誕生日大作戦
数か月かけての投稿すみません( ;∀;)
結構、力は入ってるんで呼んでください
昨日のプールを思い出しながら最騎は独り言を言いながら病院の廊下の奥へと進んでいた。
「昨日の行為は仕方ない」
「それに、夏樹は覚えてないんだから平気だろ」
「キスなんてしてないし、何も覚えてない」
「お互いのためにも、これでいこう」
病室の重い扉を勢いよく開け、顔を引きつらせながらも笑顔を作る最騎を見て
ベットによっかかる夏樹と、その隣に座る霧川は呆れ顔を突き合わせている
「あんた何やってんの?」
「他の人に迷惑だし、扉が壊れたりでもしたらどうすんのよ」
「最騎は不思議さん」
「すいません、今後は無いようにします」
仕方ないだろ!
人工呼吸とはいえ女の子とキスしてしまったという記憶があるんだから
気を失ってて知らないから、そんなこと言えるんだよ。
まあ、知ったら知ったで問答無用に命を狙ってきそうだし、
教えたくもないんだよな~
それに本人も知らない方が幸せだろうし
「それよりも、如何なんだよ調子わ」
「平気よ。元から異常なんて見られなかったんだけど」
「お医者さんが一応は検査入院しろって言うからしてるだけだし」
「そうか、それならよかったよ」
「いつ退院するの?」
「明日の昼には退院できるらしいわ」
「最騎、少し荷物も多いし迎えに来てくれない?」
「いいよ、霧川と一緒に来るよ」
「霧川もいいよな、都合が悪きゃいいけど」
霧川はこっちをガン見してくる
なんなんだよ。
何か気に障るようなことした?
いやいや、平気なはずだ。
毎日 見ている俺にしかわからないが、霧川が不機嫌の時は
微妙に目が細くなる。そして明らかに殺気に似たオーラが出てるからな
その二つがないなら平気。
ただこれは今まで見たことない反応だから、どんな対応がベストなのか分からない
どうしたらいいんだ、、、いや、落ち着け
まずは観察しよう
顏を背けて、土産に持ってきた饅頭のふたを開け、、、口に放り込んだ。
って、もう違うことしてるし
返答は今のだけ? もしかしてOKってこと?
「ねえ、霧川」
「今のって了解ってこと?」
霧川は饅頭を口いっぱいに詰め込みながら頷く
「そうか、分かった」
「ゆっくり食べろよ、それに水も一緒に取らないと喉に詰まるぞ」
じっと見つめられるだけがOKサインだなんて解るかーーーーー!
それに饅頭は病人の夏樹に買ってきたの!
どんだけ自由奔放なんだよ、もう
「そういえば、昨日言ってた週末の話はどうするの」
「週末って言ったら、ちょうど退院の、、、」
夏樹は最騎の話しに被せる様にして大声で怒鳴る
「珠洲ちゃん、飲み物買ってきてくれない!」
「珠洲ちゃんの分も出すからさ」
霧川はお金を手に握ると、買い出しに出かけてしまった。
「行ってらっしゃい」
霧川が出て行ったと途端に病室の空気が変わる
「あんた何で? 珠洲ちゃんが前にいるのに話すの?」
「それに退院の時の手伝いにも珠洲ちゃん誘っちゃうし」
「あれ、ダメだった」
「ダメに決まってるじゃない、誕生日プレゼントを買いに行くんだから」
「誰の誕生日?」
何のことか全く理解していないという顔をした最騎をみて呆れる
「珠洲ちゃんの! もしかして知らなかったの」
「お世話になってるんだから、そのくらい調べて」
「少しでも恩返ししなさいよ!」
「ごもっともな意見だな」
「すまない、明日は俺一人で付き合うよ」
「どうにかして、一人で来るのよ」
「OK」
「それとさ、一つ聞きたいんだけど」
今さっきとは打って変って、夏樹の声はとても小さくなり
向こうを向いたまま此方を見ようともしない
「何?」
「昨日の事故の記憶が少し、あやふやなんだけど」
「私が事故に合う前って最騎といたんだよね?」
「一緒にいたというより、道連れにされたが正しいけど」
「やっぱり、そうなんだ」
「お医者さんに聞いたら、大量に水を飲んでて」
「本当だったら、喉を詰まらせて息が出来ないはずなのに」
「救急車が到着したときには、ちゃんと息してて」
「そのおかげで、私が無事だったらしいの」
「だけどね、そうすると誰かが私に人工呼吸をすることになるでしょ」
「あの時、最騎と一緒にいたんだよね」
「もしかして、私にしたのって最騎?」
夏樹の耳は赤く染まるのが第三者にも分かるくらいだったが
当の本人たち、その中でも最騎には
そのことに気が付くだけの余裕がなかった。
「いや、あれだ」
「あの時に助けたのはボクだけど」
「じっ人工呼吸なんてしてないよ」
「奇跡的に息はしていたんだ」
「そう、、、」
沈黙による気まずい空気続くと思われたが、次の瞬間には
霧川が部屋に帰ってきて、夏樹はまだ不満そうだが強制的に話は打ち切られた。
「まあいいや、助けてくれてありがとう」
「おう、気にしないでくれ」
「何を話していたの?」
飲み物を夏樹に手渡しながら話に入ってくる
「珠洲ちゃん、ありがとう」
「別に対しいたことじゃないよ」
「そう」
「じゃあ、寮に帰るよ」
「先に帰って夜ご飯の支度してるよ」
「だから、霧川も遅くなんなよ」
軽く頷きながら買ってきたお茶を飲む
本当に聞いてんのか?
適当に頷づいてるようにも見える
買い物を終え、寮に着く
裏口からこっそりと入ろうとする時に
最近、購入したばかりの携帯が鳴る。
「もしもし」
「最騎?」
「ああ、そうだけど」
「その確認必要か、、、」
「実家に帰る用が出来たから、明日の17時まで寮には帰れない」
「分かった、夏樹には言っておくよ」
「ということが昨日あったから」
「今日は誤魔化さなくても一人でこれたよ」
「で、どうだった」
「何も体に異常がないって」
最騎と夏樹は病院の廊下を歩きながら談笑した
「それでどこに行くんだ?」
「それが問題なのよ。最騎を誘った理由でもあるしね」
「珠洲ちゃんの好きなモノとか趣味とかが分からないの」
「それで、最騎が何か知ってるかもってことで」
「ボクを誘ったわけか」
「一様どんなものを買うかは決めてて、服にしようと思ってる」
「どうして、それにしたの?」
「服とかなら似合うのを買えばいいのかなって思ったから」
二人は横に並びながら駅へと歩いていた
「それで、もう一つ問題があって」
「そういうのが売ってる店がを案内してくれない」
「いいけど、どんなのが良いとかある?」
夏樹が顎に手を当て考えてる恰好のまま立ち止まったため
最騎も連れて立ち止まる
・
・
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「フェミニン系の服が多くある場所かな」
「フェミニンてのは分からないけど、お店が多くある場所に連れてくね」
夏樹は溜め息をつきながら「よろしく」と続ける
二人は雑談をしながら歩く、その姿には1ヶ月前に
決闘をしていたようには誰にも見えない
夏樹は足を止め、そっぽを向く
「そういえば、お見舞いとか今日のこととか、、、」
「一応、着いたよ」
夏樹が立ち止まったことに気づき、後ろを振り返る
「どうしたんだよ、顔を赤くして」
「もしかして、まだ調子悪いんじゃないのか」
最騎の手が夏樹の額に当たる。
夏樹は更に顔を赤らめ、それにつれて体温も上がっていく
「やっぱり、熱いな」
「だ、大丈夫よ」
「それ以上何か言うなら実力行使で黙らせるから」
「分かったよ、でも体調が悪くなったら言ってくれ」
更に歩き続けて、清楚な服が飾ってある店にに入った
「こういう店はどうかな?」
「霧川に似合いそうじゃないか」
「確かにそうなんだけどね」
夏樹は顎に手を当て、しっくりこないような感じだ
「他も見に行ってみるか?」
「そうね、他のモノも見に行きましょ」
店を幾つか見て回り、次の店に向かっていると
夏樹が人形店のショーウィンドウを覗き込んでいた
夏樹のところへと近づき、声をかける
「おい、どうしたんだ?」
そこには宝物のようにクマのぬいぐるみ飾られていた
「何でもないわよ」
「さっさと、次の店に行きましょ」
夏樹と歩いていると、後ろから肩を叩かれた
「お~い、最騎君~」
「明日香さん!」
「ここで何やってるんですか?」
明日香の目は最騎と夏樹を何度か往復すると
「君こそ、こんな美人さんと何をしているのかな~」
「ただの買い物ですよ」
「買い物ね~」
「彼女は、」
「夏樹さんでしょ」
「流石、明日香先輩ですね。もう知ってるなんて」
夏樹は不審者を見るような視線を明日香に向ける
「で、こちらは新島 明日香さん(にいじま あすか)」
「ボクの一つ上なんだ」
「女性の年齢を人に教えるなんて、失礼だな~」
「ボクは新聞部なんだ。宜しくね!」
「もしかして、二人は付き合っちゃっているのかな」
明日香がテンションを上げながら、さらに続ける
「それで~これはデートなんじゃないの!」
「ちっ違いますよ、そんなんじゃないです!」
「ただ単に、友達の誕生日プレゼントを二人で買いに来ただけで」
「へ~そうなんだ」
「最騎君には彼女が二人と」
そんな独り言を言いながら、メモ帳に何かを記入している
「何メモってるんですか!」
「まあいいや!」
「それなら、私が手伝ってあげるよ!」
明日香と一緒に探し始めて数件目には良さそうな店を見つけた
その店は路地裏でひっそりと経営しており、明日香先輩だったからこそ発見できたのだろう
もしボクが一日店を探し回っても、決してたどり着いていなかった。
そもそも、こんな場所に店を開いているという考えに至らない
「すいません、お手洗いに行ってくるんで待っててください」
最騎は人形店の前に来ると、走る速度を落とし息を整える。
扉を開け中に入ろうとすると扉は重く、なかなか開かなかったが店の中に入ることが出来た
「すいません、誰来ますか?」
シーンとした音と時計のカチカチ音が混ざり、人形と本が壁のように積み重ねられている
空間を一瞬だけ包み込んだ
「何かな?」
耳元に男の声が響く、それに驚き後ろを振り向くと
髪も髭もボサボサの中年男性が笑いながら立っていた。
「怪しい者じゃないです。ショウウィンドウの人形が欲しくて」
「買いに来たということだね」
更に微笑みながら嬉しそうにしている
店員がショウウィンドウの方へ行きクマのぬいぐるみ を持ってくる
「これでいいかな?」
「はい、プレゼント用に包んでもらっていいですか」
「もちろん」
包んでもらっている間、最騎は何か違和感を持ちながら待っていた
「お待たせしました。メッセージカードを付けとくね」
人形店から出ると、急ぎ足で店を後にした。
夏樹達の所へ戻る途中、先ほど人形店に向かう時に見かけた全てが黒尽くめの車は今もまだ同じ場所に止められている。
その車を横目で見ながら通り過ぎようとした時、変な傷を見つけた。
車体に幾つかの小さな凹みと、薄くだが引っ掻き傷がある。
この様な傷は車の衝突などでは付かない、人が殴るなどしないと付かない
しかし、自分の車に自ら傷つけはしないだろう。
車に近づき、傷後を観察する。
急に助手席の窓が開き大柄な男が睨みつけて来た。
「何、車に触ってんだ‼︎」
運転席の方には痩せてる男が顔をの覗かせ、少し動揺している様にも見える。
「すいません、この傷が気になって」
「その~誰かにイタズラされたんですか?」
助手席に座る男が窓から視線を向け、嫌な顔をした。
直ぐに、取り繕おうと声色が明るくなり
「あー本当だ‼︎」
「誰にやられたんだか、もし見つけたらイタズラを出来ないようにしてやる」
「坊主、今後は他人の車を触るんじゃないぞ」
「ほら、さっさと行った!」
その瞬間、車の中からドアを蹴りつけるような音が響き渡った。
「後ろにも誰か乗ってるんですか?」
「いや、なっ何でもない俺らも車を出すから、さっさと行った行った」
「そうですか」
後ろのドアに手を引っ掛け車が動くのに合わせてスライドさせる。
中には10代の女の子が縛られて倒れている光景があった
「あらら~」
大柄な男が、拳銃を向けてきた。
しかし、その手を払って拳銃を取り上げる。
「チッ 出してくれー」
車が急速発進して、逃げてしまう。
走って追いかけるが、流石に車に追いつけず
少しずつ離されていく。しかし、この先には、、 、
「夏樹ー」
「そこの車の中に犯罪者が乗っている」
夏樹は咄嗟だったにも関わらず、炎をボール状にして車へと放つ
その炎の塊は命中し、車は停車しながら燃え上がっていく。
ヤバい、ヤバい、ヤバい
あの燃え上がり方、ガソリンが漏れている
「爆発するぞー逃げろー」
車に駆けより、モタモタしている犯人たちを外に放り出す。
「大丈夫よ、このくらいの爆発なら操れる」
慌てている。ボクを可笑しそうに笑っている。
「良くもやってくれたな」
運転席にいた男が立ち上がり呟く。
夏樹に銃を向け、全て終わったと安心している夏樹に引き金を引いた。
「!」
最騎は夏樹を守ろうと覆いかぶさるように庇い、
痛みに耐えようと目を閉じる。
「あれ?」
しかし、痛みが来ないことに驚き目を開けると、
炎の壁が弾丸を寸での所で受け止めている。
「な、な、なっ何、この状況で私を押し倒してるのよ」
「ごめんー」
頬を叩かれ、じんわりと痛みが広まる。
直ぐに警察も付いて身柄を引き渡した。
寮に帰る途中、夏樹が顔を赤くさせながら何か呟いていたが、
何を言っているのか怖くて聞けない。
「顔が熱いし、何かとても恥ずかしいけど言わないと」
「最騎」
「助けてくれて、ありがとう」
風が通り抜け、頬に当たる。その風は、今の夏樹には気持ちよく感じられた。
後日談
霧川は表情に出していなかったが半分恥ずかし嬉し、という感じだった。
読んでくれて、ありがとう
今度の投稿は、3月近くだと思われます。