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*** 11 個別暴虐行為対処 ***



この物語はフィクションです。

登場人物、国家、団体、制度などが実在のものと似ていたとしても、それは偶然です。

また物語内の記述が事実と違っていたとしても、それはフィクションだからです。




 


「いやー、あのクロマニョン人救援、びっくりするほど効果あったわ。

 まずロシアとカナダと中国北部と朝鮮地域の民族が随分と穏やかになったおかげで、21世紀以降の戦争行為がさらに20%減ってたぞ。

 それで30世紀のヒューマノイド生存率が35%になってたわ。

 ただ、弊害としては当該地域では『神界の恩寵』っていう概念がかなり広まってたな」


「それって大丈夫なのか?

 元宇宙の神界は、未開世界に対して神界の存在を明かすことを禁じているだろ」


「いやそのことなんだがよ。

『極度の暴虐世界の未開住民の民度を上げるには、過去に於ける神界の大々的な援助が非常に効果的な可能性がある』ってぇ考え方を中央大神殿の神々が検討し始めてくれたんだよ。

 だから俺たちの実験も続けてくれとさ」


「まあ神々も、どんなにヤバい実験やっても、どうせ滅んじまう世界なんだから構わんだろとか思ってるんだろうな」


「今までは時間遡行神術による過去の改善なんていうことはやったことがなかったから、新発見でもあるんだろうが」


「そうなると、援助用の食料もさらに大量に必要になるか」


「俺もそう思ったんで、中央大神殿にまた階梯宇宙の放浪惑星を10個ばかりくれって頼んで、了承を貰って来たわ。

 その惑星を砕いて全元素を『抽出』したカネで、階梯宇宙全域の農業世界からまたたっぷり食料を買えるだろう」


「あれだけの数の農業主体の恒星系があるんだから、カネや資源さえあれば食料はいくらでも用意出来るだろうな」


「しかも農業世界はみんな喜ぶだろうし」


「資源もたっぷり売るから工業系の恒星系も喜ぶぞ」


「それじゃあ不作が原因で侵略武装強盗戦争を起こしそうな古代地球上の地域には、俺たちが食料援助していこうか」


「それでも侵略を始めようとしたり、俺たちの潤沢な食料を狙って攻め込んでくる支配層は全員発狂刑だな♪」


「武二郎(資源担当)」


「オス!」


「お前は部下を連れて元の階梯宇宙に戻り、放浪惑星を砕いて資源抽出を始めさせてくれ」


「ラジャ!」


「俺もまた元の階梯宇宙に戻って、この食料援助が未来の歴史にどれぐらいの影響を与えたか確認してくるわ」




「どうだったミヌエット」


「西暦1年から2000年にかけての戦争が2割も減ってたわ♪

 でも、その分人口が増えてて、飢饉に対して脆弱な社会にもなってるみたい」


「2割しか減ってないのはその脆弱性のせいだな……

 それじゃあ8万年前の地球に戻って追加の作戦を考えよう」




 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




「ということでみんな、これからは個別案件の対処になり、したがってその効果はさほど大きなものではなくなるだろう。

 だが、小さな作戦でも数多く熟して行けば、その成果はだんだんと大きくなっていくと思われる。

 それでみんなの意見を聞きたいんだが、たとえばどんな暴虐行為が許せないと思う?」


「やっぱりあのアレキサンダー王の東方遠征は許すべきじゃないだろう。

 いくら自分や自国の安全確保のためとはいえ、あそこまで広い範囲を侵略する必要は無いよな。

 しかも統治機構を全く用意してねぇから、自分の死後にその地域が勢力争いの戦争だらけになったし」


 アレキサンダー大王:

 マケドニア(ギリシア北部)出身。在位:紀元前336-紀元前323年。

 僅か13年の在位期間でギリシア、メソポタミア(イラク)、エジプト、ペルシア、インド西部を征服して大帝国を作ったが、統治体制を用意しなかったために死後に内乱が頻発し、当該地域に余計な戦乱と民の死を齎した。



「いくら戦争が強くて大帝国を築ける能力があっても、統治能力が無い奴がそれを実行しちゃダメだよな」


「こいつは一応俺が説教してみるが、従わなければバフォメットの刑にしようか」


「次はアッティラ大王か」


 アッティラ大王:

 フン族ハンガリー出身。在位434-453年

 現在のロシア西部から東欧、ドイツを結ぶ大帝国を作ったが、その過程で多くの民を虐殺、または奴隷兵士として徴兵。

 東ローマ帝国にも頻繁に侵攻したが、撤退の条件に莫大な金銭を要求した。

 金儲けのために戦争をした王の典型例。

 やはり統治機構は用意出来ず、その死の直後から大内乱が勃発した迷惑極まりない王。



「俺はあの元(モンゴル帝国)のフビライも許せねぇよ。

 東はオホーツク海から西はターキー、南は中国までの大帝国を作ったけど、あいつら遊牧民だけあって、街や村に定住する農民を不浄な者だと思ってたそうなんだ。

 それで、中央アジアなんかで街に降伏を促して、それが断られると街の住民を皆殺しにして首を撥ね、その首で小山を作って喜んでたらしいんだよ。

 どうも王族の兄弟親戚の間で誰が一番残虐かって競ってたらしいな。

 ヨーロッパの歴史家たちには『ただただ残虐なだけで、人類の歴史にほとんど貢献していない王朝』って言われてるしよ」


「そうか、武五郎(建設担当)」


「おう!」


「元の階梯宇宙に飛んで、長大な石壁を建造する準備をしておいてくれ。

 高さ50メートル、厚さ30メートルぐれぇでいいな。

 フン族の王アッティラに説教して従わなかったら、フン族の居住地域を覆う城壁を造ろう。

 出入り口や門は作らなくてもいいから。

 奴らにはその中で暮らしてもらおう」


「了解!」


「モンゴル王国への対処はフン族囲い込みの結果を見てからでもいいだろう」


「あー、それフン族内の内乱が激化しないかな」


「それに、将来モンゴル帝国の武将たちがみんな重度の閉所恐怖症に陥りそうだな」


「ついでに殺人衝動を発散出来なくって狂い始めるかも」


「そんな奴らがいくら狂っても構わんが、民衆に迷惑がかからんように、『他人に暴力を振るおうとしたら即ラジオ体操刑』にもしよう」


「わははは」


「そんなんで何百年も暮らしてたら、それぞれどんな国になるんだろうな」


「そうだな、それでまともな国になれたとしたら、同じような施策を他の地域でも行おう」


「ところでそれだけの量の石材はどこで調達する?

 アステロイドベルトの小惑星でも砕くか?」


「いやサハラ砂漠やゴビ砂漠やタクラマカン砂漠の砂や岩石で十分だろう。

 それらの砂漠は結構深いところまで砂や砂利があるし」


「だったらついでに中国の戦乱も抑え込んでいこうか。

 春秋・戦国時代から清までの紛争・侵略国を全部壁で覆うとか」


「はは、まるで万里の長城だな」


「まああれを1万倍ぐらい拡大した規模になるか」


「ははは、『三国志』も『キン〇ダム』も無くなっちまうんか」



「それから、何と言っても古代ローマ帝国の周辺地域への侵略と奴隷調達だな。

 あの侵略は隷属化じゃなくって属州としてローマ人と同じ扱いをしたとか、ローマ中心に街道整備が進んだとか、奴隷も一定期間の奉公の後に解放していたとか、ローマの奴隷はかなり待遇が良かったとか古代ローマを擁護する声もあるけどよ。

 でも侵略される方にとっては堪ったもんじゃねぇよな。

 抵抗すれば殺されるし、負ければみんな奴隷にされちまうんだから」


「そうだよなあ、古代ローマの執政官とか皇帝に対する市民からの評価って、『どれだけ属州を増やしたか』だったもんな」


「ローマ市民には納税の義務が無かった代わりに、執政官や皇帝が侵略しに行くときには参戦の義務があったんだろ」


「市民からの納税が無いっていうことは、それだけ奴隷の無償労働に頼っていたわけだ」


「貴族である元老院議員は、次の選挙でも当選出来るように市民に人気取りしてたよな。

 神殿を造るとか公衆浴場を造るとか闘技場を運営するとかで。

 それって原資は全部奴隷の無償労働だもんな」


「そういうふうに奴隷制が当たり前になって欧州に普及したのは、ローマ帝国に大きな責任があるか」


「よし、それなら今度初期ローマ帝国に飛んで、執政官や元老院に説教してこよう」



「次に抑制すべきは宗教家による犯罪だな。

 あのキリスト教圏とイスラム教圏の隔離によって、十字軍は抑止出来たのか?」


「結構な集団の自称キリスト教徒たちが略奪と奴隷確保の目的でイスラム教圏に入ろうとしたけど、ムサシさんたちの監視網に引っかかって、武器と衣服と兵糧を失ったそうよ。

 それでも指揮官の貴族なんかは、その辺りの木で棍棒を作って進軍しろって喚いたの。

 自分は一番後ろからついていくつもりで。

 食料はイスラム教徒の村で略奪しようとしたらしいわ。

 どうやら武器や兵糧を失った損害を少しでも取り返そうとしたようね」


「それでどうなったんだ?」


「ふふ、貴族って普段はハデハデな貴族服を着てるでしょ。

 鎧も金ぴかだし。

 でも服も何もかも失ってたから、誰もその人が貴族だってわからなくって命令はほとんど無視されたそうよ」


「誰も貴族の顔を知らなかったのか?」


「貴族の顔なんかまともに見たら『無礼者っ!』って言われて手打ちにされちゃうもの」


「あー……」


「あいつら貴族が異様にハデな服着てるのはそういうことだったんだ……」


「それに兵が御前に出て報告とかする時も、膝下して地面を見てないと貴族は激怒するし」


「なるほどなぁ」


「多くの種族に於いて、下位の者が上位者の目を見つめるのは下剋上のケンカ売るときだもんな」


「よくDQNたちが『手前ぇガン飛ばしやがったな!』とか怒ってたし」


「貴族の顔を知ってる子飼いの護衛兵もいたけど、その人たちもただのマッパなおじさんだしね。

 しかも傭兵なんかは、最初の報酬は現地で戦争を始める直前に支払われることになってたらしいのよ。

 前金だけ受け取って逃げないようにっていうことなんでしょうけど。

 だから『俺たちは貴族とその護衛だ』って喚いてるひとたちに『カネはどうした』って聞いたけど、もちろんあなたたちが全部没収してあるでしょ。

 それで多くの貴族とその護衛たちは傭兵たちに殴り殺されちゃったの。

 約束した報酬を支払わない雇用者は殺すのが傭兵の掟なんですって」


「あー」


「また兄貴の罪業カルマポイントが増えちまったか」


「でも十字軍のせいで殺された民が助かったから、功徳プーニャポイントもたくさん入っただろうに」


「まあこの任務では罪業カルマポイントはあまり気にしないことにしよう。

 なにしろ子宇宙チャイルドユニバースも含めて80兆の民の命がかかってるからな」


「「「 ウス! 」」」


「それで十字軍はどうなったんだ?」


「それがいつまで経っても十字軍は帰って来ないから略奪品の上納も無いし、聖地エルサレム奪還の報告も来ないんで、バチカンの教皇は激怒して次々に十字軍を組織しまくったらしいのよ。

 でも先発隊がどんなメに遭ったか誰も報告してないんで、後続の十字軍も全部同じメに遭ったらしわ」


「「「 はははは 」」」




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