第六十九話 兄たちの“魔法研究会突撃”!? 王子との対話は予想通り大混乱です!!
学園、午後の放課後。
アリアは、静かに魔法研究会の部室で王太子・アルヴィン殿下と資料の整理をしていた。
「この前の“魔力応答球”、王城の魔導技術局でも注目されたらしいよ」
「ええっ!? そ、そんな大それたものじゃ……」
「いや、君の魔力制御は“王国級”だ。間違いない」
アルヴィン殿下は淡々と断言する。そんなやりとりの最中――
ドカァンッ!!
突如、部室の扉が派手に開かれた。
「妹が! 王子と! 二人きりの空間!! 許可は取ったのかあああぁぁぁ!!!」
「ちょっ……レオン兄様ああぁぁ!?」
続いて、どこか静かながら殺気を帯びたノアの声が響く。
「……王子、少し話そうか。“妹に近づく意図”について、ゆっくりとね」
「ちょ、ちょっと待って、まってぇぇぇ!!!」
◆ ◆ ◆
王子、挟まれる。
金色の貴族椅子に優雅に座る王太子・アルヴィンを囲むように、レイフォード兄弟。
「殿下。我が妹は年齢相応に、健やかな日常を送りたいと願っております」
「わたしが!? そんなの言ってないですっ!!」
「学術的な探究は歓迎ですが、“恋愛フラグ”の種は今すぐ撤去をお願いします」
「やめてぇぇぇ!! 本人の前でそれ言うのやめてぇぇぇぇぇ!!」
◆ ◆ ◆
だが、王太子は――
「ふふっ、なるほど。君たち兄妹は“最高”だな。やはり興味深い」
飄々とした態度で笑っていた。
「私はアリア嬢の魔法的資質を、ただの“研究対象”などとは思っていない。
彼女は未来を照らす光だ。私にとっても――王国にとっても、かけがえのない存在だ」
レオンの瞳が鋭く光った。
「それは、“個人的感情”を含む発言と受け取っても?」
「……否定はしないよ」
「殿下ああああぁぁぁ!?!?!?」
◆ ◆ ◆
その日、王太子殿下とレイフォード兄弟は、魔法研究会の名のもとに“初の三者面談”を敢行。
アリアはその様子を、部室の隅っこで膝を抱えて震えながら見守っていた。
(なんで……放課後の活動が、拷問みたいになってるのぉぉぉ……)
◆ ◆ ◆
そして帰宅後。
レイフォード邸のダイニング。
「……王子は“敵”ではない。だが、“味方”にするには慎重さが必要だ」
「妹を“口説きにきた敵”だったら?」
「即、排除」
「……兄様たち……笑って……?」
アリアはスープ皿に顔を沈めた。




