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11 もう少し女子力あげようよ… 〜1歳〜

さて、あれから数ヶ月が経って俺は一人でなんとか歩けるようになり、『食事』も卒業することができた。


さらにいろいろ急ぎすぎかもしれないが段々と喋れるようにしてきている、梨奈さんと千佳さんに「まぁま」なんて言った日にはあの人達二人とも感極まって泣くきじゃくってたからなぁ、俺までびっくりさせられちまったよ、ちなみに玲奈さんは腰抜かして驚ろかしちまった、初めてこの人死ぬかもしれねぇって確信したさ、それだけあの人元気だったからな今まで…


そんなわけで俺も一人で出歩くことは流石にないが家族でちょこちょこお買い物に連れて行かれたりすることも段々と多くなった。


春の日差しも段々と暖かくなってきて心地よい気分で昼寝していたのだが唐突に千佳さんに起こされて目がさめる。


「おっきろぉーあやちゃあーん!花見に行くぞっ!」


「ちょ!千佳!そんな起こし方だと…」


「いやぁこの子全く泣かないぞ?目をクリンクリンさせてこっち見てるだけだぞ」


「それって驚いてるんじゃあ…」


「まぁ細かいことはどうでもいいからさ、いこーよ!」


今は朝の10時半頃、玲奈さんも今日はボランティアが無く、千佳さんの休みもたまたま被ったので少し歩いたところにある公園で花見をすることになったのだ。


俺のことを千佳さんがおんぶ紐で括りつけてから背負う、玲奈さんはアロハシャツを着こなして大きなリュックサックに大量の重箱と飲み物を詰め込んでいる、この人まさかその年でマジで大荷物抱えて歩く気かよ化け物かよ…


駅の方面に歩き、小学校の脇の道を通る、住宅街を抜けると目の前に長く長く続く階段が現れる。


千佳さんも俺のことをおんぶしながら階段を上っているからか千佳さんの顔にも疲れが見え始める、一方明らかに俺の体重よりも重たそうな荷物を抱えている玲奈さんは全く疲れた表情を見せない、梨奈さんは元々体力が少ないのかほとんど荷物は抱えていないけれども疲れた表情を見せている。


公園を突っ切るのが学校への駅からの近道なのか前から垢抜けていて、階段の下からだと覗こうとしなくてもパンツがチラチラ見えてしまいそうなほど短いスカートを履いている女子高生の集団とすれ違う。


「あうう…ちょっと疲れたよ…まだぁ?」


「梨奈は体力ないなー、もうすぐだぞー?」


そんなやり取りを交わして数分、俺たちはようやく開けた場所にたどり着く、ただ___


「なにここ…草ぼうぼうじゃん…流石にここでご飯はー…」


「うぉーすんごいなぁ草…あとここには桜まだ咲いてないようだねぇ、もう少し遠くの方だとチラッと見えるけど」


二人に同感だな、俺はこんなところでは飯食べたくないぞ…虫とかもいそうでやだしな…


「あぁーここは違うさ、ここはー…あれだよ、子供達がサッカーしたりする場所だよ、桜はもう少し上の方に咲いているよ」


「え、でもどうやって登…あ、階段まだあったんだ…」


「そ、あと1.2分登るだけだから頑張ろう!」


「ふええぇ…きついよおぉ…」


**********


俺たちは(梨奈さんのこぼす愚痴を受け流しつつ)やっとのことて公園の一番上の方にすることができた、階段を上った直後にはタイヤと木材で作られた遊具や小さいながらもロープウェイがあったりした、今日は平日のためか俺たちの他には家族が2.3組くらいしかいないようだ。


「うおぉーすっごい綺麗じゃん!」


「疲れたよおぉ…ここで終わり?終わりだよねぇ…?」


千佳さんにおんぶされてた俺が言うのはすこし憚られるけども梨奈さんは少々体力が少なすぎるのではないかなー…


しかし確かに千佳さんのいうとおり素晴らしい景色である、階段を登り、右を見ても左を見ても桜で満開なのだ、風がなびくと上からピンク色の雪がチラチラと舞うようで心を奪われる、綺麗だな〜


「さぁって!あっちの方にレジャーシート敷けるスペースがあるからあそこでご飯にしようか!」


「おぉっ!良いですねぇー!」


「さんせぇーい…」


玲奈さんについていくと開けた場所である程度整えられた芝生が生えている、どうやらここでご飯を食べるようだ…すこし今来た道を何気なく振り返ってみると桜がトンネルのようになっていてこれまた綺麗だな、てか待って、あそこの上の方に駐車場ない?あれ駐車場じゃないの?ねぇ?車ありますよ?梨奈さんが気がついたら今の二倍は文句を垂れそうだからあんまり気がついて欲しくないな…はは


「さて!じゃあ梨奈がせっかく死ぬ気で作ってくれたんだ!美味しくいただこうとしよう!」


「おぉー梨奈お疲れ!」


「ふええぇ…」


玲奈さんと千佳さんの二人の励ましと感謝の言葉は梨奈さんの耳には全く届いていないようだ…


「「いただきます!」」


玲奈さんが重箱の蓋を次々と開けていく、すると中から現れたのは1段目には大量のおにぎりとおいなりさん、2段目にはぎゅうぎゅう詰めの唐揚げ、3段目には卵焼きとスティック状に切られた野菜がマヨネーズとともに添えてあるだけ、あの〜…もう少し女子力あげようよ…男の飯じゃないんだからさぁ…


「ん〜うまい!」


「おぉ、うまいなぁ、うんうん、梨奈は料理上手だなぁやっぱり」


この男子弁当見たいなお弁当でか…っ!?


「お、なんだなんだ、あやも食べたいのかぁ?」


ま!マジで!?くれるの!?食べたい食べたい!

てかもう食べるね!「いただきます!」と心の中で思ったならッ!その時スデに行動は終わっているんだッ!


俺は千佳さんの冗談半分に差し出した唐揚げを問答無用で両手で奪い取り口の中へ入れる!うまい!実にうまいイィッ!1年半ぶりの肉だアァッ!!

揚げたてではないもの肉はしっとりとやわらかく、嚙みしめるたびに肉汁が溢れ出すッ!最高だ!男子弁当バンザイッ!!


「あ、ちょ…」


「は、はやかったねぃ今の…」


「ちょっとぉ千佳ぁ?大丈夫なの?食べさせちゃって…」


「あはは…まぁ…一個くらいなら平気じゃない…?」


味をしめた俺はまるで引き寄せられるようによたよたと重箱へ向かって歩き、唐揚げをつまみ食べ始める、うまいぃ…本当にうまい…味のうっすい離乳食じゃ味わえないうまさだ…


「あ!ちょ!ちょっと!?あやちゃあんっ!?」


「そんなに梨奈の唐揚げが気に入ったのかい!ハッハッハ!まぁもう一歳半なんだ!好きに食べさせてやってみるのもどうだい!」


「ま、まあぁ…良いのかなぁ…?」


**********


みんなであらかた弁当も食べ終え、満足感に浸っていると俺ら元へよたよたとやってくる一人の女の子が歩いていた、誰だろう?


「あれぇ?迷子かなー?」


「近くに親御さんはいるのかねぇ?」


「ちょっとぉー!どこ行っちゃうの!?加代ー?」


加代っていう子なのか…加代ちゃんは俺たちの近くを何気なく素通りして気が向いた先にフラフラと歩いていく、見てて不安だな…


ドッ!


あちゃあ転んじまったか!泣いちゃうかなぁ…?


「……… ………」


加代ちゃんはちょっと苦い顔をしてから立ち上がると無表情で服を払いさらに奥へと歩いていく…強いなこの子…?少し怖いよ…


「つ、強いねあの子…」


「何で今ので泣かないの…?」


すると加代ちゃんは俺たちの前で立ち止まり真ん中の重箱をじっと見つめて指を咥える、おいおい…さっき転んだの払った手だろ…まぁいっか。


「…食べたいの?」


梨奈さんが尋ねると加代ちゃんはこくりと頷く、結構言葉理解し始めている子なのか…な?

頷いた時に黒い髪がさらっと揺れる、俺から見て唇の右斜め下あたりに小さなホクロがあることに今気がついた、成長したら可愛い子になりそうだなぁー。


「ほいどーぞ!卵焼き!」


千佳さんが加代ちゃんの口の中に卵焼きを押し込む、ちょっと無理やり入れてる気はするけど…


「………!」


卵焼きを口にすると今まで無表情だった加代ちゃんの顔がぱアァッ!っと明るくなる、この子美味しいもの食べるとこんなにも可愛らしく笑うんだなぁ、なんて思った矢先加代ちゃんの親御さんらしき人が走ってこちらへやってきて深く謝罪する。


「ご!ごめんなさいうちの娘が!」


「いえいえ〜いいんですよ〜可愛い子じゃないですかー」


「…美味しかったの?まぁありがとういって戻ろ?ねー?」


「…ぁ…が……と…」


やべえ全く聞こえねえぇっ!


「おぉ、良いんだよー食べたかったらまた来ても良いさー卵焼き以外にも唐揚げもあるからね!」


「あはは、そんな…失礼いたしましたぁ」


そう言って親御さんと加代ちゃんは桜のトンネルの中を俺たちに背を向けて手をつないで去っていった…

またこの子とはどこかで会えるかな…なんて考えながら俺はまた一口唐揚げを口にした…

大変お待たせいたしました!

いつもより少しだけボリューミーな11話でした、


ようやく1500pv突破といったところでしょうか、普段からお読みくださっている方、今回何気なく読んでくださった方、ありがとうございます。

しかしこれでもまだたったの1500、さらなる高みを目指せるよう精進いたします…


と言いたいのですがこれからしばらくテスト勉強に集中したいと思いますので活動の報告でも連絡はさせてたいただきますが救済させていただきます、だいたいいつまでかは向こうでお知らせさせていただきます、

誠に勝手ながらもご理解宜しくお願い致します


それでは今回はここまで、ではでは

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