表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/14

王太子シリウス

誤字報告いつもありがとうございます。

 私は一人になれる場所を探して庭園を彷徨った。


 すると奥の方にガゼボを見付けたので、そこに向かった。そして懐からメモ帳とペンを取り出した。さすがは王宮というだけあって見事な庭園なので、小説の背景描写の参考にしようと思ったのだ。


 ペンを走らせながら、先程会った王太子の姿を思い出す。間違いなく彼がこの物語の主人公だろう。それだけのオーラを感じた。もう既に運命の出会いを果たしているのだろうか? ヒロインは誰なのだろうか? 主人公とヒロインが出会うパターンで、私が小説に良く使っていたのは大まかに分けて3つ。


『パターン1』

 学園で初めて出会うパターン。入学式に遅れてやって来たヒロインが「遅刻遅刻~!」とパンを咥えながら走って来て主人公とぶつかる王道パターン。


『パターン2』

 街にお忍びで出掛けた主人公が、破落戸に絡まれているヒロインを助け、恋に落ちるという、これまた王道のパターン。


『パターン3』

 幼い頃に出会って、その後生き別れになるパターン。大体が「大きくなったら結婚しよう」とか子供心に約束するというのが多い。

 

 パターン1とパターン2の場合だと、当然ながらまだ出会っていない。パターン3だけが既に出会っているが、再会を果たすのは学園に入ってからだ。


 要するに、私が今まで書いた小説なら、現時点ではまだ主人公とヒロインとの接点はほとんど無いはずだ。


 11番目の物語以外は。


 思い出せないのが何とも擬しい。恐らくだが、3つのパターンのどれでもないのだろう。根拠は無いが何となくそう感じる。私が悶々としていると、


「邪魔していいかな?」


「お、王太子殿下!? な、何故こんな場所に!?」


 いきなりキラキラオーラの王子様が現れた。いやいや、なんで? 意味分からん!


「いやぁ、人が多過ぎて疲れちゃってね。ちょっと休憩しようかなと」


「さ、左様で...」


 主役が席を外していいのだろうか?


「君は? それ、何書いてるの?」


「あぁ、これは小説の...」

 

 参考にしようと思って...と言い掛けて慌てて止めた。私が小説を書いていることは、誰にも知られる訳にはいかない。


「...真似事でもしてみようと思いまして...」


「へぇ、君も小説に興味あるんだね。僕もなんだよ。好きな作家はいる?」


「え、え~と...」


 困った...ここはなんて言えば正解なんだろう...そもそもこの世界の小説はほとんど読んでない...作家の名前が出て来ない...私が言い淀んでいると、


「当ててみようか?『カチューシャ』じゃない?」


 一瞬、正体がバレたのかと思ってビックリした。そんなはずないのに。


「え、えぇ、まぁ...」


「やっぱり!? 今大人気だもんねぇ! 僕も大ファンなんだ! どの本も凄く面白くて一遍に読んじゃったよ! どんな人が書いてるんだろう? 一度会ってみたいな~!」


 いや、本人目の前に居るんですが...とは言えない。やたらテンション上がった王子に若干引いていると、


「シリウス様! こんな所に居たんですね! 皆さんお探ししてますよ! すぐ会場に戻って下さい!」


 メイド服姿の少女が息を切らせてやって来た。その少女はショッキングピンクの髪色だった。


 もしかして...この娘がヒロイン!?

 

 


 


作者のモチベーション向上に繋がりますので、出来ましたらブクマ登録及びポイントの応援の方をよろしくお願い致します。


下方にある広告下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援して頂けますと幸いです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ