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魔王倒しちゃった  作者: ダンディー
3章 友達作ります。
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46÷2話 かけられた呪い。逃げられない運命。

「なぁ、ボス。本当にこの計画で成功するのか?いや別にボスを疑ってる訳じゃないけど...

あのミルド魔法学園に侵入なんて。」


そこはどこかも分からない薄暗い部屋の中。


そして、そこにいるのは、十数人の盗賊達と彼らを仕切るリーダー。


「もしかして自信が無いのかヴァルギー?


ミルド学園は国でトップの魔法学園なんて呼ばれてはいるが、所詮は生徒(ガキ)の集まりだ。誘拐なんていくらでもできる。


それに今回の報酬はえぐいぜぇ。一生遊んで暮らせるほどの額が集まる。


これをやらない手はないだろ。」


リーダーっぽい人は、薄気味悪く笑いながら言う。


「絶対に成功させるぞお前ら」




______________________




さて、どうしたものか。


まさかあんなにボロくそに言われるとは思ってなかったな。


てかなんだよ最後の捨て台詞。aクラスの劣等生?俺そんな風に言われてるのか?


まぁ、下のクラスに下がりたいからあえて手を抜いているのは確かだが...


それにしても、あのヴィリアって女、なかなか厄介だ。


まさかここまでやっても無理とは...




図書室で彼女に振られた後、俺の心は割とバキバキに傷ついていた。


しかし、そんな事で俺はめげない。


俺は彼女と友達になると心の底で固く決意していた。例えどんな手を使ってでも、俺はヴィリアと友達になってやる!


そんなわけで、明日また図書室行こっと。












俺は再び図書室へ行った。


いつもと変わらない空気、また俺は彼女に振られて帰るのだろうか。


そんなことを考えながら、俺はヴィリアがいつも本を読んでいる場所へ向かった。


しかしそこにヴィリアはいなかった。唯一残ってたのは下に落ちている本。


最近ヴィリアが読んでいた本だ。


昨日俺が怒らせた時、下に落としたのかな?


俺はそっとその本を拾う。その時、俺は異変に気づいた。


「・・・なんか臭い?」


紙の匂いに紛れていて気づかなかったが、どこからか、血生臭い匂いがする。


俺は足元を見る。


これは...!


そこにあったのは一滴の少し乾き始めている血。


何か変だ。


「魔力探知」


俺は半径10キロにわたってヴィリアの魔力を探知した。


半径10キロなんて広すぎて中々時間がかかる。しかしそんなことよりも、


「やはり...学校にいない。」


血の様子からして、この図書室で何かが起こってから、そう時間は経っていない。


どこへ行った...?


俺は学校を飛び出して魔力探知しながら家の屋根を飛び回った。


どこだ?どこにいる?


地上はだいたい感知が終わった。まずいな街を出ていると厄介だな。


そんな事を考えていると、ピン。ヒットした。


地下だ。彼女は街の中心部を離れた、スラム街の地下に閉じ込められている。


「面倒なことになったな。誘拐...か...?」





_______________________






ラインとは別の場所で少女の目が覚める。


くらい....


何も見えない.....


私はどうしてこんなところにいるんだっけ...?


あっそうだ!図書室で本を読んでいたら急に誰かに捕まって。


「んんん!」


口と足、手は強く結ばれている。


これは、盗賊の仕業?


早くここから逃げないと...


くそっ解けない。


「んんんんん!」


隣からは盗賊たちの笑い声が聞こえる。


なんでこんなことになるの?叫んだ所で、誰かが助けに来る気配はない。


失敗したなぁ。もう、私はここで終わりかな?


こんなことなら、あのラインっていう男と、もっと喋れば良かった。


・・・・・


私の右手には生まれつき、呪いの痣があった。親によると、私の血筋はもともと呪われた血筋で、たまに呪いを持って産まれてくる人が出るらしい。


別に呪いがあったせいで、生活に不自由があった訳では無い。


だから私は安心しきって普通に生活していた。


私には貴族会で、友達がいた。


優しい兄がいた。


私はとても恵まれていた。


苦労のくの字もなく、幸せな人生を送っていた。


しかし、ある日、友達の家にお茶会へ行った時、事件は起こった。


ちょっとした事で私とある友達は喧嘩をしてしまった。


本当に些細なことだ。今考えるとどうでもいいことだ。


だが、私は怒りを友達に向け、敵意を持った。


それと同時に、右手のあざから黒い何かが飛び出し、私はその友達と、周囲にいた数名に怪我をおわせてしまった。


それから、私は悪魔と呼ばれ始め、私に近づく人はいなくなった。


私自身も他の人に近づくのを避けるようにした。


友達は、私の前から消えた。


家族のみんなも、私をいない人として扱うようになった。


圧倒的な孤独。


自殺しようと考えたことだってある。


放課後は、誰かと喋ったりすることはなく、ひたすら図書室で本を読んでいた。


家に帰りたくない私にとって、そこは都合のいい逃げ場所だったのだ。


私は一生こうやって1人で生きることを覚悟していた。


しょうがない。


だって私は呪いを持っているんだもの。


呪いを持っている人は幸せに暮らすことなんて許されない。


だから、こうやって盗賊に捕まって、きっと誰かに売られても、私に思うことは無い。


そのはずだった。


しかし、2ヶ月くらい前から、誰か知らない1人の男が私に話しかけるようになった。


彼は私に話しかけ、私は彼から逃げる。


気づけばそんな関係が続くようになっていた。


ただ、そんなくだらない関係。


なのに、気づけば私はそんな関係を気に入るようになった。


毎日、放課後のたった一瞬の出来事のために、私は心を弾ませ、図書室へ行った。


ある日、彼に話しかけようと思った。


「ねぇ、あなたいつもなんなの?なんで私にかまってくるの?」


違うこんなこと言いたいんじゃない...


「なんでって、誰かと話すのに理由なんかいる?」


その言葉は、私の心を震わせた。今まで嫌われ続けた私。誰にも話しかけてくれなかった私。


そんな私に彼は理由もなく話したいと言ったのだ。


なのに、


「あなた馬鹿なの?私の噂知ってるでしょ。呪われた姫ヴィリア。私と関わってもいい事なんてないわよ。

それとも、もしかして可哀想な女だなとか思って嘲笑ってるの?」


なんでこんなこと事言ってしまうのだろう。


今まで誰とも話さないようにしてたから...


上手く人と話せないんだ。


私、嫌われたかな?


なんでだろう。今まで、他人に嫌われようとしてきたのに、彼にだけは嫌われたくない。


彼とはもっと話したい。


しかし、もうそんな夢も叶わなくなってしまった。


今の私にあるのは圧倒的な絶望。


ライン・ガ・ゲルド、か。


できるなら、次はちゃんと話したかったな。


そう思っていると、急に扉が開いた。そして、そこから2人の盗賊が入ってきた。


「あっこいつ起きたぜ。」


2人のうち、片方が言う。すると、もう片方は、叫ぶ。


「なぁ、ボス。俺らちょっとこいつで遊んでもいいすか?」


・・・・・


私は何も言わないし、何も思わない。


「いいが、傷つけんなよ。大事な売り物なんだから。」


遠くから、盗賊たちのリーダーらしき人の声が聞こえてきた。


その声を聞いて、私の前にいる2人は嬉しそうに私の服を破く。


「んんんんんんんんんん!」


あれ?なんでだろう。さっきまで覚悟していた事なのに。怖い。


「さて、じゃあ頂いちゃおっかな。」


やだ。やめて...


男は楽しそうに私の体に触ってくる。


なんでこうなの?


なんでいつも私はこうなるの?


どうして私は普通に生きることすら許されないの?


嫌っ


やめてぇぇええええ!


シュパッ


突然、目の前の男の首が地面に落ちる。それと同時に、私の精神が、何かに蝕まれる。


「ぎああああああ」


これは私の声だ。気づけば口にはられてたテープも、手足に結ばれていた紐も無くなっていた。


私は荒い息をしながら、もう一人の男を真っ二つに切る。


この感覚...


絶対に忘れられない感覚....


嫌っ。自分の思うように体が動かない.....


これは呪いだ.......!




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