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ドラゴンでなら全裸は有りでしょう。 前篇

竜神記の続編です。


 「いい天気だ」


 オレは巨大な頭を持ち上げ空を見上げた。

 雲一つない青空が広がって居る。


 竜神山と呼ばれる名峰。

 その山頂にある巨大な巣。


 これが龍神である俺のマイホームだ。

 ワンルームだが見晴らしは最高、もちろん家賃はタダ。

 しかも可愛い女神リースのげぼく付き♪。


 しかし、やる事が無い……。

 体を丸め、オレはまた眠りについた。



 人の気配…




イヤな気配がした。

 オレ様の髭にビンビン来ている。


 麓の祠に誰かお参りに来たようだ。


 だりぃ~ また仕事かよ……。




 重たいまぶたを開けそちらの方を見ると幼女が祠の前でお参りをしている。

 その姿は薄汚れて――しかも供物はさらし飴1欠片だと!?


 しかし彼女の様子は必死。

  表情は鬼気迫る物があった。


 おいおい、神様である俺にそんな飴くもつで願いを叶えて貰おうなんざ虫が良すぎるんじゃねぇか?

 いくら幼女の頼みと言っても却下、却下~!!


 だりぃ~。

 寝直そう。

 好き勝手できるのも神の特権だからな。


 体を丸め、尻尾で頭を押さえた俺は再び瞼を閉じようとした。



 閃光――

 轟音――


 「な 何事じゃぁ?」


 爆音と共に後頭部に鈍い電撃が走る。

 100万ボルト以上の雷撃が俺の頭上に降り注いだ、神竜の体じゃ蚊ほども効かないが……。

 巣の周りはぶすぶす焦げ臭い臭いを放っていた。


 尻尾を上げ、振り返ると其処には阿修羅が居た。

 いや、鬼子母神か?


 彼女は両手を上に伸ばしていた…。

 魔法の余韻か、彼女の黒髪はわずかに放電。

 ――雷撃の極大魔法サンダーストームか……。


 どうやら女神リースが自分の極大魔法を食らわせやがったようだ。

 その目には涙が浮かんでいる。


 彼女は女神とも思えない形相で俺を睨み付けた。

 ラフな格好からは想像もできないような冷たい視線が突き刺さる。

 まるで、割れたガラスの破片を突きつけられるようだ。

 ――殺気すら感じる。



 俺が何をしたと言うんだ、おい…。

 まるっきり俺が泣かしたようじゃ無いか。


 「あの子が供物に差し出した飴――その供物の価値。

 貴方には解りますか?」


 リースは感情を込めずに淡々と語った。

 今日の女神りーすちゃん怖い……。


 「ただの汚いさらし飴1こだろう? そんな物何処にでも転がっているじゃねえか。 それ如きの為に働くなんざ…」


 俺が喋るのを遮るように、女神は話し始めた。


 「あの娘の村、見てきて下さい。 人間の姿で。 そうすれば、私の言って居る言葉の意味が分かる筈です……」


 だりぃのに何が楽しくてカスみたいな村見ないと行けないんだよ…。

 寝よう…。


 しっぽを丸めて寝ようとした瞬間。


 閃光――

 爆炎――


 俺の頭上で灼熱の光球が炸裂し、衝撃波が円を描きながら広がって行く。

 ――すべての物を破壊しながら。

 

 キノコ雲が頭上に広がる。

 女神の二度目の魔法が俺を襲った。

 

 今度は俺様でも多少痛い。


 今度は核撃ノヴァかよ……。

 こいつは巣を焼き払うつもりか?

 全く、女神リースは破壊神に転職した方がベストなんじゃねぇ?


 ――彼女の表情は更に険しくなっていた。

 

 やばい、今度は超核撃スーパーノヴァでも打ちそうな気配だ。

 ――俺でも流石にアレは痛いからなぁ……。

 


「聞こえませんでしたか? ――私は見て来て下さいと言いましたよね」

「判った、判った…」


 この女神は俺様を寝させるつもりはないらしい。

 今日の女神りーすちゃんご機嫌斜めかよ……。


 仕方がない行ってくるか――人間の姿で。


 「ちょっくら、祠まで行ってくら」

 「しっかり見て来てくださいね」


 リースは笑顔でオレを送りだして行った。


 ドラゴンの姿で山を降りる。

 ――ばっさばっさと羽ばたいて。


”””



 社の前に男が居る。

その姿は全裸である、褌一つ付けていない。


 ――もちろんあそこも、モロだしで。



 オレはありのままの姿で、必死に祈りを捧げる幼女の前に仁王立ちしていた。

 脳内では、例の曲がエンドレスで流れている。

 

 おれは上機嫌で幼女に話しかけた。



 「おじょうちゃん、君の村へ案内してくれないかい?」

 「ん?」


 幼女は俺の姿を見るなり、怯えと怒気が入り交じったしかめっつらに変わり、凄まじい声を張り上げた。


 日頃から叫び声の練習をしてるような、マンドレイクも真っ青な声量である。


 「いやぁぁぁ~変態が居るぅ!! きゃぁ~~犯される!!! ママァ~!!!!」


 幼女は祠から凄まじい早さで逃げ出して行った。




 取り残された俺様。

 タダ呆然と彼女の後ろ姿を見ていた。

 


 「少女の前に全裸の男が現れたら、普通逃げると思いますが……。 露出狂ですかあなたは…。」

 

 頭上に声が響いた。

 女神リースの声だ。

 彼女の声はうわずっている。


 「普段からオレは服を着ないからな」


 着れないと言う方が正しいだろう。

 竜の巨体に入る服が何処にあるというのだ。

 

 「そりゃ 竜は服を着ませんからね。 でも、人間の時は羞恥心くらいは持ってくださいよ」


 オレはリースを探した。

 頭を上げても彼女の姿が見えない、不可視インビジ状態で隠れてるのか……。

 ――気配だけはビンビン感じる。


  

 「オレの服なんて何処に有るんだ?」

 「私の服使います?」

 


 おいおい。 オレに女神の服着れるかよ、変態じゃねぇ。

 女装したオレの姿が頭に浮かんだ。


 全裸――女装――全裸――女装……。 

 どちらがマシかシナプスに電撃が走る――結論は出た。


 「要らぬ! 隠さぬ!! 後悔せぬ!!!」


 女装するなら、裸の方がマシだ。


 

 

 しかし、服を探すのも面倒だ。

 さて、どうするかな?



 

 この場合、俺様のとる行動は一つ。

 

 このまま町に入ろう。

 



 竜と同じ様に胸を張り町まで歩く。


 隠す必要はねぇ、隠すことが必要なのはやましいことをしている証拠だ。

 オレには疚しいことは何もない。


 もう女神は何も言わない。

 ため息のみが聞こえている。


””

 


 何処も隠すことも無く広野を行く。

 威風堂々と地面を踏め締める。

 ――王者の風格を漂わせ。

 

 マグナム揺らしてオレは歩く。


 

 荒野だ。

 所々に枯れた木がある位だ、後は何もない。

 オレはただひたすら遠くに見える町へ歩を進める。



 風が体を吹き抜ける――股間の間も。

 のしのしと広野を歩いた。

 それにしても町まで遠いな…。


 


”””


 町の入り口に付いた。

 グルリと木の柵が町を取り囲み、中には粗末な家が建ち並んでいる。

 

 ここが目的の村か……。

 俺様は村の様子を確かめるように見渡した。


 門があった。


 粗末な作りの門だ。

 柵の一部が取り払われているだけ。

 門と言うより通路。


 

 門には人影がある。

門番らしいが齢80越えの老婆だ。

 服もみすぼらしく、武器もさびた槍が側にあるだけだ。


 これじゃ、門番の役には立つまい。

 槍がもてるかどうかすら怪しいものだ。


 

 オレはババアの前に歩を進めると、老婆は俺の姿に気が付いた。


 オレを見た彼女は入れ歯を噴出し、腰を抜かさんばかりに驚いている。

 ヘタり込んだババアは立つことも出来ないようだ。

 仕方有るまい、神の姿なんて滅多にみれないだろうからな。



 俺は腕組みして、ふんぞり返り大笑いをした。

 勿論、疾しい事は何もない、隠す必要は何も有る訳はない。


 「ぐははは! 儂が竜神だ!! 村を見に来てやったぞ、ありがたく思え!!!」


 老婆はしわしわの閉じそうな目を精一杯に見開いて、何かを言いたそうにしている。


 「ふがふがふが……」


 「ん~ 貧乏な村にようこそ? いや――『龍神様、御尊影を拝見賜り恐悦至極に存じます?』だろうな」


 入れ歯が無いせいか何を言っているのかわからねぇ。

 追い返されないって事は歓迎なんだろうな。



 オレはそのまま大股で胸を張り村に歩いていった。

 ババアは腰を抜かしたまま。

 お大事な~。




 「おい リース居るんだろ?」

 「……」


 気配はするが返事は無い。

 どうやら呆れかえって居るようで、彼女のため息だけが虚空に聞こえた。


 「はぁ……あなた様は……」

 「このまま、貧乏な村を見れば良いんだよな?」

 「ええ」


 「美人が居るか見ればよいのか?」

 「暮らしを見て下さい」

 

 暮らしを見る。

 つまり、家を覗けば良いわけだ。

 

 ――見るのは風呂にしよう。

 勿論女風呂。



 小さな子供の歓声が響く。

 いや。

 悲鳴かもしれない。


 「きゃー 変態!!」

 「頭のおかしい変質者が居る!!」

 「フレア様に直ぐ知らせて!!」


 蜘蛛の子を散らすように餓鬼が逃げた。


 ――おい……。

 いくら何でも無礼であろうが。

 神に対して変質者だと?


 まあ 良い。

 餓鬼の戯言など聞き流してやるわ。



 おれは辺りをを見回した。

 板張りのバラックが立ち並んでいる。

 ――風呂はどこだ?

 女が入浴中の風呂はどこじゃ?



 風呂を探して町を歩く。

 ただ歩く。

 

 ――風呂の『ふ』の時も無い。



 「おい、リースこの村に風呂は無いのか?」

 「うろうろしていると思ったら、そんな物をさがして居たのですね」

 「悪いか?」

 「――いえ、何ももうしあげることはありません。 言って置きますが、この村に風呂がある家は有りませんよ」



 どういうことだ? 

 オレの楽しみにしている女風呂が無い……――だと!?




 「どういう事だ?」

 「貧しくて風呂に入る余裕すら無いんですよ」


 どんだけ貧しいんだよ おい。


 風呂が無いなら次は飯だ。

 色欲がダメなら次は食欲くらいは満たせるだろ?



 「リース」

 「何でしょう?」

 「どこか店はないか?」

 「目の前に有るじゃないですか」



 オレに目の前には板張りのスラムがある。

 中を覗くと…。 

 店の様子――北朝〇かジバブ〇のスーパーの方が品ぞろえがマシの様だ。


 老人が後生大事に店番をしている。


 どんだけ~。

 陳列棚だけが店にある――商品はほぼ無い。


 棚を売っているのか商品を売っているのかわかりゃしねぇ。


 「すさまじいな」

 「わかったでしょう?」



 「くたばれ露出狂!! 男手が居ないときに限って来やがって」


 背後で叫び声が響く。

 次の瞬間、後頭部に激痛が走った


 ――激痛。

 ――目から閃光。


 ――さらに主砲並びに装填装置に被弾。



 後頭部並びにマグナムを鈍器でおもいっきり殴打されたようだ。

 

 うつ伏せに倒れ込む俺。

 ……急速に意識は薄れて行った。


 薄れゆく意識の中で聞いていた。


 「ユナ」

 「何? フレア様」

 「この男が祠に居た変質者?」

 「私がお参りしていたら、この男が全裸で立っていたの――粗末な大砲ふらさげて」

 「ふ~ん、それは速射砲ラピッドファイヤーかもね。 自信がないから幼女とかにワザと見せつけるのよ」



 薄れゆく意識の中で俺は思った。


 俺さまのナニは粗末じゃねぇ。

 しかも、速射砲ラピッドファイヤーではない……。


 そうして俺は意識を失った。 

中編へ続きます。


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