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透明人間  作者: 岡倉桜紅
3/22

予約

 真船は駅のトイレに駆け込んだ。


 このままでは取引先へ行くことも出来ない。現代のビジネスマナーは顔を見せないことが第一ヶ条にあるほどに、素顔は失礼なことになってしまったのである。


 仮面を付けないことはつまり、相手の権利の侵害の恐れがあり、一般常識、教養、はたまた会社の品位に関わる大事なことだ。


 普段の仕事なら仮面が壊れてもとりあえずやり過ごして、遅い時間に帰るくらいのことでなんとかなるがビジネスの出張となるとそうも行かない。


 仮面の修理はハイヒールの修理のようにすぐ終わるようなものではなく、注文して1ヶ月以上かかることはざらなのである。


 壊した相手はもう姿を消してどこかに行ってしまっただろう。


 スマートフォンを出し、上司に連絡を入れた。


 上司によると、仮面が届くまでは社内活動員として配属されるらしい。


 たぶん新しい仮面が届いた後も社内活動員のポジションから移動されることはないだろう。キャリアは止まったと言うことだ。


 駅のコンビニで使い捨ての半透明になれる安物のマスクを買い、正午前に家路についた。


 秋は仮面の定期メンテナンスや更新の時期と重なるため、行きつけの店では迅速な対応は期待できない。真船は普段利用している最寄り駅構内の仮面専門店以外の店を探そうとインターネットを徘徊した。


 探すうちに、早い!安い!上手い!という昔懐かしの売り文句の店を見つけた。この近郊で、小さいがレビューはそこまで悪くない。


 マイナーな店くらいが空いていて丁度いいかもしれないという目論見の元、そこを予約する事にした。


 明日、会社に休みをもらったので行ってみようと決め、真船は重い体をベッドに放り投げた。

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