生涯の趣味を極め抜いた男は、果てに夢の世界へたどり着く
掌編です。
主人公がアレですし、大層な話ではないので期待は禁物です。
「ひいっ……!!!」
「………………♥」
こちらの行いにより怯えた女性が悲鳴を上げる様を見て興奮する俺は、ある意味特別な人間だ。
社会通念上……いや。 法律上、してはいけない趣味を趣味としている、大変に問題があると自覚している男だ。
俺の趣味は悪いことだと分かっている。
分かっているが、これは俺が俺である証明であり、実行しないと俺の心が終わってしまう。
これは悪いことではあるが、心の健康の為にやるしか無いんだ。
俺は禁断症状が出る直前まで我慢して、我慢の限界がくる直前に異性に向けて局部を露わにして見せびらかす、露出を行う。
世間は俺みたいなのを露出狂や露出魔と呼ぶ。
なぜこうなったのかには理由があるが、それを言った所で理解をされない事も知っているから話さない。
確かに悪いことではあるだろうが、俺は節度を持ってやる、我慢のできる紳士的な男だ。
本当は俺だって毎日毎時毎分毎秒やりたいが、それは絶対に許されない。
だからこそ、節度を持って我慢に我慢を重ねて、露出を行っている。
それがとても気持ち良い。
やはり我慢は最高のスパイスだ。
この溜めに溜めた感情を、一気に解き放つ開放感が堪らない。
その結果、毎回毎回その幸福感が頂点に達し、心の濁ったモノが外界へ解き放たれる。
毎回そうなのだが、今回はいつもの2倍近く我慢出来ていたので、開放感がいつも以上だ。
これは本当に素晴らしい――――
「――――あ」
まずい。
これは本当にマズい。
開放された感情が止まらない。
昂りが鎮まらず、どこまでも昂り続けている。
本能が危険だと告げている。
生命に関わる危機だ。
これってもしかして、テ○ノブレ――――――――
「キャー! ネコちゃん!」
「そうね、ネコちゃんは可愛いわね」
「毛づくろいしてるよー!」
「そうね、可愛いわね」
「ネコちゃんがこっちにタマタマの付いたお尻を向けて、しつぽフリフリしてるよ!」
「そうね、可愛いわね」
「あー、行っちゃった……」
「そうね、行っちゃったわね」
俺はネコだ。
俺はあの時、やはり死んでいた。
そしてネコに生まれ変わっていた。
この生まれ変わりは最高だ。
だってネコは基本、服を着ない。
露出し放題だ。
そして、俺(の局部)を見て悲鳴を上げる異性の声を聴き放題だ。
警察に警戒・職質されずに、心行くまで趣味を続けられる。
こんな環境に身を置ける幸福。
これぞ夢の世界だろう。
そんな夢の世界で、俺はネコとして楽しく生きていく。
露出狂猫「にゃーん」尻フリフリ