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丑の刻参り殺人事件  作者: 谷川流慕
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ひき逃げ

午前2時 東京都新宿区・高嶺神社


 もはや夜も昼も関係ない不夜城・東京であるが、流石にこの時間に神社に立ち寄ろうとする者は(初詣は別として)まずいないだろう。

 だが誰もいないひっそりとした神社にひょっこり人影が現れた。白装束に身を包み、長い髪はボサボサに乱れ、頭には3本のロウソクを灯していた。この怪しい人物は神木の前に立ち、藁人形を出したかと思うとそれを五寸釘で神木に打ち付けた。そして大声で呪文を唱え始めた。


「アルル・ネリタ・マイ! アルル・ネリタ・マイ!」


 それがしばらく続いた後、白装束の人物は儀式をやめ、その場を立ち去って行った。


 ◯


 翌日、新宿区戸山公園付近で轢き逃げされたと思われる女性が血を流して倒れていると、警視庁島津(しまつ)署に通報があった。

 被害者は発見後すぐに救急車で運ばれたが搬送中に死亡が確認された。現場付近は人通りの少ない路地で目撃者は現れなかった。所持品から被害者は練田舞衣という32歳の主婦であることがわかり、夫である練田敏夫の確認によってそれが確定した。


 島津署では轢き逃げ事件として逃走車の捜索に全力を尽くすことにした。だが捜査一課の老刑事、朝比奈仁あさひなじん巡査長はこの話を聞くと彼の刑事の勘が妙に疼いた。

(この事件、何か匂うな……)

 朝比奈はそう思ったが課長に意見したところで聞く耳持たれるとは思えない。ならば密かに独自の捜査を進めることにしよう。それにはあの男の協力が必要だ。朝比奈は机の中から一枚の名刺を取り出し、そこにある番号に電話をかけた。

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