エイティーン! 始まりました、魔法学校!
キーンコーンカーンコーン
若干違うけど、前世で聞きなれたチャイムのおと。
ヒュー
そして、俺を嘲笑うように吹いてくる風。
遂に来てしまった。出だしは失敗したけど、何年もの間楽しみにしていた、魔法学園!魔法の学び舎!
前も言ったが面積は約東京ドームくらい。木がいっぱい植えられていて、まるで貴族の学校!ってかんじの見た目だ。
まぁ、貴族の学校なんだけど。
俺はシュナと一緒に門を潜り、クラスの教室へと向かった。
それにしても、周りがざわざわ騒がしい気もする。なんでだろう。
あぁ、隣に主席がいるからか。
魔力も魔法の技術も学園内ではずば抜けて凄い!それにプラスで美人ときた。注目の的にならない方がおかしい。
いやー、でも女子達はともかく、男子達からの目線が痛いな。そりゃシュナのことを既に狙ってる人も多いだろうし、仕方ないけど...
「ねぇライン。あなた、私に何か隠しているでしょ?」
突然、シュナからそんな声が聞こえてきた。
え?もしかしてバレてる?俺がめちゃくちゃな力を持っていること。
「え?なんのこと?」
俺が言うと彼女は黙り込んだ。
...きまづい!
なんで彼女は急にそんな事言い出したんだろ?てか俺ってもしかして演技下手くそ?
この前も先生にバレたし。今度しっかり練習しないとなぁ。
そんなことを考えていると、シュナの口が開いた。
「まぁ、言う気がないならいいや。」
俺はとりあえずこの空気を乗り切った!
しかし、これはまずいかもなぁ。俺の秘密がバレるのも、時間の問題かもしれない。
バレたら色々まずいんだよなぁ。
まず、聖剣どっかに捨てちゃったし。
今まで魔王の事黙っていたのも言及されそうだし。
何が1番ヤバいって、なんかの組織に絡まれそう。
シュナや家族を巻き込む訳には行かないし、そろそろほんとに色々考えた方がいいかもなぁ。
教室に入る。俺は周りを見ると同時に、感動した。だって、有名人ばっかなんだもん。
公爵家の次男、セリヌス。
英雄の孫、ロファン。
1000年に1度の美女、エリス。
その他の人たちも、みんな高い地位の貴族。男爵家の俺は圧倒的に浮いていた。
この国の貴族の地位は、国に貢献した者に与えられるらしい。
要は、すごい才能や力で国を救ったり、国を良い方向へ導いた人が高い地位を貰えるというシステムだ。
まぁ、何が言いたいかと言うと、より高い階級を持っている人は、より有能な血をひいており、より強い才能に恵まれているということだ。
特にこういった1番上のクラスなどでは、公爵家や侯爵け、伯爵家などの子孫が集まりやすい。
だからここには来たくなかったのだ。こんな所に来ちゃったら、めっちゃ目立つから。
ほんとにあの女さえいなければ。
シュナを見ると、既に2.3人に話しかけられていた。
さすが首席だなぁと思いながら、俺は椅子に腰をかける。
当たり前だが、俺に話しかけるやつはいない。男爵家の俺に話しかけたところで何かあるわけじゃないからな。
まぁ、1人を除いて...だけどな。
「やぁ、君ラインって言うのかい?」
そう話しかけてきたのは、俺が1番話しかけられたくない人物、次席、公爵家の次男セリヌス!
「あぁ、そうだよ。」
俺はあさっての方向を向いて答えた。
「ライン君。今僕のことうざいって思っただろ?君は思ったことが顔に出るタイプだね。」
心の中を読まれた。こいつすげーな。
俺がそう思っていながらセリヌスを睨むと、彼は続けて言う。
「いやー、誰かにそんな目で見られるのは初めてだ。」
なんかこいつの態度ムカつくな。理由はないけど。
「そりゃお前、公爵家の次男だもんな。話したくないってやつの方が少ないだろ。」
「いや、少ないって言うか、初めてだね。」
彼は笑って答える。
自分より圧倒的に身分の高い相手。普通、こんな口の聞き方したら罰が下されるだろう。
しかし俺はそれを覚悟でやっている。徹底的に嫌われよう。
そして、この人達と余り喋らないようにしよう。
俺は心の中で小さく決意していた。
しかし、
「いいね、君となら気安く喋れそうだ。気に入ったよ。」
俺は何故か気に入られてしまった。Why?
「いいよ。気に入らなくて。」
俺達はそんな会話をつづける。
学校に入って初っ端、公爵家の次男に絡まれるって、どんな人生だよ!




