第62話:隠された真実【その1】
「う~ん…ここは?あの世?」
目を覚ますと、薄暗い洞窟の様な場所にいた。ここは一体どこだろう。
魔王をこの世から消し去るため、己の持つ全魔力と生命力を引き出し、全て魔王にぶつけた。
500年前と同じように、魔王を消し去るために。
私は500年前も、魔王に己の持つ全ての魔力を魔王にぶつけたのだ。だが、あの時の私は既に魔力の消耗が激しかったうえ、味方の援護を受けられなかった。その為封印するのがやっとだったのだ。
でも今回は違った。ジルバード様を始め、お兄様たちが私に力を貸してくれたのだ。その結果、魔力を維持した状態で魔王を封印する事が出来たのだ。
ただ…
「あの時眠る魔王に魔力をぶつけたけれど、本当に魔王は消滅したのかしら?」
正直確信はなかった。ただ、なぜだか知識として持っていたのだ。魔王は膨大な魔力をぶつければ、消滅させられると…どこで得た知識かはわからない、なぜか持っていた知識。
私の魂は、どういう理由かずっと魔王との戦いを繰り返してきた。その時に得た知識が、私に残っていたのかもしれない。
それにしても、薄暗くて気味の悪い場所だ。もしかして私、まだ魔王のいる洞窟に取り残されているのかしら?
体を起こし、立ち上がろうとした時だった。
目の前に、体が透けている私が現れたのだ。
いいや、見た目は確かに私にそっくりだが、これは私ではない。
「あなた、ジャンティーヌ?」
私の問いかけに、ほほ笑む女性。
“さすが私、勘が鋭いのね。そうよ、私はあなたの魂の中に眠る記憶の1つ、ジャンティーヌよ。アイリーン、私が最後に願ったせいで、辛い思いをさせてしまってごめんなさい。
よく考えたら、あなたから魔力を取り上げたところで、魔王との戦いから逃げる事などできなかったのよね…魔王との戦いは、私たちに課せられた宿命なのだから…“
「ええ、そうみたいね。なぜ私たちの魂が選ばれたのか、全く分からないけれど…」
“それは全て私のせいよ…”
私達の目の前に現れたのは、これまた私たちにそっくりの女性だった。彼女の後ろには、沢山の私にそっくりの女性たちが立っている。
もしかして、彼女たちは…
“初めまして、アイリーン。私の名前はセリーナ・マクレス。今から約4000年前に生きた、マクレス公爵家の令嬢よ。そしてあの魔王を生みだした、張本人なの…”
「魔王を生みだした張本人ですって?一体どういうことなの?」
マクレスという事は、我が公爵家の一族という事だ。それじゃあ、我が家が魔王を生みだしたって事?
“少し順を追って話してもいいかしら?私の住んでいた時代は、魔王のおらず皆が平和に暮らしていた時代だったの。
とはいえ、少なからず魔物は存在していた。だからわが国でも、魔力量が多い人間は、非常に重宝されたわ。我がマクレス公爵家は、なぜか代々生まれてくる令嬢は、恐ろしいほど魔力を持っていたの。
とはいえ、なぜか令嬢は中々生まれる事はなく、私は500年ぶりに生まれた、待望の令嬢だった。両親はもちろん、他の貴族や王族からも生まれながらに一目置かれる存在だったの。
特に王族たちの喜びようは半端なく、陛下からは“ぜひ家の息子の嫁に”そう言われていたそうよ。
私の父、当時のマクレス公爵も、王族に私を嫁がせたかった様で、子供の頃から頻繁に王宮に通わせたの。そこで出会ったのが、第一王子で王太子のアラン殿下と、第二王子のディーノ殿下だった“




