腐敗した教室と依頼人……No.04
更新、お待たせしました。
次話はかなりグロ目に行く予定なので注意してください。
注意
人によっては不快になる場合がありますので、
読むさいはご注意ください。
夕日が差し込み、ミンミンと蝉たちが五月蠅く鳴く蒸し暑い教室で、一人の黒いフードを被った男と赤髪の少女は対峙していた。
「あははっははハハハハハ~~!!」
フードを被った男は突然不敵に笑いだす。その笑い声には、悪意などは籠っておらず。
ただ、ただ、人を虐め、陥れ、あまつさえ自分がやっていることはまるで、善行であるとも言わんばかりの自覚のない哀れな少女に対する、嘲りの笑い。
男は不敵に笑う、口角を上げ、歯をむき出し、何とも言えない音程で笑う。
その笑い声を向けられている少女は、ただ、ただ、唖然としていた。いや、恐れていたのかもしれないし、気色悪いと思っていたのかもしれない、どちらかは判らないが、ただ一つ確実なことは、恐怖を抱いていたということだ。それは、目の前の男に対する恐怖なのか、それとも、これから自分に起こるであろうナニカなのか、少女はわからなかった。
「......あなたの目的は何?」
「私の目的は大したことではないよ……君に死んでもらうだけだよ」
「何を言っているの、バカじゃないの!!あんたなんかにこの私が殺せるわけがないじゃない!!」
なんて哀れな少女なのだろう……自分がいま置かれている状況すらまともに判断ができないなんて。そして、いったいどこから自分は殺されないなんて言う自信がわいてくるのだろう。
「そうだね、私には殺せないよ」
「そうよ、それに、私を殺したらあなたはパパの怒りを買うでしょうね。私をこの教室から出しなさい!!今なら、警察に通報するだけで許してあげるわ!!」
腕を組み、フードを被った男に対してそんなことを言う愛。
「はぁ~」
私はため息をついていた。
ここまで自分勝手な人間を久しぶりに見た気がする。
そして、こういった人種の人間ならば殺すのに何のためらいもない。
「なによ!私の提案が不服だっていうの!!だったら、これでどうかしら?警察に通報しない代わりにあなたはわたしに一生服従するの、奴隷のようにね」
顎を上げ、自分が偉いとばかりに勝手に話を進めていく。
そんな彼女は気づいていないのだろう、窓の外に大量の黒い翼を持つ鳥が集まっていることに。
「「「「「「「「「「カァ!!カァ~!!」」」」」」」」」」
数百匹以上集まった鴉たちが鳴き声を上げる。
「キャッ!!」
女の子らしい可愛い悲鳴が一瞬、教室に響く。
「可愛いらしい、声を上げるのですね」
「ぅう……私にこんな恥をかかせておいてただで済むと思ってるの!?許さないは!!」
「おや、あなたが勝手に驚いただけではありませんか?」
「うるさい!うるさい!」
「癇癪を起した子供のようですね。……いいえ、中学生ですし、子供でしたね」
「子供……?誰が子供よ!!」
なにか踏んではいけない地雷を踏んでしまったのか、愛は、近場にあった椅子をフードを被った男に向けて投げつける。
しかし、所詮は中学生女子の力。たいした距離も飛ばずに椅子は男の足元にガシャン!と大きな音をたてて落ちるだけだった。
「危ないですね」
「許さない、許さない」
おや?なかなかによい濁り具合だ。瞳の奥がドンドンと黒く悪意で満ち溢れてくれている。
桜木 愛はこの時、自分の奥から溢れ出す悪意によって自分から破滅への道を選んでしまったといっても過言でもないだろう。
登場人物情報-簡易-
依頼人No.001
・西藤 凛 (サイトウ リン)
特徴
・黒髪のツインテール
・身長はおおよそ156cm
・たれ目で、少しどんくさい。瞳の色は綺麗な琥珀色。
・貧乳であり、身体の至る所にアイから受けた暴力による痣がある。本人は母親に見つからないように必死に隠している。ただ、母親もなんとなく学校に行くときのリンの顔がすぐれないことに気づいており。心配している。
・アイのことを殺してやりたいと思っているが、法律がそれを許してくれないことが判っているため、手を出していない。しかし、母親を馬鹿にされたことがきっかけで、何かが外れた。そんな状態で色々なことをネットで検索していたらたまたま見つけた都市伝説のようなものを追い、黒フードの送り屋に行きつき依頼をする。
↓
ターゲット
・桜木 愛 (サクラギ アイ)
特徴
・髪は暗い赤髪であり、後ろでまとめている。瞳も同様に赤黒く、キツメの目つきをしている、瞳の奥は何処か曇っている。
・身長は160cmであり、中学生女子としてはそこそこ大きな部類に入る。
・親が会社を経営しており、とても裕福な家庭で育つ。
そのためか、他人を自分の思い通りに動かし、服従させようとするフシがあり、自分の思い通りにいかないと癇癪を起こす。
・なお、自分がリンのことを虐めているという自覚はなく、むしろ、
「あなたみたいな無価値な人間が私の憂さ晴らしの役に立っているんだから感謝しなさいよ」と思っている。