プロローグの終わり
いやー遅れてホントすいません(´;ω;`)
しかし、文字数を見てください
なんと5000文字を超えて書きました。
σ(゜∀゜ )オレ偉い
振り下ろした剣は最騎の頭上で失速した。
夏樹の一撃を最騎は、腕に氷魔法を纏わせて間一髪で受け止めた。
すぐさま勝負を決めようと剣を持つ手に力を籠め、最後の一撃を放とうとした。
「火炎よ踊れ」
夏樹の突き出した手の先が赤く輝きだし、魔法を発動した本人をも含んで大爆発が起こった。
両者とも爆破の衝撃によって迷路を形作る鋼鉄の壁へ激突した。
「岬君どうしよう」
「こんな爆発、二人とも無事じゃすまないよ!」
「もう死んじゃってるかもしれない」
「落ち着け!」
「魔力シールドで一命は取り留めてるはずだ」
「人を呼んできてくれ」
「んっ」
なんか最近、意識なくして起きるな
・
・
・
そんな事考えてる状況じゃないんだった。
早く夏樹さんを見つけないといけないのに右足の骨が折れてるし、煙で周りも見えない。
夏樹さんは爆発を起こる前はボクの目の前にいたんだから、向かいに飛ばされているはず、
だけど見当たらない、もしかしたら瓦礫の下敷きになっているのかもしれない。
急がないと、危険だ。
速く立たないと。
「夏樹さん」
「大丈夫ですか?」
返事はないが前から足音が聞こえる。
「夏樹さんですか?怪我とか大丈夫でしたか」
前から人影が現れ、その影は最騎に切り掛かった。
最騎は剣で、なんとか防ぐ
煙が漂う中、赤い瞳をした女の子がぼんやりと現れる。
「夏樹さん、攻撃しないで」
「まだ、決着が着いていない」
「二人とも爆発で、魔力シールドは破壊された」
「これ以上続けると、どちらかが死ぬことになる」
「それでも私は戦って勝しか道がないのよ!」
剣がぶつかり合い火花を上げる。
「たとえ手までもが赤く染まったとしても、夏樹の名にかけて、あなたを倒す」
「そうでなければいけないの!」
「負けて夏樹の名に泥を塗るくらいなら、私は死んだほうがましよ⁉」
このままだと力で押し負ける、どうにかしないと
「なんで、そこまで勝利にこだわる」
「そんなの、君らしくないよ」
「会って数日のあなたに何がわかるの!」
「わからない!数日間の君しかボクは知らない」
「だから、数日間の君をボクは信じ、助け合っていきたいんだ」
「君が勝利にこだわる理由も本当の君も全て分からない」
「だけど何かに困っているなら頼ってくれ」
「ボクにはどうすることも出来ないかもしれない」
「それでも、君の悩みは聞ける」
「一緒に悩むことも、一緒に悲しんで泣くことも出来るんだ」
「君の傍にいて、いつか泣き止んだ時に君と一緒に今後を歩んでいきたいんだ」
「だからボクは死なないし、君も死なせない」
何かが壊れる音がした瞬間、上から鉄骨が降ってきた。
彼女は気づかないまま話を続ける。
「そんな言葉、信じられない」
「私は、お兄様が死んでしまった日から」
「一人で歩んで来た」
「それは、一生変わらない運命なのよ!」
「あなたの思い描く未来は訪れることはない!」
彼女が剣を振り下ろす。しかし最騎は、それを防ぐでも避けるでもなく、夏樹へと突進した。
夏樹は最騎の予想外の行動に、足の踏ん張りがきかず
最騎の下敷きになる形で後方へと飛ばされた。
「なっ何をするの!」
間髪入れずに夏樹が先ほど居た所に鉄骨が落っこちる。
「何でこんなことしたの?」
「私のことを助けなきゃ、もっと簡単に避けれたのに」
二人とも、何とか立ち上がり少し距離を取る。
「さっきも言ったけど君の力になりたいんだって」
「血が出てるじゃない、私の剣を避けないから」
「このくらい平気だよ」
「それよりも、ここは危険だから外に避難するんだ」
「こっ、今回だけは勝負にならないから仕方なく従うわ」
「それは良かった、共倒れしたら勝ち負けなんか意味ないからね」
「背中に乗りなさい」
「なんで?早く逃げないと、あそこが出口だから早く行くんだ」
「あなたに恩を売られたままは嫌なの」
「置いていくなんて逃げてるみたいだし」
「君も怪我してるんだから、無理するな」
「ボクのことはいい、すぐに脱出するんだ」
さらに次々と鉄骨が降り注いできた。
「でもそれじゃあ、、、」
「いいから行くんだ」
「それに逃げるんじゃない、みんなで生きて帰るために応援を呼んで来て欲しいんだ」
「分かったわ、勝負の続き今度しなさいよ」
夏樹はそう言うと走り出す。
「二人とも生き残ってたら、いつかね」
これはヤバいな
血が流れすぎて、力が入らない
どうにか彼女だけは助けられそうだ、よかった。
「最騎、危ない」
最騎の真上に落ちたそれは、彼の体を貫く前に
真っ二つになり、黒髪の女の子によって弾き飛ばされた。
「珠洲ちゃん」
「二人とも大丈夫?」
「なんとかね」
「でもどうして、ここにいるの?」
「私、決闘のこと言ってなかったのに」
「金髪の人が私に事情を説明してくれて、駆け付けた」
そんな人僕が知ってる中で一人しかいない
「それって胸が大きかった?」
最騎の発言に夏樹は驚く、しかし霧川は表情一つ変えず答える
「ものすごく」
陽華だろうな、後でお礼言っとこう
「それよりも優香、私はあの件に関して何も気にしていない」
「だから、こんな事しなくていい」
「でも、ありがとう」
血が流れ過ぎたせいか、目まいがする。そして、意識が消えていった。
その中でボクは、彼女が頬を赤らめてるように見えた。
勝負は引き分けとなったが、決闘により戦練棟を破壊してしまった件が翌日の朝には
白日の下となり、ボクは前科があるということで今回の責任を取り、退学となってしまった。
「はー、これからどうしようかな」
本当にどうしよう、まずは叔父さんの家に行くか
迷惑を掛けたくないし一週間の内に今後の身の振り方でも考えないと。
あー最悪だ
「こんなに暖かくて気持ちのいい季節なのに、何でこんなに悲しい思いをしなきゃいけないんだ」
あーボクだけ吹く風が冷たく感じるよ
「待ちなさいよ」
「勝ち逃げなんて許さないは」
赤髪を大きく揺らしながら叫ぶ
「勝ち逃げも何も、勝負の決着はドローだったんだし」
それに逃げるんじゃなくて、退学なんだし
「そんなことはどうだっていいのよ」
「私があなたを倒すと言ってるの!」
「いや、でも退学だし」
「ボクにはどうにもできないよ」
あ~、自分で言ってて嫌になる
「だ~か~ら、あなたの処分は取り消しになったのよ」
「気づきなさいよ、ほんとバカなんだから」
彼女は今、何んといったんだ。聞き間違えか?
「すみませんがもう一度聞き直していいですか」
「お父さんに頼んで、事故のことは揉消してもらったわ」
「これで、理解できた」
やったー、聞き間違えじゃなかった。
というか物騒な言葉もあった気がするけど、そこは気にしないで
喜んでおこう。やったー
「そういうことだから」
「夏樹さん、ありがとう」
夏樹は、そそくさと自分の寮へと帰って行った。
「よっしゃー」
でも、住む場所どうしようかな
「仕方ない、ここら辺で野宿するか」
荷物を下ろし、休んでいると、
森の奥から何かが風を切る音が聞こえてきた。
「誰かいるのかな」
最騎は音の方へと近づいていく。
音がすぐ近くで聞こえてくる所まで来ると、
霧川が稽古しているところが見えた。
突如、彼女が消えた。
「何で居るの?」
最騎は驚きながら、後ろに振り向く
そこには、彼女が立っていた。
「今、何をしたの?」
「そんなこと、如何でもいい」
「私の質問に答えて」
「ああ、野宿する場所を探していたんだ」
「処分が取り消しになったのは知っていたけど、住む家が見つかってなかったのね」
「なら、私の住んでいる寮部屋を貸してあげる」
「本当に!」
「でも、どしてそんなことを?」
「夏樹を助けてくれたお礼」
全く助けた覚えはないから、甘えるのは心苦しいけど
住む場所が無いのも事実だからなー
仕方ない、ここは助けてもらおう
「ありがとう、お願いするよ」
「変な事したら、直ぐに追い出すから」
「あっ、、、はい」
ガチャ
「あなたには今日からここに住んでもらう」
・
・
・
「ここって」
「君の部屋じゃないのか?」
「当たり前でしょ、あなたの退学は無くなったけど」
「風呂を覗いた事件に対しての処分は残っているのよ」
「本当ならあなたは、この宿舎には入れないの」
「ここには私しか住んでいないけど一応、注意しとかなきゃいけない」
「他の人にバレないようにするには私の部屋が一番都合がいいの」
は~、どうなるんだこれから
すごく眩しー
それに誰かに呼ばれているような気がする
「さっさと起きなさい」
「ぐはー」
なんかいきなり頬を叩かれた。
すごく痛い
「やっと起きた」
「早く、朝ご飯の支度しなさい」
住まわせて貰っているからから朝食の支度をするのはいいんだけど
「朝ご飯って、まだ四時じゃないか!」
「この時間からなんで作らなきゃいけないんだ」
「体を動かす前に何か食べたいからだけど?」
なに不思議そうな顔してるんだ
「はー」
「しょうがない、少しだけ待っててくれ」
とは言ったものの、そんなに料理が上手くないんだよな
「出来た?」
「ちょうど今、そこにある皿を持ってきてくれる」
「ありがとう」
「後は座って,もう少しだけ待っててくれ」
パンが焼けたから、皿に乗せて完成した~。
「ほら、出来たよ」
食パンに目玉焼き、サラダを全てテーブルに置き
最騎もテーブルに着いて一緒に食事を取った。
あ~、なんか無言の食事って気まづい
「その~、味はどうかな?」
「見た目は悪いけど味はそこそこ、中の下くらいよ」
「正確には、下の上が不味くても何とか食べられるレベルよ」
「それの一つ上」
あまり詳細には聞きたくなかった
「そうですか、これからは美味しく作る練習しときます」
部屋に沈黙が戻り数十分後、
二人は食事を終えて一緒に試合稽古することになった。
最騎は居合の構えをしている霧川の目の前に突っ込んだ。
そのままの勢いで一文字に切りつける。
しかし霧川は、下に潜り込み最騎に向かって切りつけた。
木刀に切られ、大きく後ろへと吹き飛ばされた最騎は、両手を上にあげ降参のポーズをとり
立ち上がった。
「このまま続けたいところだけど」
「もうすぐ時間だし、先に帰って風呂でも用意してくるよ」
「霧川も早く帰ってきてよ」
時間が経ち、空には真っ赤な夕暮れを浮かばせていた。
学校では、先日の事件関連の話題は何処かへと消えてしまっていた。
最騎は仮家である寮へ帰り、
誰にも見つからないように入ろうと寮の裏に回り込み裏扉から入ろうとしたが鍵がかかっていた。
壁の一枚向こうは小さいが縁側になっていて、そこからなら部屋に入ることも出来るため
仕方なく塀をよじ登ったが途中
「あなた、なに忍び込もうとしてるの!」
「炎に焼かれて怪我したくなかったら、被ってるフードを取って」
下から女の子の声と剣を抜く音が聞こえた。
「こっちに降りてきなさい」
ああどうしよう、こんな事になるなんて
もうここにも居られなくなる
最悪、退学もあり得る、、、最悪だ
「すみません、許してください」
「忍び込むつもりじゃないんです」
「何言ってるの!」
「どう見たって怪しいのよ」
「さっさとこっちに向いてフードを取りなさい」
最騎は仕方なくフードを取り、正面を向くと
そこには夏樹が立っていた。
「あっあなた一度ならず二度までも罪を犯そうとは」
「先日の戦いで、あなたが覗きをするような人じゃないのかも」
「もしかしたら、何かで不意に起こった事故なんじゃないかって」
「そう思い始めたのに」
「いや~うっ嬉しいな~ボクのことを信じてくれるなんて」
如何にかして誤解を解かないと、この状況はヤバイ
「夏樹さんの言う通り、あれは思いがけない事故だったんだよ」
「こっ今回だって事情があってね」
「寮に忍び込むような形で入るのはボクも好意じゃないんだけどね」
「これも事情の内だから仕方ないんだよ」
「だからどうか見なかったことにしといて欲しいんだけど」
「その剣も鞘に納めてくれる」
彼女は地面を見つめていて表情がわからない
しかし、怒っているようにも見えない
彼女は何かを呟いたが聞き取れなかった。
「夏樹さん、今なんて言ったの?」
「思い始めたのに」
「あなたは私が思い描いたような人じゃなかった」
「死んで」
夏樹は剣を振り上げて切り掛かってこようとしている。
その時、「ガチャン」という音とともに
「人の家の裏でチャンバラごっこして遊ばないで」
という言葉が飛んできた。
「珠洲ちゃん」
「家に居たの?」
「ずっと居ました」
「聞いてよ珠洲ちゃん、彼が家に忍び込もうとしてたの」
「だから勘違いだって」
「何が勘違いよ、珠洲ちゃんの魅力に惹かれた貴方は」
「風呂を覗き、ついには今日」
「部屋へと忍び込み珠洲ちゃんに如何わしい事をする寸前だったじゃない」
霧川の視線が最騎の方へと向く
それを見た最騎は何も悪いことをしていないのに顔を背けてしまった。
「ほら、やましい事があるから目を合わせなかったのよ」
「最騎こっちを向いて、しっかり目を合わせて」
「いや、そんな事しても意味ないよ」
「やましい事なんて考えてないんだし」
「もちろん、してもいないんだから」
というか、あんまりジーっと見られると恥ずかしくなるんだよ
男の思考回路ってやつを
もう少し学べよー
「ほら怪しい、捕まえて警察に引き渡そうよ」
「こんな犯罪者、世の中に放置してちゃいけない」
夏樹が一歩また一歩と近づいてくる
「観念しなさい、年貢の納めどきよ」
警察はマジでヤバイ
如何にかしないと、何か言わないと
「きっ霧川は何で忍び込んだのか知ってんだろ」
ミスったー、霧川がボクを填めに来てるんだから、否定するに決まってる。
「知ってるよ」
んっあれ、肯定した。何でだ
「珠洲ちゃん知ってるの?」
霧川はコクッと小さく頷く
「私の家に居候していて、あまり人に見られると不味いから」
「最初に言ってくえばよかったのに」
「珠洲ちゃんに手間かけさせるなんて」
「でも誤解して剣を抜いたのは悪かったは」
「いいの、気にしないで蛍は悪くない」
なんで霧川が答えるんだよ
でも退学にならずに済んでよかった。
というか夏樹さんて下の名前「蛍」って呼ぶんだ
「まあ誤解が解けてよかったよ」
「それより、夏樹さんは何しに来たの?」
「ご飯を一緒に食べようと思ったの、昨日からそうしてるから」
「なら夏樹さんにもボクのことを、話しといてくれれば良かったのに」
「すっかり忘れてたわ」
「お詫びもかねて、手料理でもごちそうするわ」
「私も手伝うは」
「いいの、珠洲ちゃんはテレビでも見て待ってて」
台所に最騎と夏樹の二人で料理している
「さっき遠回しに断ってたけど、霧川は料理下手なのか?」
「珠洲ちゃんは昔から栄養分さえ取れればいいと思っているから」
「それが作る料理に出てるの」
「最近はご飯を作りに来てるから、少しは味を気にするようになってきた気がするけど」
それで不味いって言われたのか
「ご飯で来たよ」
ふう、結構大変だったな
「これを持って行って、後は私が持つから」
「大丈夫か、そんなに持って」
夏樹はお盆いっぱいに料理を持ち歩いてくる
しかし、机に脚をひっかけ転ぶことはなかったが状態が安定せず
ついにはバランスを崩し倒れそうにな。
最騎は夏樹を抱きしめるようにして受け止めた。
「なっなっ何やってるのよー」
「私に抱き着いて、あっあんた正気なの!」
「この変態ー!」
「今のは助けようとして」
「胸まで触ろうとしたじゃない、どこが助けようとしてるのよ!」
「こんな変態と一緒に珠洲ちゃんを住まわせておけない」
「いつ襲われるか分からないわ」
「なので私も、この寮に住みます」