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もう泣き言はいいません!愛する人を守るために立ち上がります  作者: Karamimi


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第72話:生きていた様です

「私だけの力ではないわ。あなた達がずっと、魔王との過酷な戦いを乗り越えて来たから、今回魔王を倒すことが出来たのだと思うわ。特にジャンティーヌ、あなたが私に残してくれた前世の記憶。さらに魔法が封印されていたおかげできっと、魔王も油断したのだと思う。


 魔王を消滅できたのは、ここにいる皆の力があったからだわ」


 この4000年、ずっと魔王と戦って来た私の魂。その魂に生きる人たち全てのお陰だ。たまたま今回、私が魔王を消滅させただけ…


 そう、それだけなのだ。


 “さて、話しはこれくらいにしましょう。これ以上アイリーンを引き留めていると、元の世界に戻れなくなってしまうわ”


「元の世界に戻れないとは?私は魔王との戦いで、命を落としたのよね?」


 “ええ、確かにあなたは自分の持つ魔力を全て使い切って命を落としたはずだった…でもどういう訳か、まだあなたは生きているのよ。本当にアイリーンは、奇跡の子ね”


 そう言うと、皆がクスクスと笑ったのだ。


 “本当にあなたは奇跡の子よ…まさかあんな膨大な魔力を、ずっと隠しておけるだなんてね。アイリーン、あなたは魔王が誕生して以降、ここにいる誰よりも魔力量が多かった子なのよ。あの激戦を戦い抜いた私よりもね。


 そんな膨大な魔力を、魔王に知られることなく隠し持っているだなんて、本当にびっくりだったわ“


 ジャンティーヌがそう教えてくれた。正直前世の私、ジャンティーヌの魔力には、到底今の私は敵わない、そう思っていた。前世の私は、自分で言うのも何だが、全てにおいてパーフェクトだったのだ。


 それなのに、そんなジャンティーヌよりも、今の私が上だっただなんて…


 “さあ、アイリーン、愛するジルバード殿下が、あなたの目覚めを待っているわ。4000年間、辛く悲しい思いをし続けた私たちの魂。どうか誰よりも、幸せになりましょうね”


 “”“”“ありがとう、アイリーン”“”“”“


 にっこり微笑むと、彼女たちが私の体の中に1人、また1人と入っていく。そして最後の1人が入り切った瞬間、目の前に猛烈な光が差し込み、そのまま私は意識を失ったのだった。



 *****

「…リーン、アイリーン!」


 この声は…


「ジルバード様?」


「よかった、アイリーンが目覚めたぞ!本当によかった!アイリーン」


「アイリーン、よかった!目覚めたのだな」


「「アイリーン」」


 ジルバード様だけでなく、両親のお兄様にも抱きしめられた。そうだわ、私…


「皆様、ご心配をおかけしてごめんなさい。もう大丈夫ですわ。魔王も消滅したようですし」


「ああ、そうだね。もう二度と、魔王に怯える必要はない…ただ俺は…またアイリーンを失うのではないかと、この3日間、生きた心地がしなかったが」


 そう言うと、ジルバード様は再び私を強く抱きしめた。よく見ると、魔王との戦いの時よりもやつれている様な気がする。


 ジルバード様だけではない、両親やお兄様も、随分とやつれている。


「皆様、ご心配をおかけして申し訳ございません。ですがもう大丈夫ですわ。こうしてはいられません。すぐに街の復興に取り掛からないと。それから…」


「アイリーン、君は今目覚めたばかりなのだよ!まだ魔力だって…」


「信じられない!アイリーンお嬢様の魔力が、完全に回復している…それどころか、今までに見た事のないほどの魔力が、お嬢様の体に宿っている…これが伝説のマクレス公爵令嬢の力なのか…信じられない…」


 いつの間にかやって来ていた医師が、声を震わせている。


「そりゃそうでしょう、だって私の心の中には、魔王と戦った7人の勇敢な令嬢たちの強い思いが詰まっているのですもの。彼女たちの無念を晴らすためにも、私にはやらなければいけない事があるのよ。さて、いつまでも眠ってなんていられないわ。


 すぐに着替えさせて頂戴。まずは街の様子を見に行きたいの。それから、陛下たちにもお会いしたいわ。大事な話があるの。陛下、私との約束を、覚えて下さっているかしら?忘れていたとしても、ここには陛下がサインをして下さった契約書もあるものね」


 魔王を倒した今、私にはやらなければいけない事がまだ残っているのだ。いつまでも眠ってなんていられない。

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