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*** 1 武蔵登場! ***



この物語はフィクションです。

登場人物、国家、団体、制度などが実在のものと似ていたとしても、それは偶然です。

また物語内の記述が事実と違っていたとしても、それはフィクションだからです。




 


「あ゛―、楽しい楽しい休暇の最中なのに、なんで支部になんか出頭しなきゃなんねぇんだよぉ~」


『ナニ言ってんだか。

 その休暇中だってあっちこっち出かけて、任務に必要な準備ばっかりしてたじゃねぇか』


「そうは言うがな武一郎(秘書担当)よ。

 同じ準備でも任務中にやるのと休暇中にやるのとじゃあ雲泥の差があるんだよ。

 なんせ休暇中なら朝起きた時の気分で今日は何もしないって選べるしな」


『それも説得力は無いな。

 兄貴は任務期間中でも平気で『今日はヤル気が出ねぇから寝てる!』とか言う事あるだろうが。

 しかも今の体なら睡眠の必要もほとんど無ぇのに』 


「そ、そりゃそうだけどよ……

 あれは任務が行き詰ったときに次の展開を考えてるんだってば」


『でもまあそうやって寝てても、突然起き出して『そうだ!』とか言っていきなり行動を始めることも多いがな』


「さすがは俺の分身だ、よく分かってんじゃねぇか。

 サラリーマンな天使族使徒と違って、俺みたいなヒューマノイドから成り上がった使徒エージェントは実績が全てであって、途中経過や勤務態度は問われねぇからな」


『そう思ってんのは兄貴と一部の天使と神々だけだぞ。

 ほとんどの天使族使徒や宙域本部の管理職天使どもは、兄貴のことをかなり苦々しく思ってるからな』


「そう思いたい奴には思わせておけばいいさ。

 組織内共同作業で働く管理部門の天使連中はともかく、俺たち任務使徒(エージェント)は結果さえ出せれば勤務態度なんかゴミ以下の価値しか無ぇだろうに。

 だいたい『管理部門』の『管理』ってぇのは、俺たち任務使徒(エージェント)の仕事にイチャモンつけて邪魔することでしかないからな」


『ふう、そういうセリフはトンデモな実績を残してこの階梯宇宙にも1人しかいねぇSSS級使徒(エージェント)である兄貴だから言えることだが』


「それに、実績を残す能力の無ぇ奴ほど勤務態度を重視すんだよ。

 そういう無能が歳喰って中間管理職になると、人事査定表の中でも『勤務態度』に異様に拘るし。

 まあ実際には、勤務態度ってぇのは上司である自分に対しての個人的忠誠心を意味するそうだがな」


『まあその通りだが』



 どうやら未来の神界も2024年の地球の組織も本質は同じらしい……



「ところで支部が出頭を命じて来た理由はなんなんだ?」


『武四郎(情報担当)の報告によれば、新任の豚人族初級天使が兄貴を解任して、同時に一族ぐるみで兄貴の預金口座を横領するためらしいぞ』


「俺の口座って階梯宇宙中央大神殿の厳重命令で、俺やお前たち分身の直接指示が無ければ絶対に資金移動出来ないようになってなかったか?」


『いやそっちの口座じゃあなくってダミー用の給与振り込み口座の方だ』


「確かあの口座には、小遣い用としてたった10億クレジット(≒1000億円相当)しか入れてなかったと思うが?」


『世の中にはその10億クレジットが眼も眩むような大金に見える奴もいるんだよ』


「そうか。解任理由は?」


『兄貴は前回の任務で種族間戦争を起こそうとしていた獣人族の族長3人を処罰したろ』


「ああ、3人ともブチのめして再起不能にしてやったら、あっという間に族長交代の争いが始まって、族長も上級戦士たちもほとんど死んだよな。

 でもそのおかげで戦争が回避できて非戦闘員が大勢安堵してたけど」


『つまり族長たちを大不幸にした罪業カルマポイント50の見返りに、非戦闘員たちの命50万を救ったわけだ』


「そんなのいつものことだろ?

 非戦闘員の子供や女たちから見れば、単に威張りくさって重税を課すだけの族長や上級戦士なんかどうなってもいいわけだし」


『あの支部を牛耳る豚人天使一族からしてみれば解任理由なんかどうでもいいんだよ。

 単に兄貴の口座を凍結して横領したいだけなんだから』


「なるほどな。武四郎(情報担当)」


『ウス!』


「念のためその新任の初級天使と一族について、もう少し調べておいてくれ」


『へいアニキ!』


『ところで3日後に銀河系第28象限本部に出頭するのは変わらないとして、その前に銀河系神界本部の初級神付き補佐官に昇格したミヌエット上級天使が兄貴に会いたいとよ』


「ミヌエットか……

 相変わらずおっぱいはエロいのかな……」


『まあお前の好みを読み取って、最高のおっぱいを維持してるらしいからエロいままだろう。

 猫人族系の天使だけあって性的羞恥心もあんまり無いから、またたっぷり見せてくれるんじゃねぇか』


「さすが猫人族で、5万年前に初めて会った時にはおっぱいが6つもあってびっくりしたけどな」


『でもお前がドン引きしたんで、すぐにヒト族のお前用に2つにしてくれたじゃねぇか』


「なぁ……

 おっぱい2つだとあんなにエロいのに、6つになるとなんであんなに萎えるんだろうな?

 フシギだよな」



(さあ! キミのカノジョやヨメや推しのグラドルのおっぱいが6つになった姿を想像してみよう!

 9割はドン引きするだろうが、1割ほどはさらにコーフンする変態もいるかもしれない……)



 ぜんぜん関係ないのだが。

 妊娠後期や授乳期でもないのに乳房が膨らんでいる哺乳類はヒト族だけである。

(ホルスタインはヒト族が品種改良して作った種なので例外とする)

 また、乳房の体積の内乳腺が占める割合は10%程度であり、残りは脂肪組織になる。

 つまり、あの乳房のうち9割は授乳の役には立っていないのだ。

 授乳期の犬も猫も猿も乳房はほんのりと膨らんでいるだけである。


 それでは何故このような体組織が出来たのであろうか。

 デズモンド・モリスの仮説によれば、これは『性的ディスプレイ』だという。

 類人猿は通常四足歩行であるため、メスは常に尻を後方に晒して行動しているが、発情期を迎えると(つまり妊娠可能になると)性器が赤く充血することでオスの発情を誘引する。


 ところが、類人猿がヒト族になる過程で、メスもオスも直立二足歩行になってしまった。

 そのために、大事な発情サインをオスに見せられなくなってしまったのである。

(加えてオスの目線も上がってしまったために、余計見えにくくなってしまった)

 そこで脂肪を集めて尻に似た形状の乳房を作ったのではないかという仮説である。


 この仮説には頷ける点が多い。

 まずはメスが妊娠可能になった初経と同じ時期に乳房が発達し始めるという点。

 そして閉経する頃になると乳房が萎み始めるという点である。

 なるほど。


 それではもう一歩進んで考えてみよう。

 なぜ成熟したヒト族のメスは唇に赤色系統の口紅を塗るのだろうか。

 もちろん『充血して赤くなった性器』のディスプレイである。

(パーマは陰毛のディスプレイかもしれない)

 JKが唇にヤタラにリップだのグロスだのを塗ってテラテラさせたがるのは、ま、まさか交尾準備完了のバルトリンのディスプレイか!


 このことは、小学校の父母会で、教師が若いイケメンであるほどお母さんたちの口紅にルージュが多くなり、教師がおばちゃんであればお母さんの口紅も薄く大人しい色になることからも裏付けられる。


 尚、これは一概にお母さんたちがイケメン教師を個人的に性的誘引しているとはいえない。

 JKも唇をテラテラさせて即交尾可能なことを誇示しているだけであろう。

『さあ交尾の準備は完了した! 妊娠させろ!』と言っているわけではないと思う。たぶん。

 なんとなれば、類人猿はそもそも多夫多妻制の生物であり、オスならば誰でもいいのであるからして、繁殖可能期を迎えた類人猿のメスとしては当然の本能行動なのである。


 さて、みなさんカノジョの口紅の色を確認したくなったことと思う。

 カノジョの口紅が大人しい色だったならば、その日エッチに誘うのは難しいかもしれない……


 閑話休題。




『おっぱい2つだとエロく感じて6つになると萎えるのは、兄貴が元々おっぱい2つのヒト族出身だからだろうに』


「ということはもう客観時間で5万年、主観時間では85万年も生きているのに、俺も未だに種族特性を引きずっているってぇことか……

 まあいいや、明日でも明後日でもいつでも来てくれるように返事しておいてくれ」


『了解』





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