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06 つづきは各自で

「待宵さん。わたし、どうしてもしてみたいことがあって……」

 珍しくルナが椅子に座っている僕の耳元に小さな声で囁いてきた。

 それは少しくすぐったくって、他の誰かなんているわけでもないから、普段の話す声で良いのに。

「したいこと?」

「……駆け落ちを……してみたいんです」

 僕とルナの関係をとやかく言うような人間は周りにいないし、はじめから二人きりな訳だから……どうしてそんな言葉が出て来たんだろう。

 二人きりと言ったって、時々僕が一人になりたくてルナを如月家に置いて遠くに行くことはあるけど。

「あの……どうでしょうか」

 駆け落ち……駆け落ちね……。

 ルナにしては随分大人びた言葉だな。

「……僕じゃない他のだれかを好きになったの?」

「えっ」

 驚いたような困ったような反応からして意味まではよく知らないで言ったのがわかってやっぱりルナだなぁと思いながら彼女の頭をなで回す。

「ち、ちがいます!そうじゃなくて……あの、わたしは、待宵さんと駆け落ちがしたくて……」

「僕と?」

「はい」

「……そう」

 椅子から立ち上がってまじまじとルナの顔を見つめると顔が真っ赤なだけだったのが、なぜかだんだん目が潤んでいくので泣き出してなにかを言われる前に抱きしめて、さっきルナがしたように耳元に囁く。

「せっかく君のしてみたいことなんだから、付き合うよ」


おわり

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