第74話:さすが彼女たちです
「闇の魔力を持つ一族ですって…話には聞いたことはあったけれど、その様な一族が本当にいただなんて…」
「でも、確かに闇の一族なら、魔王を生み出すこともできるかもしれないわ」
「もしこのまま、クレスロン元男爵家を平民として解放したら…また闇の魔力を使って…」
「こうしちゃいられないわ。すぐに元男爵家を家宅捜索しないと。それから、すぐに男爵家の人間を捕獲しましょう。アイリーン様、この件は私たち4人にお任せください」
「今まであなた様を散々苦しめてきたのですから、これくらいの仕事は私達がさせていただきますわ。それでは、早速動きますね。ジルバード殿下、許可を!」
さすが前世からの親友4人、行動力がすごすぎる。その上、私の言う事を一切疑う事すらしないだなんて…
「ジルバード様、彼女たちならきっと、成果を出してくださいますわ。彼女たちは私の一番信頼する大切な親友たちなのですもの。どうか許可を」
“アイリーンがそう言うのなら…それに彼女たちが調査をするという事は、アイリーンに絡んでくることも減るだろうし…“
「ジルバード様?」
「いいや、何でもない。君たちの気持ちは分かったよ。すぐにクレスロン元男爵家の家宅捜索と、彼らを拘束する許可を出そう。多分まだ男爵家の人間は、屋敷にいるだろうし」
「証拠を隠滅されたら大変ですものね。殿下、一刻も早くお願いします」
「ああ、分かっているよ」
そう言うと、近くに控えていた執事に何か指示を出したかと思うと、書類に何かを書きだした。
そして
「この書類があれば、男爵家を家宅捜査できるよ。正式な書類は、王宮に戻ってから改めて記載するから。とにかくこれで、家宅捜索は可能になったから」
「ありがとうございます。それでは行って参ります。3日で全ての証拠を集めて参りますわ」
「あら、2日もあれば十分ですわよ。それでは行って参ります」
ジルバード様から紙を受け取ると、相変わらず強気な発言をしながら、笑顔で去っていく4人。本当に心強い友人達だ。
「彼女たちの行動力は、本当にすごいね…まあ、前世でも今世でも、魔王軍との戦いの時に献身的に君を支えてくれていたものね…とはいえ、やっぱり俺は、彼女たちを受け入れられるにはまだ時間がかかりそうだが…」
遠くを見つめながら呟くジルバード様。確かに私も、彼女たちにされた事を考えると、きっと彼女たちに恐怖心や憎悪感を抱き続けていてもおかしくはないだろう。ただ私と彼女たちには、4000年もの深い絆がある。
今彼女たちを心から信頼できるのは、前世の記憶があるという事も大きいのだが、それだけではない。きっと4000年もの間、魂と魂とが築き続けた深い絆があるからだろう。その絆は、たとえ魔王であっても壊すことが出来なかった、大切な絆…
「それじゃあ俺は、一度王宮に戻って、クレスロン元男爵家への捜査令状を正式に作成するよ。父上にも一応話しておきたいし」
「それでしたら、私が陛下にお話しをしますわ。そもそもなぜクレスロン元男爵家の捜査が必要なのかのお話しも、しておいた方がよろしいでしょうし…」
「君が自ら王宮に来て、父上に話す必要はないよ。君はこの国を救った英雄なんだ。君の言う事なら、二つ返事で皆聞くからね。すぐに戻って来るから、どうかここで待っていてほしい」
「ですが、陛下にも王妃殿下にも一度会って目覚めた事をご報告したいですし。ぜひ私も王宮に行きますわ」
陛下とは、魔王討伐前にある約束をしているのだ。その約束を、守ってもらわないといけないし。それに今後の事も、きちんと話しておきたい。
「アイリーンの気持ちは嬉しいのだけれど…ちょっと今、王宮内はゴタゴタしていてね。とにかく今は君を王宮に連れていくのは、避けたいのだよ」
「ゴタゴタしている?」
一体どういう意味かしら?
「とにかく、君をこれ以上巻き込みたくはないのだよ。これは俺と…」
「まあ、もしかしてジルバード様が、何か厄介ごとに巻き込まれているという事ですか?それは大変ですわ。そのゴタゴタ、私も気になりますし、私で解決できることもあるかもしれません。ジルバード様、どうか私にあなた様の協力をさせて下さい!お願いします」
ジルバード様が厄介ごとに巻き込まれているのだ。このまま放っておく訳にはいかない。これは何が何でも、王宮に出向かないと!




