誕生
まだ赤ちゃんです。まだ成長していきますが、成長後のイメージとしては、ヒロインのビジュアルイメージは、完全にローラちゃんです。男女のそっくり双子ってとこもどストライク。
ところで、サブタイトルって目次とかに出てくるようなアレか?毎回設定すんのかな。さては1個目のやつミスったか。
自然豊かなその村は、都市部で張り詰めていた26の年若い男を癒やすのに充分な美しさを誇っていた。
草原に森、緑豊かな山々に囲まれた牧歌的な景色が広がっている。ずっと眺めていても飽きないその景色が、まず、その瞳を癒やした。川のせせらぎや鳥達の歌声が、耳から頭の中まで満ちわたった。成功するたに何が必要か、ずっとフル回転だった脳を蕩けさせた。清涼感のある空気がその鼻や口から入って身体の隅々まで行き渡るのを感じた。まるで新しい身体を手に入れたような生きている実感を味わった。
息子の自慢を誰かに聞かせたくてうずうずした両親は、近くにいたエカテリーナを食事に引き留めた。普段は手伝いだけで帰らせていたが、話を聴くのが上手なこの娘に話さない手はない。
そんな訳で、里帰り男と異国の娘は顔を合わせることとなった。心にゆとりが産まれた働き盛りの男が、異国情緒あふれる聞き上手な美しい娘に恋心が芽生えるのは難しいことではなかった。
商才豊かな男の、ウィットに富んだ会話を娘も楽しんだ。数年ぶりの帰省ということで、長めの休みをとっていたが、両親に近況を報告した後は、街で洗練された若い男にとっては何も無い村での時間を持て余していた。美しい村の中を散歩したり、手伝いの娘の仕事を観察しては、話しかけたり。しまいにはちょっかいをかけたりして。徐々にお互いは惹かれ合っていったのだった。
久しぶりの休みが終わり、街に戻ってからは、以前のような休んでいるのか仕事をしているのか分からないワーカホリックな働き方をやめ、男は休める時にはしっかり休みをとって、村に顔を出すようになった。
そして、男が26になった頃、エカテリーナのお腹についに新しい命が宿った。
その当時、10や20の年齢差は珍しいものでもなかった。男の両親も途中で2人の関係に気付いたが、黙ってその様子を見守っていた。気立てが良く、何事も卒なくこなす美しい娘と、自慢の息子の子ならきっと可愛く無い訳がなかろうぞ。と、何気にベビー用品まで用意して、ソワソワしながら誕生を待ち望んだ。ただ、当時は両親のいない異国の娘を嫁に迎えるというのは、世間的にあまり一般的なコースではなかった。というか、その村の中では知る限り前例が少なかった。両親としては、街で成功した息子にはもっと良家の子女を嫁に、と期待していたので、結婚を認めるという話にまでは至らなかった。両親的には、2人が急速に惹かれ合っていくのを知っていたため、人生の酸も甘いも経験した両親からすると、一時的な感情の盛り上がりだろうと判断し、妾で充分と考えていたのだろう。男はというと、言われるままになっていた訳ではなく、彼も策士であった。両親が子の誕生を共に待ち望んでくれているのを肌で感じていたので、焦らず説得しよう、と考えていた。お腹の大きい愛しい恋人を村に残して仕事に戻らないといけない立場としては、親を亡くした愛しい恋人を守るためには、両親との関係を良好に保っていた方が良いと判断したのであった。
「オギャーッ」
「オギャーッッ」
かくして子は誕生した。その当の父親の居ない隙に。両親を亡くしていたエカテリーナは男の実家で、赤子を出産したのだ。息子のお産の時も取り上げてくれた、当時としては もうかなりの高齢なベテラン産婆が、この世に産まれた命を無事にエカテリーナの両腕にそれぞれ抱かせてくれた。
そう、子は2人だった。
当時双子が産まれる確率は比較的高かったようだ。一卵性や二卵性という概念があったかは分からないが、その姿はまるで1つの卵から産まれた二羽の雛のように瓜二つであった。ただ、一つ違いが…片方には一物が。もう片方にはそれが無かった。男女のそっくりな双子であった。