腐女子、異世界に転生する
腐女子の女子高生が女神からスキルを授かり、異世界転生して魔王を倒す為の冒険をしながら推しのカップルを陰から見守り続ける物語です。
あれ…ここはどこ?
今日は大好きなBL本(冷徹王子はもっと虐められたい)の発売日でワクワクしながら学校から帰ってきたはずだ。
見渡す限り真っ白な空間が広がっている。
どう見ても我が家の玄関ではない。
ずっと眺めていると目がチカチカしてくる。
その空間はどこまでも広がってそうだとも思えるし、その逆のような気もする。
「藤咲萌さん、はじめましてぇ」
気がつくと、座り込んでいる私の隣に人影が現れた。
とんでもない美女である。
すらりと背が高く、その波打つブロンドの髪はまるで太陽のように光っている。
「私は女神ディーテ。このセフィリアの豊穣の神よ。
それで、突然なんだけど、あなたを召喚させてもらったわぁ。」
「へ?しょ、召喚??て言うかここはどこなんですか!?
私、今から大事な読書タイムだったんですよー!!」
自分でもびっくりするほど大きな声を出してしまった。
だが、神聖な趣味の時間の邪魔をしたのだ。怒る権利はあると思う。
「ここはね、セフィリア。あなたが住んでいた地球とは別の宇宙にある星。分かりやすく言うと異世界ってとこかしら。ほらぁあなたの世界で流行ってるでしょう異世界転生。それよそれ♪」
美女、もとい女神ディーテはニコニコと陽気な笑みを浮かべる。
はあ?異世界??これは夢?
早く起きて(冷徹王子はもっと虐められたい)の続きを読まなくては。
自分の頬を思いっきり叩いてみた。じーんとした痛みが残るだけで何も変化はない。
「ちなみに夢じゃないわよぉ?あなたにはこのセフィリアを救って欲しいの。」
私は異世界転生にあまり詳しくない。
腐女子なのでBL本ばかり読んでいる。まあBLにも転生物は結構あるのだが。
その私が転生??頭の中がハテナマークで埋め尽くされる。
「私が世界を救うなんて無理ですー!!私はしがない腐女子なんですよぉ!!」
「あら、そんな事ないと思うわぁ。私ずっとここからあなたのこと見てたのよぉ。
藤咲萌、17歳高校2年生。友達少なめでクラスでは目立たない陰キャ。
あなたが腐女子?てやつで男性同士の恋愛が大好きなのも知ってるわぁ。BLって言ってたかしら?
あなたのBLにかける情熱は大したものよ。
いつもは口数の少ないあなたがBLを語る時だけ饒舌になってエネルギーに満ち溢れている。
あなたのその腐の心!!
それがこのセフィリアでは大きな力になると確信したわ。だからあなたを召喚したのよぅ。」
「どっ、どう言う事ですか??」
「この世界の人間は今、魔王軍と戦っているの。
魔王の力は強大で今は推されつつあるわぁ。これを見て」
突然、空間に映像が映し出される。
麦の穂が風に揺れる。広大な麦畑で人々は楽しそうに談笑しながら麦を収穫している。
音声
「このセフィリアに存在する唯一の大陸の南に大国アドニス帝国があります。
アドニス帝国は温暖で食べ物も豊富に獲れ、人々は穏やかに暮らしていました。
そこに魔王が現れます。
凍てついた北の大地から突如現れた魔王とその配下の魔族達は魔物を従えて、瞬く間に大陸全域を征服していきました。
人類はこのまま滅ぼされてしまいそうでしたが、そこに神託が下ります。
王子ユリウスを勇者とし、魔王を討てと。
そして女神ディーテの力を授かったユリウス王子は魔王討伐の旅に出たのでした。」
急に映像は消え、何もない真っ白な空間に戻る。
「これで少しはこの世界の事がわかったかしらぁ?
今、セフィリアは人類存亡の危機に陥っている。
アドニス帝国では女神ディーテは王子ユリウスに勇者の力を授けたという事になっているけど、私はそんな事してないのよ。」
「えっ?」
「どうやら、人間達は勝手に王子を神から力を与えられた勇者に祭り上げて、魔王討伐に乗り出したみたいねぇ。
でも私は神々のルールによってセフィリアの人間に恩恵を授ける事は出来ない。
唯一認められてるのが異世界の人間を召喚して一つだけ能力を授ける事が出来るという事なの。」
「あの、質問しても良いでしょうか?」
良いわよと女神が頷く。
「さっきの映像ですが、なんだか男性同士で距離近くなかったですか?」
「あぁセフィリアでは同性婚が認められてるわ。
アドニスの貴族や軍の中では男性の恋人を持つ事が推奨されてるほどよ。絆が強くなるという理由でね。」
なんですと〜!?
生で男子達がイチャイチャするのを拝めるだと??
ここは腐女子の天国か??
あと、私は見逃さなかった。
あの映像に出て来たユリウス王子というのが私のどストライクの受けだったのだ。
私が読むはずだった本(もう名前は良いだろう)の受けの冷徹王子とどこか似ている。
気の強そうな瞳と白銀の髪が印象的な美男子だ。
あの気の強そうな顔が快楽に歪むのを見てみたい!
エロ親父が考えそうな事を考えてしまう。
「どう?王子ユリウスと魔王を倒す旅に出てくれないかしらぁ、モエ?その場合、あなたに一つだけギフト(恩恵)を与える事が出来るの。
このギフトはあなたがレベルアップしていけばどんどん新たな技や能力が開花するわ。
さあ、あなたはどんな能力をお望み?」
女神は妖艶に微笑み、右手を差し出した。
「女神ディーテ様…。私、推しのカップル達を見守る壁になりたいと思っていた時期もありました。でも壁になってしまうと推しが外でイチャつくのを見ることが出来ないという事に気が付いたんです。
だから、私は…私は、推しカプの間の空気になりたい!!」
気がつくとそう叫んでいた。
初めての投稿になります。
いつもBLの事を考えてます笑。
私の頭の中にあるストーリーが誰かの目に留まればとても嬉しいです。




