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4 腐女子、新たなカップルを見出す

魔王軍からの襲撃を退け、四人は峠を越えてカールブという町に着きます。

ゴブリンの襲撃からは大した襲撃もなく、途中休みながら峠を越えた。

中央山脈の北側は高原地帯になっており、カールブという町がある。

この町はカールブ地方の中心地で、古代から大陸の南北を結ぶ交易路の重要な場所であり、商業が盛んだったらしい。

今ではアドニス帝国の関所があり、多くの兵士が駐留していた。

旅のルートはあらかじめ決められていて、今のところは予定通りの行程で進んでいる。2日間この町で休んで物資を補給する予定だ。


着いたその日は遅かったので宿で休むことにし、翌朝4人でカールブ公営市場を歩く。

賑わう市場でユリウスとジェイドは保存のきく食料を手際よく選んで購入する。

この二人はずいぶんと旅慣れしていて、王子という身分なのにお忍びで帝国、さらに諸外国まで視察の旅をしたことがあるらしい。


しばらくしてユリウス、ジェイドと別れ、私とリウは自分の必要なものを調達することになった。

(ユリウスとジェイドの動向が気になるので気配を消して探りに行こうか…。)

ユリウス達のところへ向かおうか考えている時に隣にいるリウを見ると、

露店にある土産物のガラスの置物を光に透かして眺めている。

興味深そうにじっと見つめる様は子供のようにあどけなかった。


「リウ先生~~!!」

その時、何かが市場の先から砂煙をあげてこちらに突進してくる。

私は思わず毒針を構えたが、リウの様子見ると敵ではなさそうだ。

その青年は私たちの前まで全速力で走ってくると、リウを強く抱きしめた。

リウの体は宙に浮いてくるくると一回転する。

「先生!ひどいじゃないですか!何も言わずに僕を置いていくなんて!!」

「ケイン、ごめんよ。皇帝に魔王退治の為に招集されてしまってね。」

リウは相変わらず表情を変えずに青年と話す。

青年は18歳くらいだろうか。

金髪にこげ茶の瞳を持つその青年はリウより30センチ以上背が高いので、リウはずっと足をブラブラさせている。

(なになに!この人、リウとどういう関係??)

「えっと、あなたはどちら様ですか?」

好奇心を抑えきれずに私は青年に問う。

「あ、すみませんっっ。僕は先生の弟子でケインと言います。幼いころ先生に拾われて諸国を旅していました。それが1か月前に先生が急に居なくなってしまって探していたんですよ。」

ケインはそう言ってリウを見つめていた。

私はリウの方をチラリと見るが、相変わらず何を考えているか読めない。


それから私たちは三人で買い物を終え、ユリウス達と合流すべく宿屋に戻った。

「ユリウス様!!リウ先生が魔王討伐の旅に行くなら僕も連れて行ってください!!先生のそばにいたいんです!!よろしくお願いします!!」

ケインはユリウスの部屋に入るなり土下座して頼み始めた。

ユリウスは怪訝な顔をしていたが、リウとケインから説明を聞くと不機嫌そうな顔で

「好きにしろ。役に立たなければ置いていくぞ。」

と一言言った。

聞けばケインは植物学者見習いで、リウと旅している時は魔物を倒したり、薬草を採取したりして生計を立てていたらしい。

リウに習っているので多少の魔術は使えるがあまり得意ではなく、武術のほうが得意らしい。

体は大きいが争いごとを好まない穏やかな性格のようだ。


皆で宿屋の一階にある食堂で夕食を取り、その後、各々の部屋に戻った。

この宿屋には空きがあったので、ユリウスとジェイド、リウとケイン、そして私で部屋を分けた。

部屋に戻り一息つきたいところだがそうもいかない。

なんせユリウスとジェイドに加えてもうひと組の様子を探らなければいけないのだから♪

(フフ、忙しくなるわよ~!)

意気揚々と隠密スキルを発動する。

(まずはリウ達の部屋に行こうかな。)

二人の部屋の扉を開けてしまうと気配を消していてもさすがに気付かれるだろう。

私は自分の部屋の窓を開けて外を見る。

いつの間にかあたりは暗くなっており、外に人影は見当たらない。居たとしてもこの漆黒のローブでかなり見えづらくなっているだろう。

私は音を立てず窓から出て、壁を伝い隣の部屋の窓枠を掴む。

窓にはバルコニーなどの足場がないので壁にぴったりと密着し、()()のスキルを発動させる。

これは女神様からもらった()()スキルから派生したもので、密偵するためには必須のスキルだ。

そして気づかれないように窓から中を観察する。二人はベッドのそばにいるようだ。


「ケイン、大学はどうしたんだ?君はそこで植物学を勉強しているはずだろう。」

ケインはうなだれてその大きな体をちぢこまらせている。

しばらく沈黙したが、ケインが口を開く。

「先生が置き手紙だけ残して居なくなって、もう二度と会えなかったらどうしようと思ったら居ても立ってもいられなくて……。」

リウはケインに近づいて頭をナデナデとする。

「ごめんね、何も言わずに消えてしまって。魔王討伐の旅に出ると言ったらケインもついて行くと言うだろう。君を危ない目に合わせたくなかった。」

「でも僕はこの1か月間生きた心地がしませんでした。先生は僕を拾ってくれた親代わりで……それ以上の存在なんです。もう二度と僕を置いて行かないでください。」

「わかったよケイン、君のあの体質の事も心配だった。これからは一緒に行こう。」

リウは腕をめいっぱい広げてケインの大きな体を包み込んだ。


(ふむふむ、ケインにとってリウは親代わり、そして師でもあって強い絆で結ばれているのね。

王子とジェイドの主従カップルに加えて師弟カップルの爆誕だわ(・∀・)ニヤニヤ

近くで拝みたいけどそれにはスキルレベルが足りない!スキルを鍛えてもっともっと近くで観察しなきゃ!!)

私はレベルアップを誓うのであった。

言い回しの古臭いところがあると思いますが、作者がおばさんなので許してください♥

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