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もう泣き言はいいません!愛する人を守るために立ち上がります  作者: Karamimi


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第86話:最後の戦い【その5】

「そこまでですわ。すぐにクレスロン元男爵とレドルフ殿下を、取り押さえて」


「…」


「あら?」


 クルリと後ろを振り返ると、一緒に来ていたはずの護衛たちが倒れている。さらに、ジルバード様や令嬢たち、お兄様に至っては、こちらに来ようと必死に空気を叩いていたのだ。


 まるで見えない壁があるかのようだ。


 “お待ちしておりましたよ、アイリーン嬢。申し訳ないのですが、邪魔が入ると嫌なので、彼らには少し眠ってもらいました。とはいえ、さすが高貴身分の方たちですね、私の魔力では、眠らせられなかった様です。私の魔力も、随分と衰えたものですね”


「闇の魔力を持つ者、何を言っているのだい?それよりも、どうしてアイリーンがこの場に?」


「そうです、どうしてアイリーン様が、ここにいるのですか?ガレス殿の力で、誰も近づけないはずなのに!」


 “彼女は私が呼んだのですよ。この長い戦いに、決着を付けるために…ようこそ、アイリーン嬢…いいや、光の一族の末裔さん”


「光の一族の末裔?一体何を言っているのですか?そもそも、ガレス殿とアイリーン嬢は、知り合いなのですか?」


 意味が分からないと言った表情の、クレスロン元男爵。


「ガレス殿とおっしゃられるのですね。クレスロン元男爵、私が彼と会うのは、2度目ですわ。彼が私を招き入れてくれたのです」


「招き入れてくれたとは、一体…」




 ~10日前~

「ここはどこ?」


 真っ黒な霧に包まれた私。視界が晴れたと思ったら、真っ暗な洞窟の様な場所にいたのだ。


 まるで魔王がいた洞窟の様だ。


 “ようこそ、我が住処へ”


「誰?」


 ビックリして振り返ると、そこにはローブを深くかぶった人が立っていたのだ。どうしてこんなところに人が?まさか、魔王?


 一気に緊張が走る。


 “そんなに警戒心をむき出しにしなくても問題ない。私はガレス・クレスロンだ”


「クレスロンですって?クレスロン男爵家には、ガレスという人は存在しなかったはずよ」


 “君は知らないのだろう。私の存在を。クレスロン男爵家の人間は、4000年もの間、私の存在をずっと隠し続けていたからな”


「4000年?まさかあなたが、魔王を誕生させるきっかけを作った、闇の一族なのですか?」


 “ああ、そうだ。正式にはクレスロン家自体が、闇の魔力を持つ一族の末裔だ。我々闇の魔力を持つ一族は、奴らのせいでほぼ全滅させられた。そんな中、唯一生き残ったのが、我がクレスロン家だったんだ”


「奴らのせいで全滅?よくわかりませんが、クレスロン男爵家は、皆闇の一族の血を引き継いでいるという事ですか?それではレア様や男爵も…」


 “いいや、彼らには闇の力は宿っていない。私を最後に、闇の力を持つ者は誕生しなくなったからな…まさか光の一族の末裔と話が出来るだなんて、これも何かの縁だろう”


「光の一族?」


 “君は何も知らないのだな。今から1億年前、この国は光の一族と闇の一族が激しく戦っていた。激しい戦いは、何百年も続いた。そんな中、ついに光の一族が我々闇の一族を倒したのだよ。


 とはいえ、何百年もの激しい戦いによって、闇の一族も光の一族も、ほぼ壊滅状態だった。闇の一族で生き残ったのは、唯一我がクレスロン家だけだった。


 とはいえ、我々は負けた身。命からがら地方に逃げ、山村部でひっそりと暮らしだした。一方光の一族も、残ったのは今のマクレス家のみ。マクレス家の人間は本当に欲がない様で、自分たちは国王にはならず、親友だった一族を国王に置き、陰で守る立場を貫いたそうだ。


 そして月日が流れ、この国に長い平和な時間が流れるにつれ、人々は我々闇の一族の事も、光の一族の事も忘れ始めていた。そのタイミングで我がマクレス家は王都に戻り、爵位も貰った。


 我々も今更この国を征服したいだなんて考える事もなく、ひっそりと闇の力を代々受け継いでいけたらそれだけでいいと考え、暮らしてきた。


 だが、今から4300年前、私を最後に、闇の力を持った人間が生まれなくなってしまったのだ。私は闇の力を使い、何とか300年ほど生きたが、このままでは闇の力が途切れてしまう。


 悩んだ末、魔王を誕生させることにしたのだよ。我々闇の一族には、人の負の感情を利用して、魔王を誕生させることが出来る。


 ただ、魔王を誕生させることは、リスクも生じる。一度魔王を誕生させてしまうと、増々闇の力を持った者たちが生まれにくくなってしまう。魔王を誕生させるという事は、我々にもリスクを伴う事なのだよ。


 当時当主をしていたクレスロン侯爵は悩んだ。ただ、既に私は300歳を迎え、もう寿命が尽きようとしていたのだ。このまま私が亡くなれば、闇の力を途絶えさせてしまうかもしれない。そう考えたのだろう。


 そんな中、ちょうど魔王になれそうな人材が現れた。それが君が倒した魔王、第二王子のディーノ殿下だった。


 悩んだ末、彼を魔王にする事を選んだのだよ“

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