

 外見はそのままで、中身だけ水や砂にすり替えよう。

 それが終わったらあの2人の戦争指導者の排除だ」


「「「 おう! 」」」




「いやー、それにしてもあのプーさん主席のラジオ体操、ブキミだったよなぁ」


「そうだな、全人代の会場で3000人の人民代表を前にして演説しようとしたら、突然ラジオ体操だもんなぁ。

 しかもあの顔面表情筋の死んだむっつり顔のまま」


「なんか共産党幹部たちがプーさんを慌てて運び出した後、首相が『今日の主席閣下の一時的惑乱を外部に漏らした者は全員銃殺刑とする!』って吼えてたな」


「まああの国はそういう隠蔽工作は慣れてるからさ。

 あのプーさんの『ゼロコロナ政策』のときにゃあ、その瞬間からすぐにコロナ患者はゼロになったって報道されてたけど、その分肺炎と心不全の死者が100万人も増えてたのは国内では誰も報道しなかったし」


「ははは、『さすが主席さまのご威光だ! コロナ患者をゼロにせよと命じられた途端に誰もコロナに罹らなくなった!』ってぇやつな」



「あのロシア共産党のメンバーも驚いてたよなぁ」


「なにしろ大統領閣下が共産党最高幹部会の席上で突然ラジオ体操だからなぁ」


「すぐに大統領をクレムリンの地下に幽閉したあと、幹部たちは子飼いの軍事基地に連絡して緊急出動態勢を取らせていたけどな」


「武十郎(実行部隊第5師団長)、もう両国とも幹部1万名ずつに『ロックオン』はかけてあるし、ナノマシンも配備してあるからな。

 お前はこの時代に残って、これから後継者になろうとして内乱を起こそうとした奴がいたら全員ラジオ体操刑に処しておいてくれ」


「おう!」


「俺は一旦ミヌエットと元の階梯宇宙に戻って結果を確認してくるわ」





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