3 腐女子、尊死する⁉
モエ達は帝都から旅立ち、魔王本拠地のある北に向かいます。
パーティメンバー紹介もあり。
会議で元老院の長老達は、王子に数千人の軍を率いらせて進軍することを提案したが、皇帝は大人数で行くと魔族の注意を引いてしまうので少数精鋭で行くべきだと提言した。
そして、アドニスの将軍に数千の軍を率いらせて進軍すると同時に王子達のパーティは回り込んで北の魔王軍の本拠地を達叩く事になった。
パーティメンバーはユリウス王子、そして聖騎士のジェイド、魔導士のリウと私である。
このパーティのリーダーはもちろんユリウス王子。
(これからは心の中ではユリウスと呼ばせてもらおう。)
勇者ユリウス。170センチ、体重は58キロ。歳は19歳。
優れた剣と魔法の才能を持つ魔法剣士で、属性付与攻撃と中距離攻撃を得意とする。
アドニス帝国現皇帝の弟で、皇帝とは25歳年が離れており、次期皇帝候補とされているが、1年前に皇帝に皇子が生まれてからはその立場は微妙なものとなっているらしい。
聖騎士ジェイド。身長183センチ、80キロ。23歳。
10年前の周辺諸国と帝国との戦いで故郷と両親を亡くした戦争孤児。奴隷として売られているところをユリウスに召し上げられて、今の主はユリウスである。
教会から任命された聖騎士で剣と神聖魔法のエキスパート。特に防御魔法を得意とする。
魔導士リウ。身長150センチ、40キロ。
見た目は14歳くらいの少年なのだが、エルフ族らしく、年齢不詳。
長い間、セフィリアの諸国を放浪していたようだ。
調べたところ、100年くらい前のアドニス帝国の歴史書に彼と思われる記述を見つけたが、それより先は全く情報を辿れなかった。
感情の起伏がほぼ読み取れないのでまだ謎のところが多い。
ただ、魔導士としての能力は確かで、炎魔法を得意とする。
そして私の説明もしておこうか。
隠密者モエ。身長、体重非公開。
姿を消す、気配を消すなどの隠密行動からの不意打ちが得意だ。
女神ディーテにより隠密のスキルを与えられている。
もっとチート級のスキルを貰えば良かったと最初は後悔したものだが、このスキルは存外使い勝手がよく、戦闘はもとより、情報収集にも大いに役立っている。
一行はまず馬車に乗り、行けるところまで北上する。
馬車の旅は順調で、たまに遭遇する魔物はユリウスの剣技やリウの炎魔法で瞬殺された。
そして、帝都を出発して3日経った朝に中央山脈の山岳地帯に差し掛かった。
大陸の中央を分断するように急峻な山脈がそびえたつ。
一番高い山が訳9000メートルだというので地球のエベレストより少し高いくらいか。
中央山脈を越えないと北に向かえないので山越えする事になるのだが、当然9000メートル級の山脈は越えられない。
なので、山脈を西に迂回し、比較的標高の低い山岳地帯の間を走る街道を通ることになる。
山越えはなかなか大変らしく、その道は航海技術が発達してからは使う人も少なくなっている。
山道の入り口の集落で少し休憩する。
昔は旅人で賑わっていただろう村も寂れ、少数の村人が住んでいるだけだ。
ここまで乗ってきた馬は何かにおびえ、動かなくなってしまったのでここに置いていくことになった。
「これから山越えだがついて来られないものは置いていく。」
ユリウスはそう言い放った。安定のツンツンぶりだ♪
山道をただひたすら数時間歩いて険しい峠に差し掛かった時、頭上の切り立つ崖の上から無数の矢と岩が降り注ぐ。
それと同時に後方からけたたましい叫び声を上げながらゴブリンの集団が姿を現した。
ジェイドが防御魔法を唱えると透明な障壁が現れ、無数の矢は壁に当たり弾かれていく。
リウが詠唱を始めると崖の上に大きな炎が上がり、複数の叫び声上がった。
30人ほどのゴブリンたちは一斉にこちらになだれ込む。
私は隠密のスキルを発動し、ゴブリンの背後に回り込んでその首元に毒針を差し込む。
私は血を見るのが苦手で剣もうまく使えない。
しかし、コルネリウス家直伝の毒の扱いを習得し、隠密のスキルを活かして敵に毒針を突き刺すことができるようになった。
気配を消し、どんどん敵を倒していく。
ユリウスも剣に風属性を付与し、目に留まらぬ速さで敵をなぎ倒している。
その表情は笑っているようにも見えた。
その傍らのジェイドは、ユリウスの背後を守りながら長剣を器用に使い敵を倒している。
そうしているうちにゴブリン達の後方から一回りも二回りも大きいゴブリンが現れた。ゴブリンキングだ。
「炎よ、熾《おこ》りてわが剣に宿れ。」
ユリウスが小さく詠唱すると剣から炎が巻き起こる。
すぐさま走り出し、ゴブリンキングにその炎剣を振り上げた。
その刹那、敵の横からすばやい小さな影が現れ、ユリウスにナイフを突き刺そうとした。
「ユリウス様!!危ない!!」
ジェイドはユリウスの前に割り込み、そのナイフを腕で受け止めつつその小さなゴブリンを剣で切り伏せた。
その時、ユリウスの前のゴブリンキングも炎を上げて倒れていくところだった。
ほかのゴブリンも殲滅し、街道のそばで休憩を取ることになった。
ユリウスとジェイドは私とリウから少し離れた木陰で休んでいる。
これは何かイベントが起こるかもしれないと思い、隠密のスキルで気配を消して近づく。
「怪我はないですか?ユリウス様。」
「ジェイド、余計なことを。俺はあの攻撃を避けられていたぞ。」
「そうですね。すみません。
いたた…ナイフに毒が塗られていたみたいで、あまりヒールが効かないみたいです。
ユリウス様、薬草塗ってもらえませんか?」
腕をユリウスのほうに差し出す。腕は少し赤黒く変色していた。
はぁ、呆れたようにユリウスはため息をつく。
「お前わざとやってるだろ。こんなしなくてもいい怪我しやがって。」
呆れながらも薬草を取り出し乱暴にジェイドの腕に擦り込んでいく。
「ちょっ、痛いですって。」
そう言いながらもジェイドは嬉しそうだ。
「だが、こんなところにゴブリンキングがいるのはおかしいと思わないか?」
「そうですねぇ、この山道にゴブリンキングが出るなんて報告は受けていませんね。モエが気配を察知して教えてくれたので前もって作戦が立てられましたが。」
「最近魔物たちが動きがおかしい。裏で魔物たちを操っている奴がいるのかもな。」
ユリウスは鋭い視線でジェイドを見つめる。
(え、ユリウスはジェイドを疑っている?)
そういえばジェイドは聖騎士だ。聖騎士は皇帝から叙勲を受けており、皇帝の指揮下あるはずだ。
ユリウスを疎ましく思う皇帝と繋がっていてもおかしくはない??
ジェイドはにこりとするだけで何も言わない。ただ、薬草を塗るユリウスの手を握り返す。
私は目を潤ませ、尊い光景を脳裏に焼き付けていた…。
やっと旅立ちました。笑
仕事が忙しい時期は更新が遅くなりますが、ちょっとずつ更新していきたいと思います!




