アイスの食べすぎにはご注意を。
皆さん、初めまして。私、kuku。と申します。
初投稿になりますが、ぜひ読んでいただけると嬉しいです。
医者の兄2人と弟の日常ストーリー。弟視点でぜひお楽しみください。
咲兄➝長男。総合病院で働いている。とても優しくて弟思い。次男、三男から信頼されている。…怒ると誰も近づかない。
龍兄➝次男。長男と同じく総合病院で働いている。この世で1番尊敬している人は咲兄。昔はヤ〇キーだったとか。。
璻➝末っ子少し遅めの反抗期。兄達いわく、末っ子の反抗期はとても可愛いらしい。勉学の成績が大変良い。
大晦日
今日は今年1年最後の日。
僕はというと相変わらずゲーム三昧だ。冬休み1日目からそんな調子なため、咲兄から少しは動けと部屋から引きずりだされてもなお結局リビングのソファでゴロゴロとしていた。
今日も今日とてリビングに引きずりだされ、意味もなくテレビの電源入れたりして暇だなぁと思ってたところで僕の顔に影がかかった。
「おい、お前今年大掃除してないだろ」
影の主は片手を腰に当てながら面倒くさそうに髪をかきあげている龍兄だった。
「うん?してるわけないじゃん」
突然何を言い出すのかと思えばそんなことか。普段から僕の部屋はいつの間にか綺麗になってるしそもそもゲーム機器以外で部屋が汚くなるほど物は多い方ではない。だから僕の部屋はそう、勝手に片付けているであろう咲兄と勝手に綺麗にしてくれる掃除機ロボで事足りている。
そんなことを心の中でぶつぶつ呟いていたら頭上からため息が聞こえてきた。
「はぁ。誇らしげに言うな、手伝ってやるからお前も自分の部屋掃除しろ」
そう言うと龍兄が僕を脇に抱えるように持ち上げてきた。
突然のことでびっくりした僕は、何の気なしに握っていたリモコンを落としながら降ろせと言わんばかりの抵抗を始めた。
「ちょ、龍兄はなしてよ!ていうか、僕の部屋もう綺麗でしょ、咲兄片付けてるし!」
「あのな、大掃除はそんないつも通りのとは違うんだよ。それにその咲兄から掃除させるように言われたんだよ。」
あぁだからそんなに面倒くさそうにしてたんだ、と頭の片隅で思ってたけどそこは今はどうでもいい。問題なのは、咲兄が僕に掃除させようとしていることだ。
僕は、今まさにおせちの仕込みをしているであろう咲兄がいるキッチンの方に顔を向けて声をあげた。
「掃除やだ!もう綺麗!」
僕がそう言うと、お玉を持った咲兄が顔を覗かせた。
「璻くんは自分で掃除もできないような子じゃないもんな?細かいところまでちゃぁんと綺麗にして新しい年迎えようね」
と満面の笑みで告げる咲兄をみて思った。あれだ、年越しハイになってるんだ、まだ年超えてないけど。
これ以上僕が抵抗したところで虚しくなるだけだから大人しく龍兄に自分の部屋まで連行されることにした。
ー1時間後ー
結局大掃除と言っても窓の隙間だったり家具のホコリをとる程度に終わった。途中、手を抜いてたりしたら龍兄が僕の腕掴んで動かしてきたりして、若干喧嘩もしたけどなんとか無事綺麗になったと思う。エアコンの上のホコリをモップで落とす時に龍兄に肩車してもらってたから、ここぞとばかりに喧嘩の腹いせで龍兄の頭の上に少しだけホコリを落としたのはここだけの話。まぁなんか降ろされた時に「綺麗にできたな」と言いながら頭撫でるフリしてがっつり僕の頭掴んできたからバレてると思うけど。
ガチャ
「掃除終わったか?」
掴まれて乱れた髪を手ぐしで梳かしていたら僕の部屋の扉が開いた。まだエプロン姿の咲兄が部屋を見渡し「まぁいいか」と妥協顔で一息ついた。
(見渡したぐらいでそんな綺麗かどうかなんて分かるわけないじゃんばーか)
すると、咲兄が突然僕の顎に手をかけて自分の方に向かせてきた。
「?なんだその顔は」
不思議そうに僕の顔を見た咲兄に、一瞬心の声が出かけていたのではと心臓をバクバクさせる。このまま見つめられてたらなんかバレそうだし身長差あるせいで持ち上げられた反動で首が痛い。僕は顎に触れてる手を両手で剥がすと、足早に部屋からでて廊下に足を踏み出した。
「大掃除したからお腹すいちゃった、僕お菓子食べる」
「いいけど、夜ご飯食べれなくなるぐらいはやめろよ。今日は年越しそばもあるんだからな」
「はぁーい」
僕は咲兄に軽く返事をしながらリビングに向かいお菓子がストックされている棚をあさりにいった。こないだ嫌々連れてかれたスーパーで年末ように大量のお菓子をカゴに入れたけど何も言われなかったから今この家には溢れんばかりのお菓子が置いてある。クッキーやチョコ、スナック菓子。でも掃除で体を動かしたせいで冷たいものが食べたくなり、棚をあさる手を止め、冷凍庫にある業務用のアイスクリームを手に取った。
いつもなら直で食べたりなんかしないけど、以外にも結構お腹が空いていてアイス本体とスプーンだけを持って部屋に戻った。
この時の僕は今年最後の日に泣きながら兄達に助けを求めることになるなんて知らず、スプーンからはみ出すぐらいの量をすくい、満腹になるまでアイスを食べ続けていた。
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いつもより3杯分も多く食べてしまったアイス。普段から僕しか食べないから別に何も文句なんて言われないけど、食べる前より軽くなった容器をこっそりと両手で抱えて、キッチンで鼻歌混じりに味見してる咲兄にバレないよう、こっそりと冷凍庫に戻した。
「これでよし、」
僕が独り言ちているとリビングにいる龍兄から声がかかった。
「璻、19時くらいから夜ご飯の予定だから今から風呂に入るぞ」
「はーい」
僕の返事を聞いた龍兄は早速お風呂の準備をしに、浴室の方へ消えていった。
19時ってことはあと2時間後か。
ちょうどアイスをたくさん食べてお腹が冷えたのか、ごろごろ鳴ってるし湯船で温まろう。
僕もあらかじめ咲兄が用意していた着替えのぱじゃまと下着を持って浴室へ向かった。
「お湯熱くないか?璻」
「うん」
2人分の重さでかさ増ししたことで湯船のお湯が少しだけ溢れこぼれる。
そもそもなんで僕と龍兄が一緒にお風呂に入ってるかと言うと、こないだ僕がお風呂で寝ちゃってそのまま溺れかけたからだ。あの時は心臓がバクバクしてて、焦ってる2人をぼーっと眺めることしか出来なかった。咲兄に、当分は怖いからどちらかと一緒に入るようにと言い聞かせられ、僕も落ち着いた頃に怖くなってきて、大人しく言うことを聞いている。
「今年もあっという間だったなぁ」
「えー?僕は長かった」
「大人になったらそう感じるもんなんだよ」
「ふーん、、わっ!?」
他愛のないやり取りをしていたら、龍兄がそっと、僕が意図的に濡らさないようにしていた肩にお湯をかけてきた。
「せっかく肩まで浸かれるぐらいお湯はってんだから」
「でも……」
こないだ溺れかけたことがトラウマで、肩までなかなか浸かれていないことを、龍兄だってわかってるはずなのに。咲兄は無理に浸からせず、だけどシャワーでしっかり温めろってだけ。
まだ躊躇う僕の肩にそっと、龍兄の手が置かれた。
「いつまでも怖がってちゃ意味ないだろ、俺がいるんだから溺れることなんて100有り得ねぇよ。大丈夫だから、な?」
「……すこしだけだよ」
こういう、元ヤン口調を発動しつつ諭してくる龍兄が嫌だ。いや、厳密に言うと、ついつい言うことを聞いちゃう僕自身のことが。この口調で言われると、何となく逆らえない。
チャプンッ。チャプンッ。
ゆっくりと僕の方にお湯をかけてくる龍兄。ちょっとまだ怖いけど、肩が温まるとなんか安心する。やっぱりお風呂に浸かる時は肩まで浸かった方が良いみたいだ。
そうこうして30分程でお風呂から上がった。髪を乾かすのが面倒で、龍兄にやってもらおうとドライヤーを取りに洗面台に向かっていると、突如、下腹部からギュルルと音がなった。
「━━━ッイタ!!」
締め付けられているような痛みに、咄嗟に両手を下腹部に持っていく。
「と、いれ」
とりあえずトイレに行かなきゃと思い、僕は痛みに我慢しながらゆっくりと足を動かして、洗面台の隣にあるトイレになんとか移動することができた。
座った途端から酷い下痢に苛まれた。
トイレを済ませれば治ると思っていたのに、まったく痛みは治まらない。きっと原因はさっきのアイスだろうし、食あたりとかって出したら治るとか言っていなかっただろうか。少しも和らぐことのない痛みをもみ消そうと、必死に両手で下腹部を押して圧迫させた。
「ぅ…いたい、痛い、お兄ちゃんっ」
無意識に口からでた、お兄ちゃんという言葉で頭がいっぱいになり何かが決壊したように、僕は大きな声をだした。
「お兄ちゃん!!お兄ちゃん来て!!!」
それだけ叫ぶと、目から大量に涙が溢れでてきた。止まらない涙を拭うこともでき、何度も声をあげて泣いた。
廊下からドタドタと2人分の足音が聞こえて、「入るぞ」と一言声を掛けられてドアが空いた。幸い、痛すぎてトイレに行くだけでも精一杯だった僕は、ドアに鍵をかけていなかった。
「お腹が痛むんだな?」
「風呂はいってた時は何も言ってなかったから急にきたんだな」
狭いトイレに咲兄と龍兄が入ってくる。僕は痛いことを必死に伝えたくて、さらに大きな泣き声をあげた。
「グスッおながいだいの、うわああああん!」
「わかったから、一旦お腹から手を話せ」
龍兄が僕の手に触れながら言うけど、離したらまた痛くなるのが嫌で、僕は必死に手に力を込める。
「龍、無理に引き剥がすな」
咲兄がそう言うと、龍兄の手が離れて、今度は咲兄の手が優しく背中に触れた。
「璻、手でお腹をぎゅーってしてると余計に痛くなっちゃうぞ。少し離せるか?」
「無理いだいもんっグス」
「わかった、ならお兄ちゃんがお腹を温めてあげるから俺の手にそこを変わってくれないかな?」
僕は、背中を撫でながら優しく微笑む咲兄に、少し落ち着きを取り戻した。ずっとお腹を押さえている手をゆっくり離すと、すぐに咲兄の手がお腹に回った。撫でるように動かされる咲兄の手によって、ほんの少しだけお腹が温まる。
「なんで急に痛くなったんだろうね?」
そう不思議がる咲兄とは対照的に、龍兄が「あっ」と声をだした。
「お前アイス食べすぎたんだろ」
「明らかに容器軽くなってたもんな」という言葉に咲兄が「えっ」と僕の方を見てきた。まるで、そうなのかと問いかけるような視線で見つめられると僕も白状するしかないと思い震える声で答えた。
「グス……アイス、いっぱい食べちゃったの」
それを聞いて大げさにため息をつく龍兄と、そんな龍兄に八つ当たりできないほどまだ痛む僕のお腹。どうしようもなくむしゃくしゃする状況で、僕はひたすらに泣くことしか出来ない。
「うわあああん!痛いの治んないのぉ!!」
「はいはい、わかったから。大丈夫、アイスが原因ならすぐに治るから。龍、悪いけどコップにお湯いれてくれないか?璻も、ここじゃ冷えるし一旦トイレからでよっか。」
それだけ言うと、龍兄を先頭に咲兄が「1度流しちゃいな」って僕にトイレから出るように促してきた。
「おにぃちゃんまって……」
ボソボソと吐き出された言葉は、閉められたドアの音によって掻き消された。さっきまで咲兄の手で温められていたお腹は瞬時に冷えてまた痛みを主張してくる。もっと撫でて欲しかった気持ちをぶつけるように、便器の蓋を勢いよく閉じて、レバーを今出せる力で思いっきり回した。
トイレのドアを開けると、リビングに戻ったと思っていた咲兄が立っていた。
「トイレに八つ当たりしてたら治んないぞ?トイレの神様は偉大なんだからな」
「ほら、おいで」と冗談まじりに言いながら僕を急に抱き上げるから、驚いて思わず咲兄の肩にしがみつく。
そのままリビングに連れていかれ、抱っこしたまま咲兄がソファに座った。
「璻、お湯飲め」
僕たちの隣に腰掛けた龍兄の手には、湯気が少しだけ立っているコップが持たれている。「熱いから気をつけろ」と、軽くふーふーされて僕の口元にコップが近づけられる。未だに龍兄が手に持っているため、仕方なく、その上から僕の手も重ねて少しずつ中に入っているお湯を飲んだ。
「アイスは沢山食べるとお腹壊すよって前から言ってただろ?」
飲み終わった僕に、咲兄が困ったように言う。
「泣くぐらい痛い思いしてるんだから、次からは絶対に気をつけること。わかったな?」
まだ痛むお腹に苦しめられてるのに、その上お小言まで言われて僕は引いた涙を再び目に溜め込んだ。
「もう言わないで!お腹なでてよぉ!」
咲兄の服にシワがつくくらい強く手で掴み握りしめる僕に、「はいはい、」って言いながらまた咲兄がお腹を撫で始めてくれた。
「いい加減泣きやめ。お前は泣いたまま今年を終えるのか?」
横から龍兄の手が伸びて、僕の目から溢れ出る涙が拭われる。
お腹を撫でてくれる咲兄。涙を拭ってくる龍兄。2人に慰められて、やっと僕も落ち着いてきた。
時間にして20分くらいでだんだんお腹の痛みも和らいできた。それでもまだ、お腹の奥がじんわり痛いけど。それに比例して、僕の涙もだんだん乾いてきた。泣き止んできた僕を見越して、龍兄が温まってるタオルで僕の顔を拭いてくる。龍兄が、拭きながら「もう、こんな時間か」と呟いた。僕も流れるように時計を見ると、もう少しでご飯を食べる時間になろうとしていた。
「璻、夜ご飯どうしよっか?お蕎麦なら食べても大丈夫だと思うけど、お寿司はやめとくか」
まだ、お腹を撫でてくれている咲兄が聞いてくる。僕の大好きなお寿司を、今年最後に食べられないなんてショックだけど、そうも言ってられない。もうあんな痛い思いを、同じ日に、ましてや今年最後の日に2回も味わいたくなんてない。
それからご飯を食べる時間になって、2人がお酒注いで乾杯しながら食べ始めた。僕は、お寿司を食べられないショックでいじけて、咲兄に抱っこして貰ってる。時々、横から意地の悪い元ヤンがお寿司を見せつけながら食べる姿が悔しくて、蹴りを入れてやる。
「おい、蹴るなよ。全部お前が撒いた種だろ。俺の頭にホコリなんて落とすからだ。来年はちゃんといい子にしてろよな」
「え?璻、龍の頭にホコリ落としたの?」
告げ口を受けた咲兄が、少し怖い顔をして僕の顔を覗き込む。これは、長いお説教になりそうだと長年の経験から察して、咲兄の胸に顔を埋める。
「僕眠くなってきたから寝る。」
「こら!まだ話終わってないよ」
そんな咲兄の声を無視して、狸寝入りを始めた僕の頭上からため息が聞こえたが、一貫して無視を決め込んだ。
「まぁ、泣きながら俺らに助けを求めることができたんだし、今回は許してやるよ。お前はほんとに可愛いな」
と、また横から煽るような声で言われて、狸寝入りを続けれなくなり、恥ずかしくて熱くなった顔をあげようとしたけど、咲兄の手によって再び胸に戻された。
「龍、お前飲みすぎな」
龍兄を軽く注意しながら、咲兄がぽんぽんと僕の背中を叩く。その手に本当に眠たくなっていき、僕の視界は真っ暗になった。
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「璻、起きれるか?」
「んぁ?」
目を開けると龍兄が俺の肩を軽く揺らしていた。いつの間にかソファに寝かされていた体を起こして賑やかなテレビの方へ目を向けると、毎年やっている音楽番組の結果発表が始まるところだった。
「年越し蕎麦、食べるだろ?お前、夜ご飯食べれてないし。」
テーブルにはえび天がのった年越し蕎麦が2つ置かれていた。キッチンでは咲兄が洗い物をしている音が聞こえていた。
「龍兄、食べてないの?」
「あぁ、お前一人で食べたくないだろ?咲兄は洗い物とか済ませたいからって先に食べ終わったけど」
一足先に龍兄が年越し蕎麦を食べようとするので、何となく遅れを取りたくなかった僕もそそくさとラグの前に座り箸をにぎった。
「いただきます……!美味しい!」
アイスぶりのご飯ということもあり、とても美味しく感じるお蕎麦。隣では豪快にお蕎麦を啜る龍兄。もっとゆっくり味わえばいいのにと思いながらも、つられて啜ろうとする。
「ズズッッ、、ごほっ」
「おい、お前は麺啜るの下手くそなんだからゆっくり食べろ」
聞き捨てならない言葉を吐きながら背中をさする龍兄に、悔しさを隠しきれない。
「来年は龍兄にバチが当たりますように」
そう呟くと「なんでだよ」と呆れながら、僕の口周りをティッシュで吹く龍兄。また子供扱いしてくる姿にムカついて、龍兄のお椀に残っているまだ食べられていないえび天を横取りして口に含む。
「あ!!お前!俺のえび天!」
「龍兄がいじわるするからだもん」
大げさにリアクションする龍兄に、僕はべーっと舌をだしながら、勝ち誇った気分でえび天を食べる。龍兄は諦めたのか、もう何も言わずに、残りの麺を啜っていた。
気づけば音楽番組は終わって、画面は初詣の為に神社にいる人達の映像に切り替わっていた。除夜の鐘がもう少しで鳴らされそうだ。僕は起きるの苦手だから、元旦朝早くからお参りは出来ないけど、来年お参りする時何を願おうかな。ああ、そうだ。
-来年はアイスでお腹が痛くなりませんように-
end
ここまで読んでいただきありがとうございました。
一言だけでも感想いただけると、執筆の励みになります!
X垢にミニ小話など投稿していくので、ぜひそちらも覗いていただけると嬉しいです。




