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もう泣き言はいいません!愛する人を守るために立ち上がります  作者: Karamimi


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第91話:普通の令嬢としての幸せをかみしめています

「アイリーン、今日のセリアス公爵家のお料理、例の異国で修業を積んだ料理長が腕を振るうそうよ」


「まあ、そうなの?それは楽しみね。私、あそこのお料理、大好きなのよ」


「あら、あそこはお料理だけでなく、中庭もとても素敵よ。もう、アイリーンもミミアも、食べる事ばかりなのだから。そんなあなた達に、王都で今はやっているお菓子を持ってきたわよ」


「まあ、なんて美味しそうなの。早速頂きましょう」


 闇の魔力を持った者との戦いから、早半年。あの後友人達4人によって、あっと言う間にクレスロン元男爵家の一族は捕獲された。その中には、国外に追放されたレア様の姿もあったようだ。


 彼らは闇の力を使い、魔王を再び生み出そうとした罪で、一族全員が極刑に処せられた。家族まで…という意見もあったが、万が一生き残った一族から、再び闇の魔力を持った者が生まれたら…そう考えると、ここで根絶やしにしておく必要があると考えたためだ。


 そして魔王になる事を選んだレドルフ殿下は、この国の最北端にある塔へと幽閉される事になった。魔力で常に監視されている為、もう二度と塔から出る事は出来ないらしい。


 監視員の話では、未だに私に未練がある様で、私への思いとジルバード様への恨みを口にしているそうだ。


 何はともあれ、やっと我が国にも本当の意味で平和が戻ってきた。そして今私は、ずっとやりたかった、貴族令嬢としての生活を満喫している。友人達とはすっかり心が通じ合い、今では何でも話せる親友に戻った。


 今は毎日、貴族学院に楽しく通い、放課後は彼女たちとお茶を楽しみ、夜は夜会にも参加しているのだ。


 彼女たちにとってもこの4000年、貴族令嬢としての幸せをかみしめることなく、ただ魔王との戦いに全力を注いでくれていた。


 そんな彼女たちが、幸せそうに殿方とダンスを踊ったり、美味しそうにお菓子を頬張る姿を見ると、心の中が温かい気持ちでいっぱいになるのだ。


 500年前、私の目の前で無念の死を遂げた彼女たち。そんな彼女たちが今、こんなに幸せそうに令嬢としての人生を謳歌している。それが嬉しくてたまらない。


「アイリーン、そんなに嬉しそうな顔をして、どうしたの?」


「こんな風に、あなた達と一緒にお茶をして美味しいお菓子を食べられるのが、幸せなの…まるで夢みたいで。夢なら覚めないでほしいなって」


「もう、アイリーンったら。でも、その気持ちもわからなくもないわ…前世では、魔王を倒すことで精一杯で、こんな風に令嬢として生きる事なんてできなかったものね。私もね、今の生活が夢の様に感じるのよ」


「私もよ。こんな風に制服を着て、あなた達と美味しいお菓子とお茶を頂きながら、ゆっくり話が出来るだなんて。もしかして、夢かしらと思う事もあるのよ」


「そうよね、本当にそうだわ」


「それもこれも、全てアイリーンのお陰ね」


 そう言ってほほ笑んだ4人。


「あら、それは違うわ。あなた達が前世から4000年もの間、支え続けてくれたからよ。あなた達だけではないわ、私はたくさんの人に支えられたからこそ、今の平和を掴むことができたのよ。だから今の平和があるのは、今を生きる全ての人のお陰よ」


「アイリーンは本当に謙虚だね。それよりも君たち、またアイリーンを連れ出して。今日は夕方から、今度視察で行くマリッジ王国について一緒に調べようと約束していただろう?」


 私達の元にやって来たのは、ジルバード様だ。お父様の強い希望で、貴族学院在学中は、普通の公爵令嬢として生きる事を許可された。


 “アイリーンは今まで令嬢らしいことを何一つできなかったから、どうか彼女に、令嬢としての幸せな時間を与えたい”


 というお父様の親心からだ。そんなお父様の思いが認められ、私は王太子殿下の婚約者でありながら、公務はほぼ免除されているのだ。ただ…


「ジルバード殿下、貴族学院在学中は、アイリーンの公務は免除のはずですよ。それなのに、どうしてアイリーンまで視察に行くのですか?」


「それにまだ、午後2時ですわ。夕方までには随分時間がある様ですが」


「私たちとゆっくりする時間は、あと少ししか残されていないのです。邪魔されては困りますわ」


「いくら自分がアイリーンに会いたいからと言っても、約束は守ってもらわないと」


 次々と辛辣な言葉が飛び交う。確かに彼女たちが言っている事は、間違っていないのだが…


「皆、ジルバード様を責めないで。今度の視察は、私がジルバード様にお願いして、一緒についていく事になったの」


 あまりにも私が令嬢としての時間を謳歌してるため、ジルバード様が不安になってしまったのだ。王太子で次期国王になることが決まっているジルバード様は、あまり貴族学院にも通えず、公務に励んでいるのだ。そんなジルバード様をみたら、どうしても放っておけなくなった。


 そもそも私は、ジルバード様が大好きだ。友人達との時間も大切だが、彼との時間も大切にしたいと思っている。


「アイリーンもそう言ってくれているだろう。それに俺はずっと公務で、アイリーンに会えなかったんだ。君たちは毎日貴族学院で、アイリーンと一緒にいられるだろう。少しくらい、俺に時間をくれてもいいだろう?


 さあ、アイリーン、迎えに来たよ。帰ろうか」


 嬉しそうに手を差し出すジルバード様。本当に、困った人ね。


「本当にジルバード殿下は…仕方ない、今日は譲って差し上げますわ」


「まあ、今日だけですけれどね」


「アイリーン、また明日ね」


「明日はもっと美味しいお菓子を持って来るわ」


「皆、ありがとう。また明日ね」


 何だかんだ言って、私の事を考えて行動してくれる友人達。そんな彼女たちの優しさに、いつも甘えっぱなしだ。


「さあ、邪魔者もいなくなったし、王宮に行こう」


 嬉しそうにジルバード様が私の手を握った。思い返してみれば、4000年もの間、私たちは結ばれる事はなかったのだ。こうして一緒にいられるのも、奇跡なのかもしれない…


「ジルバード様、4000年もの間、待たせてごめんなさい。もう私はどこにも行きませんから、ご安心を」


 急に私がそんな事を言いだすものだから、ジルバード様は目を丸くして固まっている。


 でもすぐに笑顔を浮かべ


「ああ、もう絶対に離さないよ。今度こそ、2人で幸せになろうね」


 そう笑ったジルバード様。彼の笑顔を見た瞬間、胸が熱くなる。


 私の中に眠る7人の私。あなた達の無念な気持ち、全て私が晴らすわ。絶対に8人分幸せになって見せるからね。


 4000年もの間、沢山の人が涙を流し、無念の中命を落としていった。でも、それももうおしまいだ。これからは、全ての人が笑顔で暮せるように!


 そう願っている。



 おしまい

これにて完結です。

最後までお読みいただき、ありがとうございましたm(__)m

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