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第九十一話 兄ィズとマクシミリアン先生、学園中庭で直接対決!?

秋の午後、学園の中庭は赤や金の落ち葉で覆われ、静かなはずの風景が、今まさに“嵐の前の静けさ”を漂わせていた。


アリアは友人たちと離れた場所で様子をうかがっていた。いつもは笑顔を見せる兄ィズ――レオンとノア――の表情が、今はいつも以上に真剣で、気迫に満ちている。


(……兄さまたち、やり過ぎないでよ……。)

アリアは心の中でお願いをする。


「……先生、今日は本当にやるつもりですか?」

アリアは小声で心配そうに呟いた。


マクシミリアン先生は冷静に息を整える。

「私には、生徒たちの安全と学園の秩序を守る責任があります。感情だけで妹を守る兄たちの行動は、見過ごせません」


一方、レオンは両手を腰に置き、鋭い視線を先生に向けた。

「感情でも理性でも、妹を守るためなら譲れません」

ノアも即座に同調する。

「兄弟の務めです。アリアが危険に晒されるなら、全力で守ります!」


その瞬間、学園の空気が変わった。まるで嵐の前の静寂が、緊張と熱気で押し流されるように――。



派手な空中戦の始まり


レオンは素早く跳躍し、中庭の大きな噴水の上に軽やかに着地。ノアは魔法で小さな防御陣を作り、自分とレオンの背後を固める。


「これ以上の暴走は許さないぞ!」

マクシミリアン先生が杖を掲げ、精緻な魔法陣を床に描き始める。その動作はまるで舞踏のように美しいが、その眼光は鋭く、兄ィズの動きを牽制する。


レオンは笑みを浮かべ、跳躍したまま剣を軽く振る。刀身が光を反射し、葉の舞う秋風と相まって、中庭全体が華やかな戦場のように変貌する。


「ノア、後方警戒!」

「了解! 先生の魔法陣を封じる!」

二人は連携して攻撃と防御を同時にこなし、まるで熟練の騎士団の訓練風景のようだ。だが、ここは学園。生徒たちは手に汗を握って見守るしかない。


マクシミリアン先生も負けじと応戦する。魔法陣から放たれる光の矢が空中を飛び交い、兄ィズの攻撃をかわす。

「君たちの護衛心は理解する――しかし、無秩序は許さない!」

先生の声が中庭に響き渡る。



レオンは中庭の噴水の水を蹴り上げ、光の粒子と魔法の火花が混ざった派手なエフェクトを作り出す。

ノアは魔法で小さな風の渦を発生させ、落ち葉を巻き上げ、戦場全体に動きを加える。

まるで兄たちの「アリアを守るための壮麗な演出ショー」ともいえる状況だ。


アリアは思わず小さく舌打ちする。

「……兄さまたち、やり過ぎよ!」


生徒たちは目を丸くして歓声を上げ、アリアも息を飲む。

(でも……やっぱり兄さまたちは、こうでなくちゃ)


しかし、マクシミリアン先生は容赦しない。光の矢が兄たちの前方に集まると、レオンはその光を剣で切り裂き、ノアは魔法防御で防ぐ。衝突の衝撃で小石や落ち葉が舞い上がり、まるで戦場のような騒動になる。



「うわっ、私たちも巻き込まれそう!」

アリアの友人たちは、戦闘の中心から距離をとろうとする。だが、落ち葉や魔法の光が舞い散る中、避けるだけで精一杯だ。


「まさか学園の中庭で、こんな事態になるなんて……」

友人たちの心配をよそに、兄ィズはアリアの安全確認を最優先に動き、周囲を警戒しながらも、先生との直接対決を続ける。



二人の兄ィズとマクシミリアン先生が目と目を合わせる瞬間、世界の時間が止まったかのように感じられる。秋の光が兄たちの髪と先生のマントを照らし、赤や金の落ち葉が舞い落ちる。


「これ以上の過剰護衛は許さない!」

マクシミリアン先生の声が中庭に轟き、魔法陣が光を増す。

レオンは剣を構え、ノアは魔法を発動――二つの力が交差する瞬間、周囲の風景が煌めき、まるで映画の一場面のような迫力が生まれる。



衝突の末、両者は一瞬の間合いを取り、互いに息を整える。

マクシミリアン先生は静かに頷く。

「……君たちの情熱は理解した。しかし、今後は生徒を巻き込まずに護衛せよ」


兄ィズは微笑みながら剣と魔法を納める。

「はい、先生」

「妹のためなら、何でもしますから」


アリアは思わず吹き出す。

「もう、兄さまたち、やっぱりやり過ぎよ!」


生徒たちは拍手と歓声をあげ、学園中庭は再び平穏を取り戻す。

だが、兄ィズの過剰護衛は収まることなく、今後もアリアの周りには騒動と笑いが絶えないのだった。


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