純粋培養で育った悪役令嬢
コミカライズ記念の新作
私、婚約者の幸せのために婚約破棄してみせますわ!
はじめまして、ご機嫌よう。私、リュシエンヌ・ハーミッドと申します。公爵令嬢ですの。私には愛する婚約者、侯爵令息のアレクシル・ミッドフォード様がおりますの。今まで私達の関係は良好で、相思相愛だと思っていましたわ。ですが、レン様は私以外に良い方がいるようなのです。
「リュシエンヌ様!いい加減アレクシル様を解放して差し上げてください!」
「…?貴女は…たしか、男爵令嬢で、貴公子の皆様から注目を集めている…」
「クレール・サンクリットです!」
「クレール様、レン様を解放とは…?」
「アレクシル様をいつまでも婚約なんかに縛り付けないでください!私とアレクシル様は相思相愛なのです!」
「…え。…まあ、それは…気付きませんでしたわ。わかりました。それでレン様が幸せになれるなら、構いませんわ」
「えっ」
「え?」
「…あ、ありがとうございます」
というわけで早速レン様に、婚約破棄の話をしてみましたわ。
「レン様。そういうわけですので、レン様の幸せのために私、身を引きますわ」
「…。そのクレール嬢とやらには後でお話をしないとね。リュシー。僕は浮気なんてしていないよ」
「え?」
「だから、婚約破棄はしない。いいね?」
「レン様が幸せなら私はなんでもいいですけれど…」
「なら、この話は無しだよ。リュシー」
「はい、レン様」
ということで婚約破棄はなくなりましたわ。よかった。クレール様はいつのまにか貴族社会から姿を消していました。どうしたのかしら?
「愛してるよ、僕のリュシー」
「愛しております、レン様」
兎にも角にも、私達は今日も相思相愛ですわ。
ー…
「アレクシル様!なんであんな悪役令嬢なんかを選ぶんですか!?ヒロインは私なのに!」
「僕、実は君と同じ転生者なんだよね」
「…え?」
「僕の推しはリュシーなんだ。前世の妹のやっていた乙女ゲームの知識がここで役立つとはね。さて、君は実は王の隠し子で、リュシーを断罪する役割だよね。僕が大切に育てあげたリュシーはいじめなんてする子じゃないけれど、君は何をやらかすかわからないから、消えてもらおうか」
「…!」
「さようなら、ヒロインさん」
ー…
今日はレン様との結婚式。幸せですわ。
「では、二人は誓いのキスを」
「リュシー…」
「レン様…」
ああ、こんなに幸せでいいのかしら。神様、ありがとうございます。私、幸せですわ。
『悪役令嬢ですが、幸せになってみせますわ!アンソロジーコミック』の第3弾が7月27日(月)発売です!
定価780円+税
ISBN 978-4-7580-3534-7
〇内容紹介
大人気アンソロジーついに第3弾!
『悪役令嬢ですが、幸せになってみせますわ!アンソロジーコミック』の第3弾が7月27日(月)発売!!
「小説家になろう」発の人気読み切りコミカライズアンソロジー、大好評につき第3弾!!
私の書いた短編、『嫌われている相手に嫁いだはずがいつのまにか溺愛されていました』が収録されています。
コミカライズしていただき書籍化していただけたのも全て皆様のおかげです。ありがとうございます。もしよければ是非手にとっていただけたらと思います。