表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/4

ハーレムに無口キャラは必須だと思うのは私だけ?


 突然であるが、純は目の前で起きている事に「魔法使いか……」とツッコミを入れていたが、すぐに純も同じかと思い至ればもう何も言えない。

 地面にはクレーターが幾つも出来上がり、その原因の力で空を飛び、さらに空中で力を使ってクレーターを作るという辺りを悲惨にする迷惑極まりない事を無表情でする彼女に加減と言うものを教えてあげて欲しい。



 彼女、笹原ささはら 透未とおみはいつも無表情で無愛想、学校とかでは必ずと言っても言い程浮く人物である。

 透未の外見は、黒い短髪で眼鏡をかけ、身長は平均より少し低いぐらいで特にこれと言って特徴がない。もしかしたら暇があれば本を読む所が特徴だろうか?

 彼女の超能力は、光を操る事。さっきからクレーターを作っていた、光を凝縮した熱で地面を当てて溶かしていたレーザーかビームの様な専門的知識がない自分にはわからないので、ここはレーザービームだと言っておく。

 その直径三メートル程あるレーザービームは、一人の男性に向けられていた。人間に光の速さの攻撃を避けられるはずもなく、男性は直で当たり、真っ黒焦げで燃死体となった……はずなのに、男性がスクッと立ち上がると、真っ黒焦げとなっていた体は元通り傷一つない状態に戻っていた。


「能力! ギャグ補正!」


 男性は眼をカッと見開いて、毎回殺される度に言う台詞を飽きもせずに叫び続けていた。

 男性、草野くさの くさびは男性にしては少し長い黒い髪をし、平均よりふくよかな体型をしていた。

 楔の超能力は、自称 "ギャグ補正" 純が知っている漫画から記載するなら "大嘘付き" (オールフィクション)である。他名では "手のひら翻し" というのもある。説明すると、あらゆる事を無かった事に出来る……というチート能力。どうしてこうチートが多いのかと、そういう犯罪者が出て来たらどうしたらいいのかと純は悩んだが、どうやら脳を破壊すれば解決するらしい。

 さて、説明を終えたので先に進むが、純がどうして二人の戦闘……というか一方的な殺戮を見ているのかというと、この後に純の訓練があるからだ。


「……帰りたい」


 この殺戮を見た後で、自分の番が来ると思うと寒気が来るのは至極当然な反応であると思う。




「と、じゃあそろそろ始めるけどいいかい? 透未ちゃんのを見た後だから気が引けるだろうけど、あれはほんの一握りだけだから気にしない様にね。それで、今日は僕が君の訓練相手になる草野楔だよ」

 FSの訓練は、経験を積ませる事を第一とし、毎回相手を変える。訓練相手は、新参者の純でも選ばれるので、レベル差とかは一切考えないらしい。

 楔は、ニコニコと先程の無表情無愛想な透未とは違い、それなりに親しみ易さがあり、純は二つ返事で返した。


「それじゃあ行くよ」


 先に動いたのは楔の方で、三ヶ所に指と指で挟んで持っていたのは手術等に使うメスである。それを何度も練習したのであろう手首のスナップで純に三つ共飛ばした。

 純はそれをしゃがむ事で避け、油断を誘うべく楔へと人間の平均1.5程度の走りで近寄り、楔が手品の様に独りでに袖から出て来た三本のメスを先と同じ様に指と指の間に挟み、また純へと投げるが、今度は斜め下に飛ばされ、しゃがんでも避けられない事は予測された。

 今度は上にジャンプする事で避けたが、すぐにもう片方の手にあるメス(こちらは一本、多分逆利きだからであると予想された)を飛ばして来た。純が直線上に掌を持って行き、衝突して貫くはずのメスを弾いた。(この時にはもう部分強化の分野に到達していたのには気づいている)――パキーンッ――と割れた様な音が耳に響いたが、純は構う事なく楔に近づき充分に手加減して、拳をその腹にたたき付けた。

 何かのアニメの様に弧を描く様に飛んでいく楔を人事の様に見送っていた純は一人呟いた。


「実際にこの光景が見られるとは」

「ギャグ補正!」


 ダメージを無かった事にした楔は、そう叫んでからまた利き腕の三ヶ所の指と指の間にメスを挟み、逆利きの方には一本を握り締め、純に向かって走り出した。純はそれを反応させない為に充分に引き寄せた後で、人間平均の7倍の速さ(約45〜50h/?)で、正面から後ろに回り込み、声をかけた。


「俺の勝ちだね。草野さん」

「やれやれ……。最近の若者は先輩に対する心の気配りがなさすぎるよ。……一つ聞きたいんだけど、君は敵が相手でも相手の意識を刈り取らずに同じ様に負けを認めさせ様とするのかい?」

「まぁ、そうだが?」

「じゃあ、先輩としてアドバイスだ。これからは相手の意識を刈り取る事を覚えた方がいい。次に待ってるのは死以外ない事を知っている敵に躊躇はないよ」


 楔はそう言って、後ろに居る純の腹を見ずに逆利きに逆手で持っていたメスを深々と刺した。もう終わったと安心して能力を解いた純は苦痛に顔を歪ませている間にも楔は待たず、その顔に後ろ蹴りを叩き込みんだ。


「今日の訓練はこれで終わり、じゃあ気をつけて帰ってね」


 楔はその場に座り、次に来る相手を待つ事にしていた。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ