アニマルセラピーをうけにコンビニへ
で、今
任務遂行時間10分前
木の影にしゃがみこんで身を隠しながら
バディの到着を待っていた。
今回の任務はとあるマフィアの全滅だ。
組織されて間もないので大きくはないが
最近やたらと麻薬やら銃器やらの
密売に積極的になってきているそうだ。
若い芽は早いうちにつぶせってことらしい。
そんなこんなを考えていると
任務遂行時間まであと5分になっていた
バディはまだこな…
「?!!!!!!」
とても驚愕した。
心臓の音がどくんどくん煩い。
それもいつの間にやら自分のとなりに熊の帽子をかぶり水色のパーカーに白の短パンといった
「ちょっくらコンビニでもいってくるわ」
という格好の少女が自分と同じ目線でしゃがみこんでいたからだ。
向こうもこちらの視線に気づいたようで
「あ、おはようございます!!!!お初にお目にかかります!!今日は遅れてしまってすみませんでした…」
と申し訳なさそうに眉を下げながら謝る。
どうやら、この少女が私のバディらしい、
それにしてもこの格好はどうなんだ…
「えへへへへ、昨晩はお話をよく聞いていたとろさんと任務が出来るなんて楽しみすぎてなかなか寝付けなくて~」
寝坊しちゃったんですよ~
と次の日遠足にいくので眠れない小学生
みたいなことを へらへらしながら言う少女が…
人の命を奪う…?
思わずララさんに電話しようかとも思った。
寄越す人間を間違えたんじゃないか本気で疑った。
「あれれれれ?とろさん???どうしたんですかそんな羽の生えたケサランパサランでも見たような顔して??」
不思議そうにこちらを見つめるくりくりとした目は
一見小動物のようだ…がなぜか暑苦しい
例えるなら獲物を見つけた肉食獣のようにらんらんと輝いている。そうまさしく
「っあぁ、ごめん。気にしないで、初めましてだよね?今日はよろしく」
「はい!とろさんのお話はかねがね聞いています!あ!とろさんに紹介しておきますね!」
そうまさしく…熊のような…
熊のよう、な???
「ってか熊っ!!!!!!!!?!」
「はい!私の相棒!白熊のくまさんです!!」
「がぅー」
いつのまにかそこには大の大人が二人は余裕で
乗れるくらいの白熊がいた
立ち上がったら全長2mはあると思われる
「え??くま?本当に?ものほん??」
あまりにも予想外だったので
目の前の光景を信じれずについ聞いてしまう
「はい!!ものほんもものほん!正真正銘の白熊です!さわってみてください!もうっふもうっふですよ!」
少女はそう答える。それはもう満面の笑みで…
えぇぇぇぇぇぇ
とりあえず少女がいった通りに、さわり心地の良さそうな真っ白な毛並みにおそるおそる手をのばす
「うぉ…」
とてもふぅっわふぅっわだ
例えるなら羽毛布団、いや羽毛布団じゃなくて熊毛布団だけど…
白熊も嫌がる様子はなく
とても人懐っこい性格なのか目を細めてご満悦のようだ
「かわいい…」
普段動物と、ましてやこんなに大人しい
熊とふれあう機会なんてないから
…正直とても癒される
「えへへへへへ」
少女も少女でまるで自分が誉められたかのように頬をほんのり赤く染めてわらっている。
思わず白熊を撫でている逆の手で
少女の頭を撫でる
「ふぉうっ?!!」
少女は間抜けな声を出して驚いてはいたが
そんなことにはお構いなしに撫で続けていると
さっきよりも更に頬を赤く染めて照れながらも
嬉しそうにはにかんでいた
(これが、アニマルセラピーってやつか…)
「って和んでる場合じゃない!!!!!!」
「うぇっへ??!!!」
そうだ、いかんいかん
今まで私を唯一癒してくれる存在の大天使・神那(超かわいい)としばらくあってないせいで
仕事スイッチが切れかけていた
今日はアニマルセラピーをうけにきたのではない
あくまでもマフィアの全滅だ
きれかかっていたスイッチと気合いを
入れ直し時計を確認する
「任務開始まであと2分、内容はわかってるよね」
先程より声を低めにだして
真剣な雰囲気をつくりだす
「はい!もちろん!ばっちしです!あ、そうだ」
いい返事をしたあとに少女は
何かを思い出したかのように水色のパーカーの
(少女の服装について深く考えないことにした)
ポケットから何かを取り出そうともぞもぞしている
「なに?それ?」
大豆のような大きさのものを少女は差し出してきた
変なところで区切ってしまった




