第4話 人助け
先日評価が初めてつきました!評価してくれた方ありがとうございます!
「とりあえず、次の町までは歩きだ。そこまで距離はないから今日中には着くだろう。」
「わかったわ。でも、ほんと暇ね。まっすぐ一本道だし。」
俺が住んでた村から次の町..アルティマの町まではずっと一本道だ。森の中を通るわけでもないので魔物も出てこない。俺の村には商人しか来ないので交通量も少ない。...というか全くない。周りを見れば畑ばかりほんとに退屈だ。そんなことをルナと話しながら1時間くらい歩くと。馬車が止まっていた。馬車をひく馬の休憩なら所々にある広い場所を使うので何かあったんだろうか。そう考えていると、
「なんか止まってるね。話しかけてみようか。暇だし。」
「話しかけるのはいいが、暇だからって...。」
そう話して馬車に近づくと女の子の泣いてる声が聞こえた。話し声が聞こえたので少し聞いてみると、おなかが痛くて泣いてるらしい。ルナが気になったのか少し早歩きで近づいて話しかけた。
「大丈夫ですか?」
いきなり話しかけられてびっくりしたのか。すぐには返事は帰ってこなかった。少しして男が返事を返した。どうやら女の子の父親みたいだ。母親はいないらしい。
「娘がいきなりおなかが痛くなったみたいで薬もないので困っているんです。」
「なるほどねーそれで泣いてたのか。 アレクあんたなら薬とかあるんじゃない?」
「少し待ってくれ薬草を確認してみるよ。」
そう言って革袋の中の薬草を確認してみた。だが薬草をそのまま袋に入れただけなので薬としての効果は低い物しかなかった。道具があればもう少しまともなのが作れるんだがな。ポーションの薬とはいかないが。
「薬草はあるが道具がなくてな。何か道具をもってないか?あったらもう少しまともな薬になるんだが。」
「これでいいかな?助けてもらうんです。好きに使ってください。」
そう言って出された道具には薬研という薬草を粉末にするものがあった。丸い石の真ん中に木の棒が刺さっているやつだ。
「これがあれば薬草を混ぜて薬を作れそうだ。少し待ってってくれ。」
「よかったねおじさん。君も少し待っててね。」
俺が薬を作っている間にルナがいろいろと話したり自己紹介をしていた。男の人のほうはやっぱり女の子の父親で名前がダム・セプターと、言うらしい。女の子の名前は、エマだった。
話を聞きながら作業を続けると薬ができた。
「一応薬はできた。これを飲ませてあげるといい。だが、応急処置みたいなもんだ。町に着いたら医者の所に行くんだな。」
「ありがとう、助かったよ。お礼がしたいんだが、今は何も持ってなくてね。何かできることはあるかい?」
「なら、町まで乗せてってよ! 歩くのは飽きたから、早く町に行きたいんだよね。」
「そんなんでいいのかい?喜んで乗せてくよ!」
「やったね、アレク。話しかけて良かったでしょ。」
「そうだな。」
話し終えるとすぐに馬車に乗せてくれた。女の子の方は薬が聞いたのかすやすやと寝ているみたいだ。ルナのアルティマの町に着いたらどうするか話していると、ダムさんがいろいろ教えてくれた。
「王都に行くとなると結構距離があるからね。普通ならいろんな馬車を乗りついで行くのが普通かな。それだと他の冒険者といざこざがあったりしてめんどくさいからお金があるなら馬車をレンタルするのをお勧めするよ。 そうだ!助けてもらったお礼に馬車を譲ろう。こう見えてもなかなかの商会の会長なんだ。馬車の一つくらい簡単に用意できるよ」
「馬車をくれる!?ありがとうおじさん!」
そんな話をしながら一本道を進んでいると女の子が起きたようだ。
「起きたのかいエマ?調子はどうだ?お腹はいたくないかい?」
と、早く口で聞いていた。よっぽど心配だったんだろう。女の子の方を見ると汗もかいていないし顔色もいい。薬がしっかりと聞いたみたいだ。
「もう痛くない大丈夫。」
「なら、お兄ちゃんとお姉ちゃんにお礼を言いなさい。エマのために薬をくれたんだ。」
そうおじさんが言うとこっちを向いてお礼を言ってきた。
「ありがとう。」
そう言って頭を下げた。
「よかったねエマちゃん。こっちに来てお話しようか?」
そうルナが言うとすぐにルナの膝の上にのった。人懐っこい性格みたいだ。ルナがエマちゃんと話している間に俺はダムさんと馬車の乗り方と道について聞いていた。馬車のほうは向こうに着いてから詳しく話してくれるそうだ。 その後も話をしていると建物が見えてきた。どうやらあれがマルティマの町のようだ。
「ずいぶん大きいな。」
「そうだねこの辺りじゃ大きい方だね。冒険者ギルドや生産ギルド、他にも大きなショップが多いからね。ここで準備をしっかりしていくといいよ。とりあえず町に入ったら私の商会に行こう。そこで馬車の話などについて話しをしよう。」
「わかりました。」
そんなことを話していると大きい門の前で止まった。どうやら検問があるらしい。だが、ダムさんがいたから簡単に通ることが出来た。本当ならお金がかかるそうだ。村人が1番お金がかかり強い職業ほど安くなるらしい。今まではそうでもなかったが弱い職には優しくない国だ。食料を作ってるのは村人だと言うのに…。それにしてもダムさんはこの町ではほんとに有名らしい。あとから話を聞くとこの街は商人が多いらしく色んな商会もあるみたいで、街で1番大きい商会がダムさんのとこらしい。
町に入って少し進むと大きな建物が見えてきた。貴族なんかの屋敷かと思ったらその前で止まった。
「ここが私の商会だよ。私の家でもあるんだけどね。馬車を他のとこに留めるから降りてもらってもいいかな?」
そう言われ降りると案内されるまま建物の中に入った。 建物の中に入ると豪華ではないがきれいな内装でとてもシンプルだった。そんなことを考えていると、
「中は何もなくてびっくりしたかな?この家ももらったはいいけど最初は落ち着かなくてね。派手なものはあまり好きではないんだ。だから必要最低限でお客さんが来ても恥ずかしくない程度にしてるんだ。」
「この家をもらったんですか?」
「商会が成功したからね。その時に知り合いからお祝いで貰ったんだよ。最初は断ったんだけどね。断り切れなかったよ。」
理由を聞いて納得した。話しててあんなに大きな家に住んでるとは思ってなかったからな。内装もシンプルで安心したよ。偉い人ほど家が凄くなるし話しづらいイメージがあったがこの人は違って良かった。こんな人と仲良くなれたのはラッキーだった。暇だからとはいえ話しかけたルナに感謝だな。俺一人なら無視していたかもしれない。...知らない人と話すのが苦手なんだ。そんなことを考えながら当の本人を見るとエマちゃんと楽しく遊んでいた。本人は何も考えていない見たいだ。
「どうしたの?何かあった?」
「...なんでもないよ。」
と、この調子だった。
家の中を進むと一つの部屋に案内され入るとソファーとテーブルがあるだけの部屋だった。
「ここに座ってください。今お茶を用意させます。」
「ありがとうございます。」
そう言われて待つとメイド服を着た女の人がお茶を持ってきた。メイドさんなんて初めて見た。しかも、美人だった。見ていたのが分かったのかこっちを見てニコッと笑ったのであわててそっぽを向いてしまった。
「どうしたの?」
「なんでもない。」
挙動がおかしかったのかルナに聞かれてしまった。見てるのがばれなくて良かった。ばれてたら後で何か言われてからかわれそうだからな。そんなことを考えているとメイドさんがお茶を置き終わり部屋から出たのを見てダムさんが話し始めた。
「改めてお礼を言うよ。娘を助けてくれてありがとう。」
そう言うと頭を下げた。本当に腰の低い人だ。
「そんなに頭を下げないでください。ただ、薬を作っただけなんですから。」
「そう言ってくれるとありがたい。次はお礼の話だ。さっきも言ったが馬車を譲ろうと思う。」
「ありがとうおじさん!」
「お前な...ダムさん本当にいいんですか?」
「いいんだよ、そのくらい感謝してるんだ。それと、しばらくの間寝泊まりの場所も貸した上げようと思ってるんだ。もちろん食事つきでね。」
「寝泊まり?何でですか?」
「王都に行くなら冒険者登録をした方がいいと思ってね。カードの発行だったり時間がかかるからね。その間の泊まるとこだよ。」
「なるほど、お言葉に甘えてお世話になります。」
「おじさんありがとう!」
「喜んでもらえて良かったよ。今から部屋に案内するから。今日はゆっくり休んで明日ギルドに行くといいよ。」
「わかりました。」
話し終えるとさっきのメイドさんが来て部屋に案内してもらった。
読んで下さりありがとうごさいます。評価、感想、誤字報告して下さると嬉しいです!
よろしくお願いします!