第64話:隠された真実【その3】
でも…
目の前には踏み荒らされ、折られたお花たちの無残な姿が。
「アラン殿下、セリーナ様、申し訳ございません。先ほどディーノ殿下がいらして…その…」
「僕がさっき使用人を庇った事に腹を立てたディーノが、花壇を滅茶苦茶にしたのだろう?セリーナ、すまない。せっかくの花壇が…」
「謝らないで下さい。それにしても、腹が立ったからと言って花に当たるだなんて、本当に情けない人ですね…」
彼が花壇を荒らしたのは、今日が初めてではない。実はディーノ殿下は、気に入らない事があると、アラン殿下が大切にしているものを壊す習性がある。
花壇も何度荒らされた事か…
とはいえ、私も黙って見ている訳にはいかない。
家に帰ると
「お父様、またディーノ殿下が、酷い事をしておりましたわ」
早速今日の出来事を、報告する。
「相変わらずディーノ殿下は、傲慢でどうしようもない人だな。双子なのに、どうしてこうも性格が違うのだろうか…お茶会でもかなり傲慢な態度をとっている様で、今や貴族中から苦情が出ているよ。確かに優秀ではあるのだが…とはいえ、まだ9歳だからな…」
ハァっとため息をつくお父様。
「お父様、私もアラン殿下も、9歳です。確かに9歳はまだ子供ですが、逆を言えば9歳であれほど残虐性を持っているという事が、非常に問題なのではないでしょうか?教育係も、何人も辞めさせているのでしょう?そもそも陛下も王妃殿下も、ディーノ殿下に甘いのではありませんか?あのような横暴を許していては、ディーノ殿下がつけあがるだけです」
「陛下も王妃殿下も、ディーノ殿下に再三注意をしているそうだ。ただ、本人は全く響いていないようでな…この前はアラン殿下が大切にしていた魔獣を…いいや、何でもない」
「魔獣とは、マロンのことですか?最近マロンを見かけないと思ったら、まさか…」
「とにかく、来年はお前たちの魔力が開花する年だ。だからもう少し様子を…」
「お父様は、そればかりですね。確かにディーノ殿下は非常に優秀です。今の時点でも、相当の魔力がある様ですし。だからこそ、来年魔力が開花した時に、ディーノ殿下の魔力がどれほど多いのか、気にしていらっしゃるのですよね。
もしかしてディーノ殿下の魔力がものすごく多かったら、私をディーノ殿下に嫁がせようだなんて、考えていませんよね?私はアラン殿下に嫁ぎますから。誰がなんと言おうと、絶対にディーノ殿下とは結婚しませんよ!」
貴族たちは来年私たちの魔力開花の日を、心待ちにしているのだ。私はもちろんの事、非常に優秀なディーノ殿下の魔力量にも注目が集まっている。元々王族は、他の貴族たちよりも魔力量が多い。
特に優秀なディーノ殿下の魔力量には、皆期待している。その為、皆ディーノ殿下に遠慮している節がある。それは実の親でもある、陛下や王妃殿下さえも例外ではないのだ。
そもそも今の魔力量でうまく国を治めているにも拘らず、どうしてそんなに魔力にこだわるのだろう。本当に嫌になるわ…
とはいえ、私がディーノ殿下を超える魔力を持っていれば、きっと問題ないはずだ。そう私は考えている。
~そして1年後~
「それでは第一回魔力測定を行います」
貴族たちが王宮に集められ、次々と検査を受けていく。
「セリーナ、きいて。私結構魔力があったわ」
「「「私たちもよ」」」
仲良しの令嬢4人が、いつもの様に話しかけてきた。生まれながらにマクレス公爵家の令嬢という肩書に囚われ、皆から一目置かれていた私。そんな中、普通の令嬢として接してくれる彼女たち4人は、何でも話せる最高の友人たちなのだ。
「次はディーノ殿下の様よ。あの人の魔力量が多いと厄介よね」
確かにディーノ殿下の魔力量が多いと、非常に厄介だ。魔力が多い事を理由に、また何を言いだすか分からない。
そして…




