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第六十四話 妹の“秋の読書週間”は静かに過ごしたい!? でも兄たちの“おすすめ書籍”が物騒すぎて本棚が騒然!!

初秋の穏やかな風が、レイフォード家の中庭をやさしく撫でていた。


読書の秋。


それは、アリアにとって待ちに待った“静かな日々”――の、はずだった。


「ふふ……今日はお気に入りの物語を一気読みしちゃおうかな……!」


制服を着替え、カボチャ柄のブックマークを手に、アリアは自室の書棚へ向かう。お気に入りの童話や魔法絵本を取り出し、ふかふかの読書ソファに座った瞬間。


「……アリア」


「ひっ!?」


ドアの前に立っていたのは、長兄・ノア。両手には、どっさりと積まれた革装丁の本。


「読書週間と聞いて、選書しておいた」


「う、うれしいけど……これ全部? しかも厚っ!」


「魔法理論の基礎から応用、戦略魔術史に兵法まで。子どものうちに“視野を広げる”のは重要だ」


「え、えええええええ!?」


そこへ、弟のレオンも現れる。


「ノア兄様、抜かりがありますね。妹にはまず“危険察知能力”を養っていただかねば!」


と、彼が差し出したのは――


『毒物と解毒の歴史』『護身術入門』『実戦で役立つ悲鳴の上げ方』


「これ読んだら悪夢で眠れなくなるってばぁぁぁ!!」



◆ ◆ ◆


翌日、アリアは学園の図書室に避難することを決意した。


「今日は、エマとクラリスと静かに本を読むのです。過保護はノーサンキュー!」


だが、図書室に入った瞬間――


「――アリア様の本棚、設置完了です!」


「警備結界、十重に展開しました!」


騎士服姿のレイフォード家の使用人たちが、図書室の一角に“専用読書スペース”を作っていた。


「え、えええええ!? 図書室に、マイ本棚!?」


そこには、金の装飾が施された特注本棚と、ふかふかの読書椅子、さらには“アリア様おやつセット”まで置かれていた。


「クラリス、これは夢じゃないよね……?」


「夢だったら、まだ良かったわ……(小声)」



◆ ◆ ◆


その日の午後、担任のリリアナ先生がやってきた。


「アリアさん、皆が集中して読書できるように――え、なにこれ……?」


先生も目を見開いて絶句。


「その……父様の“教育支援”らしくて……?」


「支援……? いや、これはもう“威圧”の域に……!」



◆ ◆ ◆


夜。


レイフォード邸のダイニング。


「……ということで、明日からは静かに、普通の読書をしたいです!」


アリアは決意のまなざしで、兄たちを見つめた。


「だって、みんなに見られて、全然内容が頭に入らなかったんだから……」


するとノアが静かに本を閉じた。


「……つまり、“場所”が問題だな」


「いや、そうじゃなくてえええええ!」


「屋敷の地下書庫を“私設図書館”に改造するか……」


「もういいですぅぅぅぅ!!」


アリアの叫びが、秋の夜空に吸い込まれていった。


だがその数日後、レイフォード家地下に“アリア私設読書サロン”が完成したという噂は、王都の貴族界に広がっていくこととなる――。



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