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――AM 03:00――

--AM03:00--


そう、あれは確か……

あの日……あの晩も……

僕はJを拒めずにいた。

それは一見、いつもと何一つ違わぬ夜のように見えた。


窓の外が先頃から、うっすらと白み出しかかっている。

しかし、今日はどうしたことが、珍しくJが寝入っているようだ。

静まり返った部屋には、Jの寝息が、

すーすーと規則的に音を立てて 時を静かに刻んでいる。

こんなこと、今までに一度だってなかった。


今夜こそ……。

僕はJに気付かれないように、そっと布団からすり抜け、

足音を立てないように、部屋のドアまで近づいた。

――今夜こそ、何もかも終わりしよう。

このドアの向こうに、僕が望む自由がある。

そう思ったら、

僕は決意が鈍らぬうちに思いきろうと、ドアノブに手をかけた。

しかし、なぜだろう。

僕にはどうしてもドアノブを回すことができない。

それどころか僕の手は、

僕の意思とは関係のないところで、

急にガタガタと音を立てて

震え出した。


僕は気づいたのだ。

てっきり奥で深く寝入っているとばかり思っていたJが、

実は起きていて、僕の一挙手一同即を

ただ黙って静かに観察しているのだということを。


それから何が起こったのか、あまりはっきりとは覚えていない。


気付くと、Jが僕の隣にきちんと行儀よく正座して座っている。

Jに特別怒っている様子もなく、

かといって、何を話しかけるでもなく……。

長い長い間、Jは只、僕の顔をぼんやりと眺めていた。


それからどれくらいの時間が経ったのだろう。


Jが突然、僕に口づけた。


僕は、後で、この口づけの意味を、何度も問うてみた。

良心の呵責か。

それとも、ただの気まぐれにしかすぎないのか。

Jの本意は、僕にもわからない。



アパート脇の道が朝のせわしない喧騒にざわめきだす頃、

Jは、僕を一人残して部屋を出ていった。


さっきJが、泣いていたように見えたのは、僕だけの錯覚だろうか?


でも、今こうして背中を丸めてドアを出ていくJの後ろ姿は、

やはり 僕にはいつものJと少しも変わらないように思えた。



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