表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もう泣き言はいいません!愛する人を守るために立ち上がります  作者: Karamimi


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/29

第2話:密かに抱く恋心

「アイリーン嬢、怪我はないかい?また酷い事を言われたのかい?」


 私の元に駆けつけてくれたのは、この国の第二王子、ジルバード殿下だ。彼は私の婚約者でもあるレドルフ殿下の1歳下の弟。私と同じ歳の16歳だ。


 この国の次期国王として大切に育てられたレドルフ殿下に対し、ジルバード殿下はレドルフ殿下を含めた王族を守るために、幼い頃から騎士団に入れられ、厳しい稽古をされられてきた。さらにレドルフ殿下に万が一の事があった場合を考え、国王になるための勉強まで叩き込まれていると聞く。


 我が国では第一王子以外の王子たちは、王族を守るための存在とされているのだ。その為魔王軍が攻めて来た時も、先陣を切って戦いに行かなければいけない。いわば捨て駒的な存在なのだ。


 ただ500年前は、英雄ジャンティーヌがいたため、当時10歳の第二王子は命を落とさず、天寿を全うできたとの事。


 今回も私がジャンティーヌと同じ働きが出来れば、ジルバード殿下にこんな苦労をさせる事もなかったのだろう。その事を皆分かっている為、特にジルバード殿下の母、王妃殿下からの風当たりは相当なものなのだ。


「ジルバード殿下、お助けいただきありがとうございます。ですが、令嬢たちがおっしゃった事は、本当の事ですわ。私にジャンティーヌと同じくらいの力があれば、あなた様はこんな苦労をしなくて済んだのです。


 既に魔王が封印されてから500年。いつ復活してもおかしくはないのです。もし復活すれば、あなた様のお命が…」


「何度も言っているが、俺は令嬢に守られて生き永らえたいとは微塵も思っていない。俺は自らの手で、魔王を封印したいと思っている。もう二度と、あんな思いは…


 いいや、何でもない。とにかく俺は、魔王を倒すために今まで努力を重ねてきた。そもそも第二王子である俺には、兄上やこの国の民を守る義務があるんだ。本来王族が封印しなければいけなかった魔王を、500年前は公爵令嬢が封印してくれたというだけの話。


 それなのに皆、アイリーン嬢に勝手に期待して!君は何も悪くないよ。どうか公爵令嬢として、大きな顔をして生きてほしい…と言いたいが、今の状況では厳しいよね。ごめんね、俺にもっと力があれば、君を守ってあげられるのに…」


 悔しそうに呟くジルバード殿下。


「そんな…あなた様はいつもこうやって、私を守って下さっているではありませんか。婚約者でもあるレドルフ殿下ですら、私の事を毛嫌いしていらっしゃるのに…」


 私の婚約者でもあるレドルフ殿下は、最初こそは大切にしてくれたが、私が出来損ないとわかると掌を返し、暴言を吐き少しでも近づこうとすれば、ゴミを見る様な目で見てくるのだ。


 もちろん、私のデビュータントのエスコートもしてもらえず、寂しく1人で入場したのだ。


 そんな私を不憫に思ってか、ファーストダンスはジルバード殿下が誘ってくれたのだ。ジルバード殿下は、幼い頃からずっと私に寄り添い、助けてくれている。


 私のせいで、今後命を落とすかもしれないのに。それなのにいつも私に優しく接してくれるジルバード殿下に、密かに恋心を抱いているのだ。


 もちろん、私なんかに好かれていると知ったら、ジルバード殿下も迷惑だろう。それに嫌われているとはいえ、一応私はレドルフ殿下の婚約者だ。


 婚約者がいる身で、他の人を好きになるだなんて…


 何より無力な私は、ジルバード殿下の力になる事すらできない。そう、私がジルバード殿下に出来る事は、何一つないのだ。


 それが辛くてたまらない。もし私にジャンティーヌと同じ様な力があれば。何度そう願ったか…


「ジルバード殿下、助けていただきありがとうございます。あなた様が謝る事はありませんわ。どうかもう、私には関わらない方がよろしいかと。それでは、失礼いたします」


「待って、アイリーン嬢…」


 ジルバード殿下に頭を下げ、その場を後にする。これ以上ジルバード殿下の優しさに触れたら、私の気持ちが溢れ出してしまう。


 それに何よりも、ジルバード殿下は私なんかとは一緒にいてはいけないのだから…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ