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*** 33 神界の存在意義 ***



この物語はフィクションです。

登場人物、国家、団体、制度などが実在のものと似ていたとしても、それは偶然です。

また物語内の記述が事実と違っていたとしても、それはフィクションだからです。




 


 主観時間でさらに1年後。


「よし、本日からは実際に格闘訓練用ドローンに攻撃をするように。

 そのドローンの骨格や筋肉組織はほぼヒューマノイドと同等になっている。

 キサマらが十分な有効打を当てられれば、倒すことも出来るぞ。

 しかもこれらドローンは反撃してくることもない。

 それでは訓練を開始せよ」


 だがもちろん、格闘技の経験など全く無い候補生たちは、ドローンに攻撃を当てることなど出来なかったのである……



 さらに1年後。


「よし、本日の訓練からはドローンが反撃を始める」


((( ………… )))


「だが安心しろ。

 ドローンは致命傷になるような攻撃は行わないよう設定してある。

 せいぜい骨が折れたり内臓が破裂したりする程度だ」


((( ……うぅぅぅっ…… )))


「それでは訓練を開始せよ」



 ドカ! 「ぎゃっ!」

 ドム! 「ぐえっ!」

 ボキ! 「ぎゃぁっ!」

 ・

 ・

 ・


「なんだキサマらもう戦闘不能になったのか、情けない」


「で、ですが教官殿……

 わたしは腕の骨が折れていて…… ぐうっ」


「あのな、ヒューマノイドの戦士の中にはたとえ腕が折れていても、お前を蹴り殺そうとして襲って来る奴もいるんだぞ」


「!!!」


「両腕が折れていても、短剣を口に咥えてキサマを刺し殺そうとする者もな」


「「「 !!! 」」」


「まあいい、『エリアヒール』

 さあこれで皆怪我は治ったろう。

 直ちに戦闘訓練を再開せよ」


「「「 !!!!! 」」」


「あの、教官殿…… ま、まだやるんですか?」


「当たり前だ」


((( ………… )))



 ドカドカ! 「ぎぃゃっ!」

 ドムドム! 「ぶぐえっ!」

 ボキバキ! 「ずぎゃぁっ!」

 ・

 ・

 ・



「一通り戦ったな、それでは『エリアヒール』」


「あ、あの、教官殿」


「なんだ」


「こ、この格闘訓練用ドローンのレベル設定はいくらなんでしょうか……」


「今は最低のレベル20に設定してある。

 キサマらが希望するならばレベル100までは上げられるぞ」


「という事は総合レベル3の我らが7人いれば勝てるのでしょうか!」


「いや、キサマはカン違いをしている」


「と、と言いますと……」


「レベル差は倍数ではなく2の累乗倍だ」


「「「 ??? 」」」


「そんなことも知らんとは……

 いいか、レベルが1上の敵と対等に戦うには確かにキサマらが2人いればいい。

 だがレベル差2の敵と対等に戦うには2の2乗で4人が必要になる。

 レベル差が3ならば2の3乗で8人だな」


「「「 !!!! 」」」


「つまりレベル20の敵にレベルが3しかないキサマらが対等に戦うにはためには2の17乗で約13万2000人必要になる」


「「「 !!!!!! 」」」


「だが対個人戦の場合、戦闘正面幅はせいぜい10メートルだろう。

 よってキサマらが何人束になっても勝てん」


「な、ならば神術を使えれば!」


「このドローンには神術発動体を持たせてある。

 その場合にはキサマらの13万2000倍の威力を持つ攻撃神術が襲い掛かって来るぞ」


「「「 !!!!!!!! 」」」


「いいか、レベル差というものはそれほどまでに大きいのだ。

 キサマらがレベルを1上げるのに100年かかるのも当然である」


「「「 うぅぅぅっ…… 」」」


「で、では神力レベル600に至るには!」


「2の597乗、すなわち今の5.2×10の179乗倍の効力を持つ神術行使が出来るようにならねばならん。

 ただし、この数字はこの階梯宇宙に存在する全ての素粒子の数より多いからな。

 励めよ」


「「「 !!!!!!!!!!!!!!!!!!! 」」」




 そしてさらに1年後。


「よし、ある程度の体術は熟せるようになったか。

 それでは本日より武器を使用した模擬戦を行う」


「「「 おお! 」」」


「それでは各人目の前にある樽から、穂先を潰した槍を取れ」


「あの、教官殿……」


「なんだ」


「わたしは上級神家の一員であり初級神です。

 そのような槍などという雑兵の扱う武器ではなく、やはり王侯貴族が使うレイピアやエペなどの武器が相応しいと考えます」


「他にそのような武器での鍛錬をしたいものはいるか?」


 全員の手が挙がった。


「動機はともかくとして、キサマらの意欲や良し!

 それでは特別にレイピアも貸与してやる!」


「「「 おお! 」」」


「それではこれより神力枯渇から復活した際の30分休息の後のランニング1時間に加えて1時間を追加するものとする。

 その1時間を利用してレイピアの自主練習をせよ」


((( ……(え?)…… )))


「10回連続の神力枯渇による気絶から復活した後は、今まで通り丸8時間を使用して槍術の訓練を行う」


((( ……(あうぅぅぅっ)…… )))



 これこそが『藪をつついて蛇を出す』っていうことだね♪




 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




 使徒士官学校が開設されてから主観時間で100年が経過した。

(通常空間の客観時間では約10時間)


 学内診療施設では驚くべきことにまだ入院を続けているアルコール中毒患者が50名ほどいる。

 彼らはいずれも5000歳を超えた青年層に属する者であり、その継続飲酒習慣も5000年を超えていたために、回復にも相応の時間がかかるとみられる。

 まあ今までの人生で起きている時間の98%は泥酔していたので仕方がないだろう。



「士官候補生に告ぐ、キサマらの神力レベルも無事に1ポイント上がり、また戦闘訓練もそれなりに熟して来た。

 そこで明日よりいよいよ実戦訓練に入る」


 訓練生たちがザワついた。


「具体的には戦国時代と呼ばれる時代の甲斐武田家という軍の農民兵として、諏訪家という武装集団との戦争に参加してもらう。

 これよりそのためのブリーフィングを行うので注意して聞け」


「き、教官補佐殿っ!

 そ、それは我々が蛮族の戦争に巻き込まれて死んでしまう可能性もあるということですかっ!」


「安心しろ。

 キサマらはこの士官学校内にあるブースにてアバターと完全接続され、このアバターが戦場へ送り込まれる。

 つまりこのアバターが戦死したとしても、キサマらは決して死なないだろう」


((( ほっ…… )))


「き、教官殿!」


「なんだ」


「もしわたしがその戦とやらで敵兵を誤って殺してしまった場合、わたしには罪業カルマポイントがついてしまいます!

 そのような上級神家一族にとって不名誉なことは出来ませんっ!」


「それも安心しろ。

 キサマらが敵兵を殺したとすれば、それは士官学校教官長であるムサシさまの命令で行った罪業である。

 よって全ての罪業カルマポイントはムサシさまに付くことになっている」


「「「 おお! 」」」


((( っていうことは、俺たちが敵を殺せば殺すほどあのヒューマノイド上がりの下賤者の名が落ちて行くということか! 

 はは、俄然ヤル気になって来たぜ! )))



(やはりこ奴らは知能が足りんというか思考能力が無いか……

 我らはどの時代にも遡行出来るのだから、全ての実戦訓練の終了後に戦の開始前に飛んで総大将や武将をすべて発狂させ、最終的にその戦そのものを無かったことにするのも簡単なのに。

 そうすればムサシ殿に付いた罪業カルマポイントも全て消えるのにの……)



「ただしキサマらとこのアバターとは完全なる神経その他の接続が行われる。

 つまりこのアバターの運動能力はキサマらと全く同じであり、アバターが怪我をすればキサマらも痛みを感じるだろう」


((( でも死なないなら別にどうでもいいよな…… )))

((( 俺たちはこの士官学校で横になってりゃいいんだから )))


「それではこれよりキサマらが送り込まれる予定の甲斐武田家による諏訪領侵略戦争の詳細を教える。

 これはもちろんキサマらにヒューマノイドの戦争とは如何なるものかを教える場でもあるが、機会があれば非戦闘員の保護も行って構わん。

 心して聞くように」


((( はっ、なんで俺たち高貴な身の神や天使が下賤なヒューマノイドなんぞを助けなきゃならんのだ…… )))


((( どうでもいいけど勝手にアバターがやってくれるだろ…… )))


((( 未開世界の蛮人共も、高貴な俺さまの神威を浴びてすぐにひれ伏すことだろう! )))



(ふむ、こ奴らはまるでヤル気が無いか……

『神界の存在意義はヒューマノイドの安寧に資することのみ』という神界の本質をまるで理解していないとみえる。

 まあいいだろう、これで我らも心おきなくこ奴らを地獄に叩き込めるな……)





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