第65話:隠された真実【その4】
「すばらしい、さすがディーノ殿下です。通常の王族が魔力100に対し、あなた様は120もあるのですから」
「120ですって。やっぱりすごいわね」
周りからは歓喜の声が上がる。120か…貴族たちの魔力の平均が50、王族でも通常100。100以上でかなりの魔力持ちと言えるが、それを大幅に超える120とは。中々やるわね。
「それでは次は、アラン殿下、どうぞ」
次はアラン殿下だ。
「アラン殿下、大丈夫かしら?あまり魔力量が低いと、あの性悪ディーノ殿下に王太子の座を譲るなんて話も出かねないわよ…」
「静かに!ディーノ殿下の耳に入ったら厄介よ…とにかく見守りましょう。大丈夫よ、セリーナ。たとえ殿下にあまり魔力がなくても、あなたが支えればいいのだから」
「そうよ、元気出して」
「大丈夫よ、私たちも傍にいるから」
4人がそっと私の肩に手を当てて励ましてくれる。本当にこの子達は、いい子たちだ。
そして…
「何と…これは…素晴らしい、なんて事だ!アラン殿下の魔力量は、150です。10歳で魔力量150だなんて!信じられない」
なんと、アラン殿下は平均をはるかに上回るほどの魔力を持っていたのだ。周りにいた貴族や陛下、王妃殿下も驚きを隠せない。
「なんて事だ。まさか王族で、150という魔力を叩きだすものが現れるだなんて…」
「アラン、あなたって子は。さすが私の息子だわ」
一斉に騒めく会場。
「兄上が俺よりも魔力量が多いだって!そんなのあり得ない!お前、兄上に買収されただろう。こんな不正をして許さないぞ」
なんと鑑定士に襲い掛かったディーノ殿下。彼が不正をするなんて、あり得ない。すぐに止めに入ろうとする護衛たちだったが…
「ディーノ、やめろ!」
次の瞬間、アラン殿下がディーノ殿下に魔力をぶつけたのだ。悲鳴を上げて吹き飛ぶディーノ殿下。
「すまない、ディーノ。まだ魔力が上手く使いこなせない様で」
急いでアラン殿下が、ディーノ殿下の元へと駆けよった。だが、プライドの高いディーノ殿下は、アラン殿下に吹き飛ばされた事が気に入らないのか、アラン殿下を突き飛ばし、その場を去って行った。
「やはり鑑定は間違っていないんだ。あのディーノ殿下を、吹き飛ばすだなんて…さすが王太子殿下だ」
「アラン殿下しか、この国を治められるものはいない」
一斉にアラン殿下をほめたたえだした貴族たち。
ちなみにその後私も歴代マクレス公爵令嬢の中で最も多い、200という数字を叩きだしたのだが、アラン殿下の陰にすっかり隠れてしまった。
その後私とアラン殿下は、無事婚約した。ディーノ殿下もよほどアラン殿下に魔力量で負けたことが悔しかったのか、すっかり大人しくなった。
ただ、どうやら私の事は諦めていなかった様で
「セリーナ嬢、俺は君を愛している。兄上と婚約を解消して、俺と婚約しないか?俺だって魔力量120あるんだ。もしこの国にいる事が嫌なら、他国に逃げてもいい。だからどうか、俺を選んでくれ。君だって、優秀な俺の事が、本当は好きなのだろう?それでも君は、公爵令嬢として、王太子でもある兄上の婚約者になった。
でも大丈夫だ、策はあるから」
そう何度も私に迫るようになったのだ。
そんな彼に私は
「ディーノ殿下、私は昔からアラン殿下を愛しておりました。もしアラン殿下に魔力がほとんどなかったとしても、私は彼を選んでおりました。ですので、どうか変な気を起こさず、あなた様はあなた様の幸せを見つけて下さい。
陛下からも、土地と公爵位を与えるといわれているのでしょう?それで十分ではありませんか」
そう何度も彼に伝えたのだが
「俺は公爵などという器ではない。俺こそが、王にふさわしいんだ。それなのに、全てあの男が…」
そうブツブツと言いながら、去っていくディーノ殿下。とはいえ、何度も何度も彼の誘いを断っていたお陰か、いつしかディーノ殿下は、私の前に現れなくなっていった。
それどころから、ほとんど部屋から出る事もなくなったのだ。




