プロローグ 〜25歳〜
寒い、なんでこんなに寒いんだろうか。
これはあれか?冬とはいえ会場は熱気がやばいしとたかをくくって薄着で出かけてきたのが間違いだったのだろうか…
それともこの両手に抱える荷物のせいで財布がすっからかんになってしまい帰りの運賃すらも無く夜道を歩いているからか…?
俺はフラフラとした足取りでここからあと12kmほどの自宅に向けて歩いていた…疲れたよ…
あと15分ほどで除夜の鐘がなり始める…あぁ…運賃があれば今頃俺は家でお袋の作った少し伸びた蕎麦を啜って紅白を見ていただろうに…くっそ…不幸だ…
いやまぁ俺が悪いんですけどもね、後先考えずに買いあさりまくった俺がさ…でもこのやるせなさはどこかに八つ当たりでもしてやらなきゃ気が済まない。
「はぁ…バッカみてぇ…」
俺は世間一般で言うといわゆるオタクの部類に入ると思う。日曜朝には欠かさずあの美少女が変身して悪と戦うアニメだとか見てるくらいだし、まぁなにとは言わないけどもね。
ここで勘違いされたら困るから先に言っとくが別に友達がいないわけじゃないぞ、会社にだってきちんと友人はいる、今確か帰省してるんじゃなかったかな?
まぁ確かに25歳にもなって親の家でダラダラとして仕事に行って深夜に帰ってきてアニメ見てるのは確かによろしくないがな、まぁそれはそれ、俺は一応親に生活費くらいは払っていたりするものだし目をつぶってほしいかな。
*
除夜の鐘もどこかの寺からか鳴り響いてくる、1から数えてみたがそろそろ108回くらいだと思う。
時計代わりにスマホで時間をみるとなるほど、既に後30秒で年が開けようとしていた…
結局家に帰れなかったなぁと呟きながら俺は今来た道を少しだけ振り返ってみる。こんな夜遅くに少女が一人、スマホをいじりながら俺の後ろを歩いていた、JKか…ええな…
「こんな時間に…?あの子も冬コミ来てたのかな…?」
そんなわけはないだろ、とどこか期待してた自分に胸の中でツッコミを入れていると彼女の後ろからトラックが走ってきているのが見える、おいおい、あれ止まる気ないだろ…っ!?
いち早く危険に察知した俺はまず大きな声で彼女に危険を知らせる。しかしなにも反応せずそのままうつむいてスマホを触りながら歩いている…イヤホンしてるのか!
トラックの運転手は首をもたげながら運転している、まさかあの運転手居眠り運転かよ!
運転手は倒れこむようにハンドルに突っ伏してまだアクセルを踏み続ける、倒れこんだ影響かクラクションが鳴らされる、ようやく彼女は後ろから迫りくる恐怖に気がついたのか振り向く、しかし一瞬体が硬直して動きを止める。
「___やっ!?」
「くそっ!」
俺は考えるよりも先に体が動いていた。荷物を投げ捨て大きく一歩走り出す!周りの動きがなぜか遅く動いて見える。
二歩目を踏む!この時やっと彼女は動けるようになるが既に遅い、トラックは後人3人分程度のかなり近い位置まで迫ってきていた。
三歩目!頭の中を走馬灯のように今まであった思い出が走り抜ける。昔中1のころ漫画のキャラクターにはまってマントを付け格好を真似ていた時期を思い出す、高1のころ、隣の席にいた可愛らしい女の子が自分に惚れてるんじゃないかという男子にありがちな勘違いに陥り告白、玉砕した思い出…なんだよ…ろくな思い出ないじゃねえか…っハハ…
あぁ、死ぬまでに一度でいいから女の子と付き合いたかったなぁ…
その瞬間俺は彼女を突き飛ばし、トラックと正面衝突し、視界が暗転する。そのまま激しい痛みが全身を襲いそのまま地面に何回もバウンドして着地したと思ったらそのままt単位はあるだろう重量のトラックが俺の体にのしかかる。そこで俺の意識は途絶えた___
2016年1月1日、00時00分…俺が死亡した時刻だった…
ありきたりな設定かと思いますがまぁ気分で書いていこうと思います、思いつきで行き当たりばったりに…
ネタが既出かもしれませんが温かい目でお見守りくださいませ