真実はいつも一つ
だけど
「『大丈夫!私を信じてください!悪いようにはしませんので!』」
そう彼女は言っていた。
初めてあった人間を信じろなんて無理な話だ
…だけど、だけど 何故かあの少女の笑顔は信じたい、信じなければいけない気がした
「(もう少しだけ…あの子と自分を信じてみるか)」
少しだけ様子を見よう
「(様子を見てあの少女が私のことを喋ったら、その時は…)」
思い返せば二人細かな打ち合わせもせず
あの少女はひとりで乗り込んでいったのだ
「(Going my wayすぎるだろ…)」
そう思いながら再び無線の声に意識を集中させる
「『ねぇ、ハンズ!!わたし結構強くなったんだよ!』」
「『おぉ、そうか!なら少しお手合わせ願えるかな?』」
どうやら手合わせを始めるようだ
無線の向こうがざわついてきた
自分達のボスがいきなりあらわれた少女が手合わせを始めると聞き付けて沢山の部下達が集まってきたようだ
「『よし、準備体操完了!ハンズ!どこからでもかかってきなぁ~』」
「『お言葉に甘えてこちらからいかせてもらうよ!』」
無線から拳が風を切る音や
骨がぶつかる音、ときどき小さな呻き声が聞こえる時間がたつにつれギャラリーの歓声が大きくなっていく。
「『スミス!!中々やるな!』」
「『ハンズはしばらく会わない間に体が鈍ったんじゃない??』」
「『いってくれるじゃないか!』」
会話だけ聞くと本当に仲のよい友達のようだ
「『そうだ、スミス賭けをしよう』」
「『賭け?』」
「『そう、賭けだ、もしこの手合わせに私が勝ったら俺の女になれ!』」
一瞬、無線の向こうが静かになった
ブハッ
「(ぷっふっはははは,いかん、おかしい、なに?今どき俺の女になれっ!なんていうやつがいんの??だめだおかしすぎる!!)」
ハンズの気障な台詞に鳥肌をたてながらも笑いが止まらない
くらげがどやがおで『俺の女になれっ』
といってるところを想像して更に笑いがこみあげる
「(ヒィッ苦しっ、い、いかん、いかん集中せね ば…)」
無理矢理笑いを圧し殺して
今一度無線に耳を傾ける
「『ハンズ…それはお得意のジョーク?』」
「『いいや、私は本気だよ』」
ハンズの声がさっきより近くそれこそ
耳元で話されてるかのように感じるくらいに鮮明に…
あの少女とハンズがそれだけ
近くにいるということだろう
「(なに??そういう雰囲気?回りに部下たち沢山いるのに??え?まじで?)」
「『ハンズ…あのね…』」
少女が小さな声でなにかを言おうとする
「(まさか、私のことを…)」
バラすつもりか…と思わず拳を握りしめる
「『何だい、スミス?』」
「『ハンズ…ごめん』」 ゴキッ
「え?」
いま、明らかに骨がおれる音がした
ハンズが好きな少女の骨を折るような輩には思えない
残る選択肢は一つ
『「このくそアマぁぁぁぁ!!よくもボスを!!!!」』
『「おっととと、ちょあぶな、あ、とろさーーん!!!いつくるの!!!!?いまでしょおおおうふぉぉぉぉぉぉいやっさぁぁぁぁぁぁ』
ドゴっバキッ
『古いわっ!!!!少し待っとけすぐいくから!!』
アイツは馬鹿か!!!!!
自分達のボスを殺られたので
げきおこMaxな野郎共の怒声と
「『ほあちゃー、せいやさっ!!おぉう!あ、それもぉらいっ!!』」
あの少女の掛け声を
右から左にながしながら
全力疾走で少女のもとへむかう
あの少女は私を騙したんじゃない
「(アイツはただの馬鹿だったんだ)」
私が本当の答えを見つけた瞬間だった
「(あぁ、馬鹿馬鹿しい)」
本当、さっきまで悩んでいた自分が馬鹿馬鹿しくなる
でも、自然と口角があがっていくのがわかる
すると 、どうやら誰かが警備システムを作動させたらしく入り口全部にシャッターがおりはじめた
「絶対に逃がさないってわけか!まぁ、こっちにとっては好都合ってね!」
おそらくハンズや少女がいる中央部分に人が一番集まっているであろう。そこを、あえて避けながら
走り回り、空いている部屋を見つければ
そこに手榴弾をなげ、敵が向かってきたら
なれた手つきでナイフを扱い少しずつだが確実に敵の数を減らしていく。
回りにいる敵が片付いたところで
少女が一人で戦っている中央部分を目指して走る
「無事でいろよ!!!」
ただ走る走る
一人で戦う少女のもとへ
「いってえぇえ!!!!だれだよこんなところにバナナの皮おいたの!!!べったべただな!!!!」




