05 新婚旅行 〜生後2日半〜
半ば脅迫のような形で行われた『取り引き』の時間が終わってから既に1時間が経っていた、千佳さんと梨奈さんが泣き止む気配は一向にない…
「うっ……うぅ………」
「ごめん…ごめんね梨奈ぁ………」
こう…とてもシリアスな場面ではあるのだがここで一つ、ある心配事が懸念される、俺、目が覚めてから一度もトイレしてなくね…?
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えーと、まぁほんとどうしようか、オムツしてるとはいえ俺ここで力んでトイレしなきゃならんの?梨奈さんに抱きかかえられた体勢で?しろと?しなきゃダメかな?
いやまぁまだ我慢は出来るんだがいかんせん梨奈さんが俺のことをものすごく強く抱きしめてくれてるおかげで膀胱が刺激されて…あの…その…はい。
あ、まって、ほんとシャレにならない、待って
俺このシリアスな空気を尿弁で中断させるとかしたくないの、ほんと待って…あっ…あっ…嫌アアアァァァアッッ!!!
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地獄だったよ…それしか言えない…もう…不幸すぎる…語るに語れないよ…止めてくれ…俺はしばらくトイレを毎回こんな思いしなきゃならんのかよ…ウォッシュトイレのありがたみを知ったぜ…っ!知りたくもなかったけどな!
「えと…オムツ替えも終わったし…どうする?」
千佳さんが俺のお尻をポンと叩く、お願いします、やめてください。
梨奈さんが居心地の悪そうに無言でうつむき、ポツリポツリと言葉を紡いでいく。
「…に…げる…?」
「ど、どこにさ…ってか見つかるんじゃないの…?」
「ここはあれだけど私の親戚が名前忘れちゃったけど神奈川県の方の町に住んでるの、そこで…」
梨奈さんの家に俺たち共々逃げ込むってことか…嫌でも普通バレねーか…?
「ふぅん…どんなところ?」
お前何でそんなに満更でもなさそうに楽しそうな顔なんだよ、バカかよ、緊張感持てや…
「あのね、山とか海とか自然がすごくてね…まぁ悪く言えば田舎って感じなんだけど…電車で2.3駅くらいで横須賀とかにも行けるくらいだし!」
だからなんであんたも新婚旅行の行き先決めるみたいになってるんだアホーッ!!!
「ふぅん…大丈夫なの?」
「訳を言えばきっと…きっと助けてくれる…!」
「お母さんの家じゃ…いや、ダメね、うちは…」
「私はほら、お母さん死んじゃっておばあちゃん子だったから…すごく優しくしてくれるの」
「そっか…なら…そうする?」
「うん、退院と同時に家には帰らずにそっちに行こう、大丈夫、バレないよ」
「でも綾は男だよ…すぐばれちゃうよきっと…っ!」
「それなんだけどさ、私が始め名前聞いた時「あや」って勘違いしたじゃん?だからさ…」
え…おいまさか…ちょい待てよ…っ!?
その話の流れからして俺はまさか…!
「まさか…綾のことを綾って呼んで女の子として…!?」
「…うん、それしか…ないんじゃないかな」
ちょ…っ!?
そんなことなくなくない!俺に男として生きる権利をーっ!?
「…かな…じゃあ…新婚旅行がてら逃げちゃおっか!」
「うん!」
おいイイィィィイイ!!!!!何爽やかに全て万事時解決みたいになってんだバッカじゃねえのオォーッ!?
「じゃあ私おばあちゃんとこ電話してみるね、一応アポは取りたいし…下に公衆電話あったよね!」
「うん、じゃあ私は一度家帰っていろいろ車に詰め込んでおくわ」
「よし!じゃあ決まりだね!」
決まりじゃねぇだろおオォッ!!!ふざっけんなよ!?そしてお前ら当たり前のように赤ん坊おいて部屋を去るな!バカなのか!?ほんとーっにバカなのか!?死ぬの!?ねぇ!?ちょ!おいっ!?
こうして俺たち神崎家の新婚旅行の計画が立てられた…いったいこの先どうなるんだ…?俺はこの世界でハーレムを作り上げることはできるのだろうか…
今回はここまで、昨日はちょっと買いたかった漫画かなりの数買って夢中で読んでたら更新するの忘れていました←
できればだけど毎日更新していきたいと思いますのでどうぞよろしくお願いします
ではでは