女友達とお泊まり会その後
月曜日
あの日の次の日
朝起きたら隣に鈴が居なかった代わりに置き手紙があった
『ごめん。朝電話があってお父さんが「人で三枚下ろしってどうやるんだろうな」とかブツブツ言いながら包丁を研ぎ始めたってお母さんから連絡が来たから帰るね。』
…あいつの家に行くのはもう無理そうだな。いつもはあいつの家に迎えに行くが、今日は一人で学校に行くしかないな。俺はまだ命が惜しい
「あーやっと着いた。相変わらず学校までが遠い」
などと呟きながら教室のドアに手を掛け開けるとクラスの野郎どもがこっちを睨んでる。どうしたんだ一体
「会いたかったよ拓人くん?お前かわいいかわいい鈴ちゃんに何したんだい?」
「ゆ、悠さん?」
「鈴ちゃんになぁ…いつもみたいにまだあいつと付き合ってないなら俺と付き合おうぜ!って言ったんだよ…けどよぉ鈴ちゃんが顔を赤くして付き合ってねーし!って言ってたんだよ…可愛かったなぁ…じゃなくて、今までそんな事なかったのにあの反応…なぁ、拓人。お前、何した?」
なるほど…それで何したか聞いて来た訳か
「付き合い始めたとしたらどうする「お前を殺して俺も死ぬ」」
「や、やだなー!何もしてないよー!」
「だよなー!お前ヘタレだもんなー!そんなことする勇気ないよなー!」
「そーだよ!わかってんじゃーん!」
「ごめんごめーん!ははははは!」
「ははははは!」
やべー殺されるーバレたら殺されるー
あとであの日のことは秘密にしてもらうように言っとかないと大変なことになる
「…のに」
「?あっ、鈴!いい所にちょっと話が」
いつのまに隣に来てたんだ?まあちょうどいい。
「…って…のに」
「あの鈴さん?少々お話が…」
「好きって言ったのに!」
あ、終わった。グッバイ俺のマイライフ
「す、鈴さん!?それ今言ったら俺がやばい!ちょっと落ち着いて!」
「声が好きって!笑顔が好きって!照れて焦ってるところが、怒ってても満更じゃないところが好きって言ってたのに!」
「ちょっとまって!別の意味で俺の人生終わるから!高校生活忘れたくなるほど恥ずかしい思いしてるから!」
遠巻きに見てたクラスの女子がすごいニヤニヤしてる!
「始めてだったのに!あんな無理やりされて恥ずかしかったのに!」
「拓人。お前放課後屋上な。逃げんなよ?」
「…ハイ」
…鈴怒ってたな。後で謝っておこう。
放課後
俺は一人で帰ろうとする鈴を連れて旧校舎の下駄箱に連れてきた
「どうしたの?こ、こんなとこ連れてきて」
俺は頭を下げる
「ごめん。この前のこと。怒ってるよな。無理やりあんなことして」
「別に…僕も今朝あんなこと大声で言ってごめん」
「それは気にするな。そうなった原因は俺だし」
「それは…」
「あの後ずっと考えてたんだ。元男なんだろ?鈴は。なら男の俺から好きとかその…き、キスとかされて気持ち悪かったろ。ごめんな。俺だったらそんなやつとはこれからも仲良くする事は出来る気がしない。だから、鈴もそんなやつとこれからも仲良くする必要ないからさ。それだけ伝えておきたかった。ごめんないままで。また明日」
振り返って立ち去ろうとするとき
「…好きだったんじゃないの?」
…好きだけど
「好きだけど、お前だって」
「僕は、か、構わないよ?」
けど
「おま、お前だって元男なんだろ?」
「今は女の子だよ?それに、男の頃の姿知らないなら関係ないんじゃなかったの?」
「お前は気持ち悪くないのかよ」
「そりゃ少しはあるよ。でもね、拓人に好きって言われたとき嬉しかったんだ。今でも僕のことを心配してくれて嬉しい気持ちでいっぱいになってる。でもこれが拓人が好きだからこういう気持ちになってるのか僕にはまだわかんないからさ、教えてくれない?」
少しはあるのかよ。でも
「そっか」
「うん」
「…絶対好きってお前から言わせてやるからな」
「うん。そろそろ帰ろ?」
「そうだな。帰ろうか」
絶対好きにさせてやるからな!
あ、屋上いくの忘れた