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もう泣き言はいいません!愛する人を守るために立ち上がります  作者: Karamimi


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第14話:どうしてこんな事に~ジルバード視点~

 海に向かうと、真っすぐ海に向かって歩いているアイリーン嬢の姿が。既に腰あたりまで、水に浸かっていた。


 もしかして彼女は!


「アイリーン嬢!」


 必死に彼女に向かって叫び、海の中に入っていく。彼女の肩を掴んだ時だった。急にアイリーン嬢が、尋常ではない程苦しみだしたのだ。さらに手からは、ものすごい熱を感じた。まるで体が燃えている様な熱さだ。


 すぐにアイリーン嬢を抱きかかえ、馬車へと向かった。俺がアイリーン嬢を抱えている事に気が付いた彼女の使用人たちが、こちらに駆け寄ってきた。


 尋常ではない苦しみ様と燃えるように熱い体。一体彼女の身に、何が起こっているのだろう。俺と使用人たちで、必死に治癒魔法をかけたが、全く効果がない様だ。


 すぐに医者の手配をする様に伝えると、そのまま馬車に乗り込み、アイリーン嬢の家を目指す。効果がないとわかっていても、何とかしたくて治癒魔法をかけ続ける。使用人たちも、必死に治癒魔法をかけるが、全く変化がない。


 そんな俺たちを見たアイリーン嬢が、自分は大丈夫だから、治癒魔法を使うのは止めて欲しいと、必死に訴えてきたのだ。


 相当苦しいのだろう。息も絶え絶えで、目には涙が浮かんでいる。それでも俺たちの体への負担を心配して、必死に伝えたのだろう。こんなにも優しい子が、どうしてこんな目に遭わないといけないのだろう。


 どこまで彼女は苦しめば、気が済むのだろう。目の前で愛する人が苦しんでいるのに、何もできないだなんて。


 悔しくて涙が溢れそうになるのを、必死に耐えた。


 屋敷に着くと、すぐに医者が来て診断を行うが、首をかしげていた。すぐに精密検査を受けたが、原因が分からないとの事。


 こんなにも苦しんでいるのに、原因が分からないだなんて!そうだ、王宮医師に診せれば、何かわかるかもしれない。そう思い、提案したのだが…


 戻ってきた公爵に拒否されてしまったのだ。どうかこれ以上、俺にアイリーン嬢の件で、首を突っ込んで欲しくはない様だ。


 確かに俺たち王族は、アイリーン嬢に酷い事をして来た。マクレス公爵はきっと、王族に借りを作りたくはないのだろう。


 でも、今はそんな事を言っている場合ではない。そう訴えたが、頑なに王宮医師の手は借りないというマクレス公爵。


 さらに今後はあまり、アイリーン嬢に会いに来ないでほしいとも言いだしたのだ。正直納得は出来なかったが、マクレス公爵は誰よりもアイリーン嬢を大切に思っている男だ。きっと何か、方法があるのだろう。


 そう思い、今日は一旦公爵家をあとにしたのだが…


 王宮に戻っても、アイリーン嬢の苦しむ姿が脳裏に浮かんで離れない。なんとかして助けてあげられないだろうか…


「ジルバード、帰って来ていたのかい?聞いてくれ、どうやらアイリーンが倒れたらしい。相当症状が酷い様で、公爵が血相を変えて帰って行ったよ。きっと神様が、あまりにも役立たずだから、罰をお与えになったのだろう。いい気味だ。このまま苦しんで、そのまま…」


「兄上!それ以上アイリーン嬢の悪口を言うのは止めて下さい!これ以上言うと、俺はあなたに何をするか分かりませんよ!」


 兄上の胸ぐらをつかみ、睨みつけた。


「そんなに怒らなくてもいいだろう?そういえばジルバードは、アイリーンに興味があるようだね。自分が魔王を封印できた暁には、アイリーンを他国で暮させることを認めて欲しいと言ったそうだね。


 あんな役立たずの為に、命を懸けるつもりかい?物好きだね。そんなにアイリーンが好きなら、君が婚約すればいいのに。あんなお荷物と婚約しても、君にはメリットがないだろうけれど」


「兄上!アイリーン嬢の事を悪く言うなと言っているのが、聞こえないのかい!これ以上アイリーン嬢を侮辱したら、許さないぞ」


「はいはい、ごめんよ。いつも以上に熱いね。まあ、せいぜい頑張れよ。そろそろ魔物たちが森の奥で動き出している様だね。魔王も復活しそうだし。僕は安全な王宮から、ジルバードの活躍を祈っているよ」


 そう言うと、涼しい顔で去っていく兄上。どこまで腐っているんだ!あんな男の為に、俺は魔王と戦うのか?


 いいや、違う。俺はアイリーン嬢の為に戦うんだ。でも、アイリーン嬢の身にもしもの事があったら…

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