3掛ける9話 終わりと始まり
破壊神アルゴの指が消滅してから、7時間が経った。
もう夕方だ。
俺は自分の傷を治し、疲れたなーと思いながら、夕日にたそがれていた。
隣にはヴィリアが寝込んでいる。
まぁ、王都まで運んであげようかなあとは思ったが、なかなか距離があるし、彼女を抱えて街中を歩いたら、噂になりそうだからやめといた。
ぶっちゃけ、あれほどの大爆発を起こしたんだ。騎士団とかが、様子を見に来るだろう。
だから、俺はそれを待っていた。
「疲れたなぁ。」
魔力はそこまで疲労していないが、肉体的な疲労がすごい。少し動けば吊りそうだ。
帰りはどうしようかな〜。
騎士団が来たら、俺はヴィリアを置いて、1人で王都に帰るつもりだ。
だって大爆発が起こった場所にいたら、何されるかわかんないからな。
俺は収納魔法を使い、紙とペンを用意する。
『彼女の呪いの正体は破壊神の指だった。
そのまま放置していたら、世界は滅ぼされるところだっただろう。
だから俺はそれを消し飛ばした。
爆発はその時に起こったものだ。
被害を出して済まない。
by Mr.たなか』
俺はちょっとふざけながら紙にメモを残した。
ちょっと文法変かな?まあいいか。
俺はそのメモをヴィリアの隣に重りと一緒に置く。
次第に遠くに大軍が見えた。
国の騎士だ。
俺は安心してこの場を去る。
「ルームワープ。ルームワープ。ルームワープ。ルームワープ。」
ルームワープは半径10メートルの以内場所へ瞬間移動する魔法だ。
俺はそれを数千回唱え、15分で王都へと帰った。
その後、ヴィリアがどうなったかは知らない。
_____________________
「aクラスともあろうものが、授業をサボるとは何事だ!」
次の日の朝、俺はユナ先生にこっぴどく叱られた。
「いや、別におれ好きでaクラス入ったわけじゃないし。」
「違う。そういう話をしているんじゃない。」
先生はため息をつく。
「まったく。昨日は何をしていた。」
俺は答える。
「何って。んー。神と戦っていました。」
「ほざくな。」
事実なんだけどなぁ。
「そんなにふざけるんだったら、お前に罰を与える。」
「えっ?まさか、ついにbクラスに?」
「そんなわけないだろ。bクラスに落ちたいやつをbクラスに落としてどうする。」
ちっ。俺は舌打ちを打つ。
「まぁ、罰ゲームは後で言うから楽しみにしとけ。お前にとって地獄のような罰を与えてやるから。」
先生は俺を馬鹿にするような目で言う。
この先生ことだ、また何か面倒事をやらされるんじゃないか?
そう思いながら俺はため息を着く。
「じゃあ、話はそれだけだから、もう行っていいぞ。」
「はぁ。」
そう言い残して、俺は教室へと向かった。
______________________
教室へ入り、席に着くと、シュナが急に俺に対して怒鳴った。
「ねぇ、ライン!昨日はどこへ行ってたの?帰る時に探したけど、どこにもいなかったよ。サボり?」
彼女はかなり怒っていた。さて、どう返すのがベストか?
やはり事実を言うのが1番いい気がする。
「ごめん、神と戦ってた。」
「寝ぼけてんの?」
俺は断じて嘘は着いていない。
だから悪くない。
ジュナはじーっと俺を睨む。
「なんだよ。」
俺は圧に耐えられなかった。
「やっぱりなんか隠してるでしょ。しかもずっと前から。」
「はぁ?ずっと前っていつだよ。」
「10年くらい前?」
うん、まずい。シュナ...
そんなに昔から勘づいていたのか...
この女割と危険だ。
しばらく無視しよう。
「ねぇ、何か言ってよ。」
しーん
私は何も喋らない。
「ねぇ、」
しーん
私は何も喋らない。
「ねぇ、ってば!」
俺は全力で無視する。
「いくらなんでもそれは酷いんじゃない?ライン君。」
そう言って近づいてきたのは、公爵家の次男、せりヌスだった。
「せ・セリヌス様。」
シュナは叫ぶ。様?様ってなんだ?
そう思いながら返す。
「いちいちだるいタイミングで来んなって、腹黒公子。」
「いや、悪い悪い。つい、幼なじみを無視してるラインを見るといじりたくなってね。」
彼は笑いながら言う。
「ちょっとライン!何セリヌス様に失礼なこと言ってるのよ。立場わかってる?」
シュナは俺に怒った。そんなシュナに対し、
「わかってるからこその態度だよ。」
と俺は返す。
「はぁ?」
シュナがぶち切れそうになると、
「まぁまぁ、そう怒らずに。僕も楽しくてこうしている訳だし。」
と、セリヌスが間に入る。
なかなか紳士的な男だ。
中身のドSという性格がなければの話だが...
「ところで2人とも、転校生の話って知ってる?昨日、急に決まったらしいよ。」
セリヌスは話を変える。
「転校生?何それ。」
「私も知らない。」
俺とシュナはポカーンと言葉を発する。
「女の子なんだけど、その転校生、超強力な魔力を持ってるって噂だよ。もしかしたらシュナさん以上かも。」
そうセリヌスが言うと、俺は何か引っかかった。
「シュナの魔力って、2000だろ?其れを越えられる人なんかそうそういないくね?しかも、ここ貴族学校じゃねぇの?転校生ってなによ。」
俺が質問すると、
「正確には転校生じゃなくて、昇進生だね。
訳あってaクラスに入れなかった人みたい。」
訳あってaクラスに入れない?何それ。
ちょっと羨ましいなぁ。
そう考えていると、ユナ先生の声が聞こえた。
「はい、時間だぞー。席につけ!」
周りの人達はみんな座る。
3ヶ月も経てば、もうみんな慣れたものだな。
「さて、今日なんだが、実は1人、ほかのクラスから上がってきた奴がいる。まぁ、正確には訳あって保護対象クラスというところにいたんだが、今日から無事、普通の生徒としてここに来ることが出来るようになった。」
保護対象クラス?
待て、昨日訳あってこっちに来れるようになっただって...?
まさか....
「入って来い。」
「はい。」
俺たちの前に現れた少女は青色の髪に、橙色の目をしていた。
・・・まじか。
「どうもこんにちは、ヴィリアと申します。どうぞこれから、よろしくお願いします!」




