第69話:隠された真実【その8】
「セリーナ、体調はどう?」
「アラン殿下に聞いたわ。明日の結婚式は、通常通りに行われるのでしょう?」
「まさかあの2人が、闇の魔力を持つ一族と繋がっていただなんてね。でも、大丈夫よ。あなた達の結婚式が終わったら、早々に2人は処刑される事になっているから」
「まさかマリナ様が毎回贈っていた宝石も、あなたの行動を把握するためだっただなんて。人懐っこい顔で私たちに近づいて、陰であんなに恐ろしい事をしていただなんて。
セリーナ、安心して。マリナ様は私達の手で、しっかり締め上げておいたから。彼女も父親と一緒に処刑されることが決まっているわ。どうやらマリナ様は、ディーノ殿下が王位に着いたら、側室として迎えられる予定だったらしいわ」
「野心家だと思っていたけれど、まさか闇の一族と繋がっていただなんて。本当にクレスロン侯爵は恐ろしいわ。そうそう、クレスロン侯爵とディーノ殿下の処刑執行は、あなたのお兄様が指揮を執るそうよ。
妹を酷い目に遭わせたあいつらが許せないと、相当お怒りの様ね」
そう言って笑った友人達。
あの事件から、1ヶ月が過ぎた。私はあのドレスのせいで、しばらく体調を崩してしまったが、今は随分と元気になった。
あの後、全ての全貌が明らかになった。どうしても王位と私を手に入れたかったディーノ殿下は、クレスロン侯爵の手を借り、闇の一族に近づき闇の力を得たらしい。そして闇の力を使い、当日私のお世話をする使用人たちを操り、私にあのドレスを着せたとの事。
そして事前に準備しておいた嘘の書類でアラン様を陥れるとともに、私の心を操る事で、私にディーノ殿下と結婚したいと言わせる予定だったらしい。
ただ、事前に怪しい動きをしていたディーノ殿下とクレスロン侯爵を警戒していた友人4人とアラン様は、密かに私に居場所を特定できる魔道具を付けていたらしい。私が行方不明になった事で、急いで魔道具を使って、私の居場所を突き止めたらしい。
さらに私たちの会話も、バッチリ聞いていたとの事。そう、私だけが何も知らなかったという訳だ。
すぐに魔力を無力化するリングを付けられたディーノ殿下とクレスロン侯爵、マリナ様は今、冷たい地下牢で刑の執行を待っているらしい。
闇の力を手に入れたディーノ殿下だったが、まだうまく魔力を使いこなせない事もあり、今のところなんとか魔力無力化リングで抑えられている。
とはいえ、念には念をという事で、魔力が強く簡単に操られない者たちをみはりとして付けられていると聞いた。本当なら一刻も早く処刑したいところだが、私たちの結婚式が終わるまではという意見が多く、今は刑執行まちな状態なのだ。
「セリーナ、そんなに心配そうな顔をしないで。私達も付いているから。それに明後日には、あいつらはもうこの世からいなくなるのだし」
「あら、私は別に心配などしていないわ。だって、誰よりも心強いあなた達がついていてくれるのだもの。皆、いつも私も守ってくれてありがとう。今度は絶対に、私があなた達を守るからね」
いつも私に寄り添ってくれる4人、これからは私が彼女たちを守りたい。
そっと窓から外を見上げた。雲一つない美しい青空が広がっている。色々あったけれど、明日には大好きなアラン様と幸せになれる。彼女たち4人も、王太子妃となる私を支えてくれる事も決まっている。
これからはアラン様と一緒に、もっともっとこの国を豊かにしていきたい。とはいえ、持って生まれたこの魔力を使う事はなさそうだけれどね…
翌日
「セリーナ、準備は出来たかい?」
「ええ、できておりますわ」
純白のウエディングドレスに身を包み、迎えに来てくれたアラン様の元に駆け寄った。アラン様も真っ白なタキシードを着ていて、とてもカッコいい。
「セリーナ、とても綺麗だよ。色々とあったけれど、今日という日を迎えられて本当によかった」
「ええ、それもこれも、アラン様含め、沢山の方々が支えて下さったお陰ですわ。本当にありがとうございます」
「そうだね、今回の事件でも、沢山の人たちが君の為に動いてくれたから、こうやって無事解決できたんだ。これからは彼らに恩返しができるように、2人で協力していこうね」
「はい、もちろんですわ」
「それじゃあ行こうか」
差し出されたアラン様の腕に手を添え、ゆっくりと歩き出した。




