空き缶の影
詩・短編を書いてみました。
気に入っていただけるか分かりませんが
一生懸命に書いてみました(^_^)
1000文字ぐらいで書いてあります。
物語の断片や本の1ページのようなモノだと思いながら
暇なときにでも読んで
楽しんで頂けると幸いです(^_^)
キッチンの上に外気に触れて
ぬるくなったビールの空き缶がある。
それは僕が飲み干して意味もなく置いたモノ。
だけど
その空き缶を見ていると
どうも心がモヤモヤとしてしまう。
別に何かがあったわけではなく。
その気持ちは手で振り払えば形を変えてしまう煙程度もの。
でも、なんとなく…。
なんとなく、気になってしまう…。
キッチンの明かりは消えていて
空き缶には僕の部屋からの明かりで影が出来ている。
まるで何かが巻き付いているかのようだ。
ただ
この部屋から漏れている明かりが僅かだからか
その明かりは空き缶の足元をほんの少しだけ照らしている。
まるで影に抗っているようにも見えた。
あと少し…。
あと少し頑張れば全てに光が当たるのに…。
そう思うと
何故か自分の心のモヤモヤが色を濃くして
実体を持ち始める。
ふとテレビを見ると
年末に相応しい番組が放送されていた。
それは見たことのある芸人と
初めて見る芸人が
自分の夢と人生をかけて
「お笑い」という武器を使って殺し合いをしている番組だった。
彼らは審査員である尊敬する先輩の判定に
一喜一憂をしていて
その姿はまさに「生死をかけた審判」のようだった。
僕はその芸人のネタに笑いながら
自分のモヤモヤの正体に気づく。
そうか…。
あの空き缶のように「負けを認める」のか。
それとも「勝ちを掴むのか」ということなのだろう。
僕は拳を強く握り直した。
そして相方に電話して
こう伝えた。
「本気でやらないか?」と…………。